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千葉県沖でスロースリップ発生か、念のため注意を

2014-01-10 23:18:32 | 気象・地震
房総沖で「スロー地震」…収束へ?でも注意を(読売新聞) - goo ニュース

昨年末からM4~5級の群発地震が続いている千葉県沖で、スロースリップが発生していたことを防災科学技術研究所が発表した。すでに収束に向かっているという。気がかりなのは、千葉県沖でのスロースリップの発生頻度が最近非常に増えていることだ。前回のスロースリップは2011年10月に観測され、わずか2年3ヶ月しか経っていない。2011年10月のスロースリップも4年ぶりの発生だったが、それ以前は6~7年周期での発生だったから、「周期が短くなった」として騒がれた。

スロースリップはスロー地震とも呼ばれ、地表の揺れを伴わずに地下のプレート境界だけが通常の地震よりもゆっくりと動く現象だ。プレート境界型地震が発生する直前にも観測されるとされるが、こちらは前兆滑り(プレスリップ)と呼ばれ区別される。東海地震の予知は、この前兆滑りの観測として行われている。



日本近海のプレート境界の概念は上の図の通りだ。千葉県沖を含む関東沖では、4つのプレートが移動しながらぶつかり合うという世界的にも例のない珍しい場所にある。

今回のスロースリップが大地震の前兆かどうかについては、相反する2つの考え方ができる。1つ目は、プレート同士が押し合うことによって溜まる固着域(アスペリティ;ぶつかり合う2つのプレート同士が密着している区域)のストレスが、スロースリップによってある程度発散されるという考え方である。この考え方に立てば、スロースリップはプレート境界型地震の発生を遅らせ、あるいはその規模を小さくする効果を持つ、ということになる。

2つめの考え方は、これがスロースリップではなく前兆滑りだとする考え方である。この考え方に立った場合、結論は逆になり「大地震の発生が迫っている」ということになる。

今のところ、どちらに相当するのか当ブログが判断をするのは極めて困難である。ただ、上記のどちらの考え方を採るとしても、「千葉県沖のプレート境界にかかる力が3.11以降、以前より増している」ことだけは確実に言える。スロースリップの発生間隔が以前より短くなっていることがその証拠である。長期的(数十~数百年スパン)で見た場合には、大地震の発生間隔は以前より短くなる、あるいは地震の規模は以前より大きくなる方向だと考えなければならないであろう。念のため、首都圏~東北にお住まいの方は警戒を怠りなくするほうがいい。

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今日未明の福島県沖の地震について

2013-10-26 23:26:22 | 気象・地震
「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」について(第71報)~平成25年10月26日02時10分頃の福島県沖の地震~(気象庁報道発表)

今日未明の地震には驚いた方も多いだろう。東日本の太平洋沿岸に津波注意報が出され、実際に50cmの津波を観測した。

地震の規模はM7.1で阪神・淡路大震災とほぼ同じ。発震機構(地震のメカニズム)は東西方向に張力軸を持つ正断層型。プレート境界より東側の太平洋プレート内で発生した、いわゆるアウターライズ地震と呼ばれるものだ。

実は、2012年12月7日に三陸沖を震源として起きたM7.3、最大震度5強の地震が、今回の地震とあらゆる意味でそっくりである。このときもアウターライズ地震と言われ、やはり1mの津波を観測している。震源はこのときのほうがやや遠かったが、最大震度、津波ともこのときのほうが大きかった。一般に、津波は正断層型のほうが逆断層型よりも大きい。

気象庁は、今回の地震を東日本大震災の余震としているが、正直なところ違和感がある。広い意味で東日本大震災に誘発されて起きた関連地震ではあろうが、アウターライズ地震までを余震とみなすような考え方では、遠くない将来起きると言われるアウターライズ地震でまた対応が後手に回るのではないかとの思いを禁じ得ない。

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今日未明、福島県浜通りの震度5強の地震について

2013-09-20 23:18:40 | 気象・地震
「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」について(第70報)-平成25年9月20日02時25分頃の福島県浜通りの地震-(気象庁報道発表)

今朝、福島県を襲った震度5強の地震には驚いた人も多いだろう。当ブログは北海道で揺れを全く感じず、朝起きてからのニュースで知った。地震のニュースを知って最初にしたことがふくいちライブカメラの確認というのも相変わらずだが…。福島県で震度5強を観測したのは、読売記事によれば2011年9月29日以来、ほぼ2年ぶりという。

地震の概要はリンク先をご覧いただくとして、当ブログは発表された発震機構(地震のメカニズム)を見て衝撃を受けている。北米プレート内部の地震は逆断層型であるのが通常のはずだが、今回の地震は横ずれ断層型になっているからだ。

日本の東の太平洋では、東日本の大部分が乗っている北米プレートと太平洋プレートがぶつかり合い、太平洋プレートが北米プレートの下に潜り込んでいる。北米プレートは通常、太平洋プレートに押されているから、北米プレート内部の地震(プレート境界より西側。今回の地震もこのタイプに入る)はほとんどの場合、逆断層型(内側に向かって押される力で地殻が砕ける)になる。一方、太平洋プレートは西に向かって北米プレートを押しながら移動しているから、太平洋プレート内部の地震(プレート境界より東側)は通常、正断層型(外側に向かって引っ張る力で地殻が砕ける)になる。





ところが、今回の地震は逆断層型ではなく横ずれ断層型だという。当ブログは、もしかすると、この地震が「東日本の直下、または沿岸で3.11以降起きてきた地震の潮目が変わった」と、後々評されることになる地震になるかもしれないと危惧している。「第2の東日本大震災」の接近を告げる危険な兆候かもしれないのだ。

過去の地震との対比で見ると、北米プレート内部の地震であるにもかかわらず、発震機構が逆断層型でなかったものとしては、2011年3月23日の福島県浜通りの地震(資料)、2011年4月12日の千葉県東方沖の地震(資料)、同じ日の福島県浜通りの地震(資料)などがある。これらはいずれも、東日本大震災の余効変動が続いていた時期のものだ。

その後、2011年7月31日の福島県沖の地震(資料)、2011年8月19日の福島県沖の地震(資料)、今年5月18日の福島県沖の地震(資料)はいずれも北米プレート内部の地震だが、本来の逆断層型に戻っており、余効変動の終了をうかがわせるものとなっている。

もし、今回の地震が北米プレート内部で起きているにもかかわらず、横ずれ断層型だとすれば、東日本大震災直後の発震機構にむしろ近い。このような事態が起きている理由ははっきりしないが、3.11以降の2年半で再び東北地方沖のプレート境界のひずみが極致に達し、プレートの固着域(アスペリティ)が剥がれ始めた証拠の可能性もある。当ブログのこの推測が正しかった場合、第2の東日本大震災の危険はかなり差し迫っていることになる。

当ブログは、念のため、東北地方太平洋沿岸地域に最大級の警戒をするよう呼びかける。当ブログのこの警告が杞憂に終わることを願っている。

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(2013.9.26追記)

上記の記事で、当初、『日本の東の太平洋では、…北米プレートが太平洋プレートの下に潜り込んでいる。』としていましたが、『太平洋プレートが北米プレートの下に潜り込んでいる』の誤りでした。お詫びして訂正いたします(上記記事はすでに訂正済みです)。

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これは真夏の夜の怪談か?~「猛暑の後には大地震が来る」説について

2013-08-17 23:40:50 | 気象・地震
当エントリで記載する内容を信じるか信じないかは読者諸氏にお任せする。科学的根拠を持つものとは言えず、単なる統計学上の大まかな傾向に過ぎないからである。それでも当ブログがこうした不確実な話を取り上げるのは、第1には、いざその時が来てから「やっぱり事前に警告しておけばよかった」と後悔することがないようにしたいから。第2には、科学とか科学者を標榜する人たちが3.11以降市民の信任を失って「何が本当の科学か」が不透明になってきており、従来の「科学的立場」からは笑い飛ばされそうだったこの手の話の価値が増していると考えるからである。

確証が持てないが警告の意味でこの話題を取り上げているものと理解していただきたい。もし、この話が信じるに足りないと考える方は、「真夏の夜の怪談」と受け取っていただいてかまわない。

四万十、4日連続40度以上…国内初(読売新聞) - goo ニュース

高知県四万十市(西土佐江川崎)で8月10~13日まで4日間連続で最高気温40度超えとなったことは、すでに各メディアで報じられた。この夏の異常猛暑は、統計史上110年間で「最暑」と言われた2010年夏をも上回る勢いとなっているが、このところ各個人ブログなどで話題になり始めているのが「猛暑と大地震の関係」だ。

1923年夏 記録的猛暑→1923年9月 1日 関東大震災
1994年夏 記録的猛暑→1995年1月17日 兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)
2010年夏 記録的猛暑→2011年3月11日 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)

ここではいちいち紹介しないが、この猛暑と大地震の関係に触れている個人ブログは検索すれば比較的簡単に見つかる。ネット民には、こうした法則性を見つけるのが得意な人が多い(その理由も想像がつくが、当エントリの主題ではないので割愛する)。

にわかには信じがたい「法則性」だが、実際に調べてみると、1923年8月6日、徳島県板野郡撫養町(現・鳴門市)で42.5度という当時ではあり得ないほどの極端な最高気温が観測されていた(出典:ここ)。この気温が正式記録ではなく参考記録とされているのは、ここの観測点が中央気象台(気象庁の前身)の正式観測点でなく委託観測所だったことによるもので、温度計の精度が不足していたからではないことに注意を要する。

また、この年、東京でも35.1度という当時としては常識外れの気温が記録された、と記載している個人ブログもある。出典は明記されていないが、気象庁のデータベースを見ると、関東大震災が起きる直前の東京の8月の「月平均気温の平均値」は1922年(震災前年)が27.3度、1923年(震災の年)が27.2度。その前後の年と比べて突出して高くなっている。例えば1921年は25.3度、1924年は26.2度。それ以外の年もおおむね同様で、1922~23年が異常なのだ。

次に1994年を見よう。同じ気象庁のデータで、8月の東京の「月平均気温の平均値」は28.9度。1978年と並んで、この時点での戦後タイ記録となった。驚くことに、この記録は翌95年(阪神大震災発生直後)にあっさり破られ29.4度を記録。この95年の記録が破られるのは、…なんと2010年(29.6度)である。

ちなみに、1978年は、6月に宮城県沖地震(M7.4、最大震度5)が発生している。95年とあわせて考えると、「大地震は発生直前も暑いが、発生直後も暑い」といえそうである。

こうしてみると「猛暑の後に大地震」は荒唐無稽な説ではなく、統計的にはじゅうぶん検討に値すると思う。ただ、これ以外にも記録的猛暑だった年はあり、「猛暑の後に必ず大地震」ではないことに注意が必要だ。「後で振り返ってみれば、あのときもそうだった」的な後知恵の域を出ないが、戦後の代表的な大地震の前後の年に平均気温が高温で推移していることは興味深い。「国内各地で次々と最高気温の記録が塗り替えられるような年があった場合は、念のためその後1年程度は大地震に注意すべき」程度のことは言ってもかまわないと思われる。

数学の世界では、「aであるときは、bである」という命題が真であるとき、aをbであるための「十分条件」、bをaであるための「必要条件」と呼ぶことになっているが、「夏が記録的猛暑だと、大地震が起きる」という命題を立てたとき、これが真であるとは言えないから(猛暑の後、「必ず」大地震が来るとは限らないため)、猛暑は大地震発生の十分条件とは言えない。しかし、「必要条件」に該当する可能性はあるかもしれない(上記以外の地震についてもう少し精査が必要。もし、上記以外の地震についても同じことが言えるなら、その時は必要条件と言える)。

難しいのは、1923年夏に桁外れの気温が観測されたのが高知県鳴門市であるにもかかわらず、その後大地震に見舞われたのが東京であったように、この説から地震の発生場所を事前に推定することは不可能であることだ。これができるようになれば、地震予知に1歩近づけると思うのだが…。

いずれにせよ、今年の異常猛暑が「大地震の警告」の可能性はじゅうぶんある。当エントリを信じる方は、向こう半年から1年程度、大地震に念のため警戒してほしい。

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宮城中部で震度5強

2013-08-04 18:36:59 | 気象・地震
「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」について(第69報)-平成25年8月4日12時29分頃の宮城県沖の地震-(気象庁報道発表)

今日正午過ぎに起きた宮城県中部での最大震度5強の地震について短くコメントする。

地震の規模はM6.0と、東日本大震災の余震としてはかなり大きな部類に入る。震源深さが58kmあったからよかったが、3.11同様、10kmの浅い場所が震源だったらこの程度の被害で済まなかっただろう。地震の規模、震源地から見て、最大震度がよく5強で済んだと言えるケースだ。

発震機構(地震のメカニズム)はプレート境界より内側ということもあり、当ブログの予想通り逆断層型だった。圧力軸は東西方向で東日本大震災とは若干異なる。広い意味で3.11の余震とする気象庁の見解に異論はないものの、3.11以降の地震に誘発されて起きた北米プレート内部での関連地震とする見解も一定の説得力を持つように思われる。

リンク先のプレスリリース(9ページ中の4ページ)を見ると、今年以降、余震は徐々に少なくなりながらも、3ヶ月ごとに少し増える、というサイクルを繰り返しているように見える。また、5ページ目の余震発生状況を見ると、宮城県沖でM7以上の余震の震源が東西方向に一線に並んでいるのが気になる。この地域でプレートに強い力がかかり続けていることは明らかであり、今後もこの地域ではM6~7クラスの地震は充分あり得ると考えられる。震源地に近い地方では今後数日、震度4程度の余震にも注意してほしい。

危機的状況にある福島第1原発3号機の状況は、この地震でさらに悪くなったことは間違いない。地震発生後しばらく経ってから状況が急激に悪化する事態もあり得るので、福島原発に近い地域では念のため放射線量にも注意すべきと考える(当ブログ管理人が福島に残っていれば、放射線量の臨時測定を実施する基準に該当する)。

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地震予知、35年を経て放棄か?~事実上、方向転換へ

2013-05-29 23:03:34 | 気象・地震
<南海トラフ>「事前防災」取り組み重要 地震予測「困難」(毎日)
南海トラフ「予知困難」 前兆否定 揺らぐ根幹(産経)
東海地震「予知は困難」「前兆滑り」に疑問(東京)

日本学術会議が「東海地震の予知は困難」とする報告書を取りまとめたことを、主要各紙が報じている。1978年に制定された大規模地震対策特別措置法(大震法)による地震予知を「事実上困難」と見て、減災・防災をより重視するよう促す内容だ。35年の時を経て、事実上の方向転換といえる。

そもそも東海地震の予知は、1976年、地震予知連絡会の席上で、石橋克彦・東大理学部助手(当時)が、プレート・テクトニクス理論に基づいて「東海地震説」を提唱したことに始まる。石橋助手は、当時、メディア取材に答え、東海地震の発生時期について「極端に言えば明日来てもおかしくない」と発言し、日本中が騒然となった。この提唱を受け、1978年に大震法が制定され、東海地震の大規模な観測体制が整えられた。

東海地震の観測とは、大別して「体積歪み計」による地殻変動(主に掛川に対し、御前崎がどの程度沈降しているか)や前兆滑り(プレスリップ)の観測のことである。海溝型(プレート境界型)地震では、プレートの大規模なずれにつながるプレート境界での固着域(アスペリティ)の破壊が生じる直前に、地表の揺れを伴わず地下の岩盤だけが動く現象(前兆滑り)が観測できるとされ、この事前察知に成功すれば地震を予知できると考えられた。

一方、石橋助手が「明日来てもおかしくない」と述べたように、当時は東海地震の発生が切迫していると考えられており、「少しでも予知の可能性につながれば」というある種の希望的観測によって、体積歪み計による地殻変動や前兆滑りの観測体制がいずれも見切り発車的に進んできたという事情もあった。リンク先の東京新聞の記事にもあるように、すでに1997年の段階で、地震予知を「現時点では困難」とする報告を測地学審議会(文部大臣の諮問機関)が取りまとめてもいる。さらに(うがった見方かもしれないが)、東海地震説を唱えた石橋助手自身が、「原発震災」の危険性に警鐘を鳴らしてきたことから事実上学会を追放状態に追い込まれた(言うまでもなく、原子力ムラに刃向かったからにほかならない)。そうした経緯を考えれば、今回、日本学術会議が予知を困難とする結論をまとめるに至ったことに対し、当ブログには特段の驚きはない。いつかこんな日が来るのではないか、という予感はあったのだ。

それに、東日本大震災では結局前兆滑りは観測されなかったし、逆に、千葉県沖では大地震が発生していないのに、ある程度の規模のスロースリップ(ゆっくり滑り)が定期的に観測されている。「前兆滑り=大規模海溝型地震の前夜」という方程式はすでに崩れているのだ。

大手メディアはいずれも報じていない(というより、おおっぴらに報じられるわけがない)が、この「予知から減災・防災への転換」には隠された政府の「意図」がある。予知が困難となれば、地震発生を前提とした減災・防災対策を行うよりほかにない、ということになり、「耐震改修」「減災・防災」「津波対策としての高台移転」等を口実とした公共事業予算を獲得することができる。なんのことはない。55年体制下の自民党政権で見られた「公共事業ばらまき」体制への回帰、それへの布石というわけだ。アベノミクスの目玉商品のひとつに「国土強靱化」があり、見事に符合している。仮に公共事業費がふくれあがったとしても、「どうせ消費税も上げるし、なんとかなる」というのが政府与党の「本音」であろう。これは根拠のない推測などではなく、実際に自民党は昨年6月、消費税増税法案の附則に「国土強靱化の分野に予算を重点配分する」旨の規定を盛り込む修正をさせている。当時与党だった民主党を悪者にして。

むしろ、「政府が公共事業予算を重点配分したいと考えている地域が地震の危険地域として騒がれる」くらいに考えておいた方がいいと思う。国の財政危機の中で公共事業ばらまきには批判が強いが、「地震防災対策」が理由なら誰も反対できないからだ。

このところ、メディアではやたら「南海トラフ地震」が取り上げられ、耐震改修、避難訓練といったニュースが報道されている。要するにこの地域を中心に公共事業をやるぞ、ということだろう。当ブログのこの説が信じられない読者の方は、自民党「国土強靱化総合調査会長」を誰が務めているか、その議員が何県選出か調べてみるといい。そうすれば、ここに来て急に南海トラフが危ないと言われ始めた理由がわかると思う。

(誤解のないように申し上げておくが、南海トラフ地震が近いとはいえないとしても「そう遠くない」時期であることは間違いないと思う。少なくとも最近の地震発生状況からみて、東海地震より南海トラフが先に来る可能性はかなり高いのではないか。当ブログは東海地震について、平成20年代の半ばまでには来ると思っていたが、平成25年になっても予兆らしい予兆も起きておらず、正直、こんなに遅れるとは予想だにしていなかった)。

海外ではM6程度の地震でも建物が崩壊し、数百人単位の犠牲者を出すこともある中で、現在、日本ではM6程度で犠牲者が出ることはほとんどない。これには耐震性の高い建築物を造るためにゼネコン業界が続けてきた血のにじむような努力がある。その努力に水を差すつもりはないが、ゼネコン優遇、公共事業ばらまきの「いつか来た道」がまた繰り返される(それも、今度こそ福祉のために使われるとの約束だった消費税がまた浪費されて)というのでは有権者の不満は避けられないだろう。

もうひとつ、この「予知見直し」を通じて政府が私たちに発している「暗黙のメッセージ」がある。それは端的に言えば「政府はもう、どんな巨大地震が来るとわかっても警戒宣言など出さないよ」ということである。

もう少し具体的に説明しよう。大震法では、地震防災対策強化地域判定会(気象庁長官の諮問機関)が「東海地震発生近し」と判断した場合、気象庁長官がそれを首相に報告し、首相が警戒宣言を出せることになっている。警戒宣言を出せば、交通機関の運行停止、警戒区域内にある道路や事業所の閉鎖といった巨大な権限が首相に与えられるが、警戒宣言が有効に機能するためには、当然ながらいくつかの前提条件がある。

(1)前兆滑りと巨大地震との因果関係が科学的に証明されている
(2)国民の間に政府に対する信頼がある
(3)国民の生命・安全を守るためには、経済活動がある程度犠牲になることはやむを得ず、また、宣言が空振りに終わっても犠牲者が出るよりはよい、という社会的・国民的合意がある

概ね、最低でもこれくらいの前提条件がなければ警戒宣言は出しても有効に機能しないであろう。残念ながら、現状はこの3つの前提条件のうち1つも満たされていない。(1)は前述の通りだし、(2)の政府への信頼は3.11以前から徐々に低下していたが、3.11で不信が決定的になった。(3)に至っては、この国の政府・経済界が福島原発事故で何をしたかを見れば説明不要だろう。企業の金儲けのためなら200万人の福島県民を平気で見捨てる彼らが「たかが数十万の犠牲者」ごときで経済活動を止めるなど決してあり得ない。次の巨大地震が間近に迫ってきたとき政府がどんな対応をするか、既に当ブログにははっきり見えている――「前兆現象は観測できなかった。想定外」を理由に警戒宣言は決して出されることはない。Xデーは突然やってくる。市民の皆さんは、せめて3.11を教訓に自分の身は自分で守ってほしい。

最後に、予知の今後についてだけ触れておこう。地震学会の中には、予知が当面無理だとしても、観測体制まで完全に解除してしまうことには抵抗があるという。当然だろう。宝くじが当たる可能性は低くても、買わなければ当選確率がゼロなのと似ている。当面、予知に関してはそれくらいの割り切りが必要だろう。今は将来への投資と割り切り、研究のためのデータ収集という名目で継続してはどうか。遠くない将来、もし、地殻変動と建物の被害との関係が明らかにできる日が来たら、そのデータ、学術的知見はゼネコン業界にとってもきっとメリットをもたらすはずだからである。今、役に立たないからと言って、声高に「予知をやめろ」と叫ぶ人たちの神経は、私には理解できない。

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5月18日午後、福島県沖の地震について

2013-05-18 18:37:45 | 気象・地震
「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」について(第68報)-平成25年5月18日14時48分頃の福島県沖の地震-(気象庁報道発表)

東北沖で震度5強を記録する地震は久しぶりではないだろうか。前日から福島原発事故がらみの用事で妻が福島県内に滞在しており、帰宅できなくなるのではないかと心配だった。また、発生時刻が14時48分と、3.11(14時46分)とほぼ同じだったことから、あの日を思い出した人もいるのではないだろうか。

地震の規模はM6.0と、3.11の余震としては久々に規模が大きかった。震源深さは46kmで、3.11(約10km)と比べればやや深かった。発震機構(地震のメカニズム)は西北西-東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型(速報)で、3.11と方向まで全く同じ。報道発表のタイトルから、気象庁が3.11の余震とみていることがわかるが、当ブログも同じ見解である。

3.11の余震は、今後も数十年、あるいは100年スパンで続くこともあり得る。この程度の余震は、今後も起こりうるであろう。東北地方では、引き続き注意を怠らないようにしてほしい。

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【緊急警告】巨大地震発生に念のため警戒してください

2013-04-28 22:49:46 | 気象・地震
世間が大型連休ムードの中、こんな縁起でもない話をするのは大変気が引けるし、いたずらに根拠のない危険を煽るつもりもない。しかし、そのときが来てから「やはり警告を発しておけばよかった」と後悔することになっても困るので、念のため、警戒を促したいと思う。

南さつま市 イルカが打ち上げられる(KTSニュース)

鹿児島・南さつま市の海岸でイルカが31頭も打ち上げられた。これだけまとまった数のイルカが一度に打ち上げられるのは、日本近海では3.11の直前以来である。ちなみに、そのときのニュース映像は以下のとおりだ。

海岸にイルカ約50頭打ち上げられる 茨城・鹿嶋(11/03/05)


東日本大震災は、この6日後に発生している。

海の生物、特にイルカ・クジラは海底や海中の電磁波、磁場の変化に対してきわめて敏感である。大規模な地殻変動の時は、地球磁場にも大規模な変動が起きることが多く、イルカやクジラはこうした変化を察知して行動するが、時には方向感覚を失い、大量に打ち上げられることがある。誤解を恐れず言えば、多額の税金を注ぎ込みながら地震予知に関してはまったくお手上げの気象庁などよりイルカ・クジラのほうがよほど信頼できる。イルカ・クジラが1頭~数頭の時は気にする必要はないが、まとまった頭数(数十頭)で打ち上げられるときは「何かの警告」であることが多いのだ。

ただ、イルカ・クジラは潜水艦のソナーなどが発する音波にも反応することがあるため、イルカの大量打ち上げが必ず大地震につながるとは限らない。あくまでも可能性を示す材料のひとつとしていただきたいと思っている。

仮に前兆である場合、どの地域にどの規模の地震が発生するかを予測することはできない(その予測ができるくらいなら、当ブログ管理人は現在の本業などなげうって地震予測を本業にすると思う)。イルカが打ち上げられた九州沿岸から、三宅島の地震や箱根での群発地震など異変が続いている首都圏沿岸まで可能性があると思う。念のため警戒してほしい。

当ブログの警告が空振りに終わることを願っている。

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三宅島で震度5強、宮城では5弱…列島大揺れ

2013-04-19 23:27:32 | 気象・地震
平成25年4月17日17時57分頃の三宅島近海の地震について(気象庁報道発表)

この日の午前10時過ぎから、突然、三宅島で活発な地震活動が始まった。それも、マグニチュードが2~3といった弱いものではなく、いずれもM4台の中規模のもの。この規模の地震活動が続くということは、地殻内部のストレスはそれなりの規模で溜まっている。当ブログ管理人が三宅島の火山活動を注視していたところ、夕方になってこの地震が起こった。「やはり来たか」というのが率直な感想だ。

気象庁の報道発表では火山活動とは無関係、としている。直接的にはそうかもそれないが、地震帯と火山帯はほとんどが同じ場所にあり、相互に作用を及ぼし合っていることが知られている。この地震が引き金になり、将来の火山活動が活発化する恐れはないとは言えない。

また、この日の夜には宮城でも震度5弱を記録した。こちらは東日本大震災の余震活動の一環と見られる。

それにしても、最近、日本周辺は大揺れに揺れている。これまで地震と無縁だった地域でも、前兆もなく突然大きな揺れが襲うことがあり得るので十分警戒してほしい。

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淡路島で震度6弱、阪神・淡路大震災来18年ぶり

2013-04-13 23:29:51 | 気象・地震
平成25年4月13日05時33分頃の淡路島付近の地震について(気象庁報道発表)

今朝5時半過ぎ、兵庫県淡路島で震度6弱の揺れを感じる地震があった。報道されているとおり、この地域での震度6弱は阪神・淡路大震災(1995年)以来18年ぶりのことだ。地震発生時刻も阪神大震災が5時46分、今回が5時33分と同じような時間帯で、18年前の記憶がよみがえった人も多いのではないだろうか。

気象庁の報道発表を見よう。

発生日時 4月13日05時33分頃
マグニチュード 6.0(速報値)
場所および深さ 淡路島付近、深さ約10km(速報値)
発震機構等 東西方向に圧力軸を持つ逆断層型 (速報)

震源は、阪神大震災と比べて南西に位置している。発震機構(地震のメカニズム)は東西方向に圧力軸を持つ逆断層型。阪神大震災の横ずれ断層とは異なる。

地震の規模はM6.0(速報値)で、阪神大震災と比べて約1小さいから、地震のエネルギーは約30分の1。にもかかわらず揺れが大きかったのは、直下型で、しかも震源が浅かったことによる。

この地震が阪神大震災の余震かどうか、また、南海トラフ地震と関係があるかどうか、専門家と気象庁、あるいは専門家同士も見解が割れている。

参考記事:淡路島震度6弱 阪神大震災の余震か否か…専門家と気象庁割れる見解(産経)
阪神、南海トラフとの関係は…(毎日)

当ブログは、阪神大震災との関係は不明、南海トラフ地震との関係は「あり」との見解を取る。

地震学の世界では、M7~8クラスの巨大地震の場合、20~30年後でも余震、あるいは関連地震との見解が取られることがある。今回の場合、阪神大震災以降、体に感じない微小地震が続いていたとして「余震」との立場を取る専門家もいる。しかし、余震ならこの間、もうちょっとはっきりした地震活動の実績が必要なのではないだろうか。

当ブログは、むしろ、3.11以降活発化した和歌山県北部の地震に触発されて起きた地震ではないか、という気がする。

一方、今回の地震は、遠くない将来、南海トラフ地震が起きたとき「今思えば、あの地震も前兆だったのか」と振り返られることになる地震のひとつになるのではないか。3.11以前も、宮城・岩手内陸地震を初め、2009~10年頃から内陸部での断層型地震が相次ぐようになり、それが東日本大震災につながった。リンク先記事の古村孝志教授(地震学、東大地震研)のコメントにあるように「南海トラフでの地震が近づくにつれ、内陸地震が増える傾向は歴史上知られている」のである(古村教授は南海トラフを例に出しているが、他の海溝型地震についても同じことである)。

西日本での海溝型地震といえば東海地震ばかりが注目されてきたが、最近の内陸での地震の傾向を見れば、東海よりも東南海・南海地震のほうが先に来る可能性が高い。西日本の太平洋岸各地にお住まいの皆さんは、数年後に訪れるであろう「Xデー」に備え、今から備えをしてほしい。

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