命よりコストだとさ。今朝の東京新聞記事を読んでガックリしたよ。
2つの記事から抜粋します。
●申請の11原発、免震機能省く
◆必要最小限のルール
<新基準と免震棟> 原発の新しい規制基準は、防潮堤を設け、防水性能の高い扉を多用することで津波から原発を守るほか、「免震など」で通信、指揮、収束要員を守る施設を整備すること、さらには放射性物質の放出を抑制するフィルター付きのベント(排気)設備の導入などを求めている。新基準を満たせば、現場は1週間持ちこたえ、事故の拡大を防げる-とされるが、規制委が認める通り「再稼働できる必要最小限のルール」にすぎない。
原発事故が起きた際の対策拠点をめぐり、電力各社が原子力規制委員会に新基準による審査を申請した全国十六原発のうち十一原発で、地震の揺れを緩和する免震機能をなくし、当初方針より規模も小さくするなどしていることが本紙の取材で分かった。必要最低限の施設を整え、低コストで早く審査を通したい各社の姿勢がうかがえ、東京電力福島第一原発事故の教訓はないがしろにされている。
対策拠点は、事故収束作業に携わる要員を放射能や地震から守り、関係機関と連絡を取り、食料や資材を備蓄しておく必要不可欠の施設だ。福島の事故で大きな役割を果たし、新基準の大きな柱の一つとされてきた。ところが昨年十二月、九州電力が再稼働した川内(せんだい)原発(鹿児島県)で、免震棟の新設計画を撤回。同社は玄海原発(佐賀県)でも計画を白紙にした。
本紙は他にも同様の動きがないか、電力各社に調査。その結果、審査申請した十六原発(川内、玄海両原発を含む)のうち、十一で免震機能のない耐震構造に変更し、規模も大幅に縮小するなどの計画に変えていたことが分かった。
●再稼働へ コスト重視
原発を動かす電力会社なら、福島第一の免震重要棟で何が起き、必要な性能が何かは十分に認識しているはずだ。それでも多くの社が対策拠点の規模や性能を低いものにし始めたのは、よけいなコストや時間をかけなくても済み、さらに原子力規制委員会の審査にも通ることを知ったからだ。
各社が判断材料にしたのが八月に初めて再稼働した九州電力川内原発の事例。九電は、免震機能も、きちんとした水道施設もなく、約百七十平方メートルと狭い代替施設を当面の対策拠点とする方針を提示。その程度の施設で、規制委は十分と認めた。
本誌の取材に対し、複数の電力会社が「川内原発の例を踏まえて決めた」などと証言。ある社の担当者は「早く審査に通って再稼働させたいので、工期の(短くなる)ことも考えた」と話した。
なんでこんな変更ができるんだろう。変更を支持した人間たちは、何か起きてもいつでも逃げられるようにしているからだろうな。商道徳とか経営者モラルとかってあるはずだけど、いつからこんなにひどいことになっちゃったんだろう。
「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の三つの「良し」がそろう「三方良し」。売り手のつごうだけがよい商売をするのではなく 、買い手が満足し、さらに社会貢献もできる商売をするのがよい商人だという矜持は、近江商人の特許じゃないよねえ。