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ノーモア尼崎事故!生命と安全を守る4.22集会」報告資料

2017-04-25 22:33:34 | 鉄道・公共交通/安全問題
4月22日、兵庫県尼崎市内で「ノーモア尼崎事故!生命と安全を守る4.22集会」が例年通り行われ、約130人が集まりました。今年の集会は「国鉄分割民営化30年を検証する」がメインテーマに、坂口智彦・国労中央執行委員長が記念講演。安全問題研究会もJR北海道の現状について報告を行いました。

以下、安全問題研究会が行った報告の内容をアップします。これ以外の主な内容は以下の資料の通りです。なお、JR福知山線脱線事故「遺族からの訴え」(藤崎光子さん)については、動画で録画していますが、youtubeへのアップが終わっていません。アップでき次第ご紹介します。

170422「ノーモア尼崎!生命と安全を守る4.22集会」配布資料

170422安全問題研究会報告のPDF版(以下の内容と同じものです)

170422記念講演・JR30年~坂口智彦国労委員長(音声ファイル・約35分)

集会参加者からの報告記事(レイバーネット日本)「重大事故の責任いまだ問われず~ノーモアJR尼崎事故!命と安全を守る4.22集会」

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ノーモア尼崎事故!生命と安全を守る4.22集会」報告資料~全営業キロの半分が廃線の危機! JR北海道の経営破たんを招いた国鉄「改革」

2017.4.22 安全問題研究会

 JR北海道は、島田修社長が2016年11月18日に記者会見し、宗谷本線名寄~稚内間など計13区間について、同社単独では「維持が困難」になったことを公表した。対象区間のうち3区間(輸送密度200人未満)はバス転換が適当とし、残る10区間(輸送密度200人以上2000人未満)についても、上下分離方式などの地元負担が必要としている。



 廃止路線が旧産炭地の路線や盲腸線中心だった国鉄分割民営化当時と異なり、今回の13区間には、根室線帯広~釧路~根室間、釧網線東釧路~網走間など、主要都市間輸送を担う基幹路線のほとんどが含まれている。営業キロで見ても1,237kmと、JR北海道全体(約2,500km)の半分に相当する。もしこのすべてが廃止や地元負担となった場合、地元の社会経済に与える打撃は計り知れないものになる。

 すでに、JR北海道は2015年9月、「2015年度末までには社員の給与支払いに充てる資金がマイナスに陥る」として国から1,200億円の緊急支援を受けている。民間企業であれば、労働者の賃金が支払えない状態は事実上の倒産とされる。今回の発表は、実質的にはJR北海道の「破産宣言」に当たる。この際のJR北海道の試算では、同社が経営破たんに陥るのは「2018年度」となっていたが、試算よりはるかに早く破たんした。

 JR北海道は新幹線含む全線が赤字であり、経営破たんの原因が、北海道だけを単独の会社とした国鉄分割民営化の枠組み自体にあることは当然だ。民営化初年度(1987年度)決算で、JR7社の営業収入全体に占めるJR北海道の割合はわずかに2.5%、JR四国が1%、JR九州が3.6%に過ぎなかった。JR北海道全体の営業収入(919億円)は東京駅の収入(約1000億円)より少なく、JR東日本1社だけでJR7社の営業収入の43.1%を占めていた。

 2017年2月17日、衆院予算委で本村伸子議員(共産党)が行った質問によれば、JR東海の鉄道事業営業収益は5,556億円であるのに対し、JR北海道は-483億円。3島会社とJR貨物を合わせた4社の営業損失は741億円だが、本州3社で最も収益構造が脆弱なJR西日本でさえ1,242億円と、4社合計の営業損失を大幅に上回る営業収益を上げている。これは、3島+貨物の全体をJR西日本だけで救済でき、お釣りが来ることを示している。強い会社はより強く、弱い会社はより弱くなる格差拡大と弱肉強食こそ国鉄「改革」とJRの歴史であったことが鮮明になった。

 儲かる路線で儲からない路線を支えていた国鉄時代の内部補助制が分割で崩壊、儲かる路線の利益はJR本州3社の経営者が分捕り、北海道、四国、九州の損失は地元自治体・住民に押しつけられた。国鉄を葬った者、1047名の国鉄労働者を路頭に迷わせ、それ以外の多くの国鉄労働者を自殺に追い込んだ者、東京駅より少ない収入のJR北海道にできもしない「自立」を迫り、経営破たんに導いた者の責任を追及しなければならない。

 経営破たんの原因として、民営化に当たって政府が用意した経営安定基金の運用益が、低金利によって約4,000億円も減少したことに加え、2009年の「高速道路1,000円乗り放題」政策による乗客の逸走(自動車への転移)も大きい。JR北海道の経営を支えていた長距離旅客は、1,000円高速政策が終了後も今なお鉄道に戻っていない。

 長距離旅客減少による経営悪化は、安全崩壊となって表面化。2011年の石勝線トンネル内における特急列車火災事故、2013年の函館本線における貨物列車脱線事故と続いた。その後のレール検査データの組織的な改ざんは、JR会社法に基づく初の監督命令の発出に加え、当局の強制捜査、起訴によって刑事事件に発展した。この間、2人の社長が自殺している。

 JR北海道社内に設けられたJR北海道再生推進会議は、同社が民営化以降の30年にわたって、本来であれば安全投資に回すべき費用を、高速バスや航空機との競争の中で高速化に充てていたと指摘。2011~13年にかけ相次いだ事故やトラブルは、30年にわたった安全軽視と怠慢の明らかな帰結だ。再生推進会議は、こうしたJR北海道の安全軽視と怠慢を棚に上げ「安全か路線かの二者択一」を会社に迫る提言をまとめたが、地域公共交通、住民の足が守られるよう願う地元の意思を無視した一方的な提言であり、認めることはできない。

 北海道で生産された農産物は、全国津々浦々に鉄路で運ばれ消費されている。北海道から本州に向けて運ばれる鉄道貨物の4割は食料品輸送であり、ホクレン(農協)がみずからコンテナを製作、北海道新幹線の開業に伴って並行在来線が経営分離された第三セクター「道南いさりび鉄道」にも農協が出資しているほどである。この陰には保線や除雪などの莫大な経費を、北海道民が本州より高い運賃を通じて負担している事実もある。

 仮に道内の鉄路がなくなった場合、同じ輸送力を確保しようとするとどのようなことが起こるだろうか。青函トンネルを挟んだ青森~函館~札幌間に限っていえば、500t×51本(上下合わせて)の貨物列車で1日当たり25,500tもの貨物が運ばれている。仮にトラック(10t車)で置き換えるならば、1日当たり延べ2,550両もの車両と延べ2,550人もの運転手が新たに必要になる。ネット通販拡大による小口荷物の激増とトラック運転手の不足で首都圏などではすでに指定期日・時間通りに宅配便が届かないことが常態化しており、こんな時に大量輸送に適した鉄道を廃止してどうするのか。

 一方、北海道庁内に設けられた北海道鉄道ネットワークワーキングチームは、JR北海道が単独では維持困難とした13線区に関する鉄道網のあり方として、(1)札幌市と中核都市を結ぶ路線、(2)広域観光ルートを形成する路線、(3)国境周辺・北方領土隣接地域の路線、(4)広域物流ルートを形成する路線、(5)地域の生活を支える路線、(6)札幌市を中心とする都市圏路線――の6類型に分類。(1)については「維持すべき」、(2)及び(5)は地域で検討、(3)は鉄路の維持が必要、(4)は総合的に対策を検討、(6)は「道内全体の鉄道網維持に資する役割を果たすべき」――とそれぞれ位置づけ、6類型のうち「(1)が石北線、(3)に宗谷線が該当」とした。特に(2)と(5)については、地元との協議の結果次第では廃止~バス転換を容認するものであり、道が地元路線を守るどころか、一部線区の廃止に積極的に手を貸すものになっている。

 2002年の鉄道事業法「改悪」によって路線の廃止が許可制から届出制となり、鉄道会社は廃止届を出せば1年後に路線を廃止できるようになった。国交省には廃止を繰り上げる権限だけが与えられ、廃止を差し止める権限がないなど問題だらけの改悪であった。だが、ローカル線廃止のこれまでの例を見ると、地元自治体との協議が整うまでは廃止届を出さないという「紳士協定」はとりあえず守られており、2016年12月に行われた日高本線の廃線提起の席でも、JR北海道は「地元同意のない状態では廃止届は出せない」と、地元同意がないままの廃止届の強行提出を一応は否定している。

 2017年2月8日の衆院予算委で、松木謙公議員(民進党)の質問に対し、麻生太郎副総理兼財務相が「JR九州の全売上高がJR東日本品川駅の1日の売上高と同じ。JR四国は1日の売上高が田町駅と同じ」「貨物も入れて七分割して、これが黒字になるか。経営がわかっていない人がやるとこういうことになる。(JR北海道をどうするか)根本的なところをさわらずしてやるというのは無理」と答弁するなど、危機感は自民党内の一部にも広がりつつある。(参考資料――衆院予算委員会会議録 平成29年2月8日

 国民の公共交通であった国鉄を解体し、新自由主義を社会の隅々にまで浸透させ、絶望と対立と分断の淵に全国民を追いやる端緒となった国鉄「改革」。労働者、乗客・利用者、地方にすべての犠牲を押しつけ、利益はJR株主・経営者と財界が総取りしてきた「犠牲のシステム」――これこそ30年の歴史を通じて見えてきたJRの真実だ。

 2000年にハットフィールド脱線事故を起こした英国は線路保有部門を再国有化、民営でスタートした米国の鉄道アムトラックも国有化されるなど、鉄道の「民営から公共的企業形態へ」は国際的潮流である。国鉄「改革」から30年。耐用年数の切れた「民営JR」体制を根本的に改め、再国有化など、国民の足の復活を求める広範な闘いに今こそ踏み出すときである。

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