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第97回(2015年)夏の高校野球を振り返って

2015-08-21 23:55:29 | 芸能・スポーツ
第97回夏の全国高校野球は、東海大相模(神奈川)の45年ぶり2回目の優勝で幕を閉じた。45年前(1970年)の優勝時、東海大相模の監督は原貢さん。いうまでもなく、原辰徳・巨人監督の父である。改めて45年という歴史の重みを感じる。

高校野球が始まって今年は100年の、記念ではないが節目の年。それなのに今年が第100回大会でないのは、太平洋戦争中の1943(昭和18)~1945(昭和20)年までの3年間、大会が中止に追い込まれたからである。1943年度に入学した生徒たちは、在学中、一度も野球ができないまま卒業しなければならなかった。戦後70年の節目でもある今年、改めて野球ができるほど平和であることに感謝するとともに、安倍政権の「戦争法制」を阻止しなければならないと思う。学生たちが白球ではなく黒光りする武器を持ち、甲子園の土の上ではなく遠い異国の土の上を行進しなければならなかった、あの時代を繰り返さないために。

今年の大会を一言で形容すれば、人気も実力も話題性も、すべて関東勢が独占した大会だった。特に早実(西東京)の清宮幸太郎は、まだ1年生ながら大物の予感を大いに感じさせ、ブームの様相すら呈した。1人の選手を巡ってここまでフィーバーが起きたのは、ハンカチ王子こと斎藤佑樹(早実→日本ハム)以来だろう。その斎藤が、プロ入り後は全く精彩を欠き、日本ハムでお荷物的存在になりつつあることを考えると、清宮には今後の頑張り次第で先輩を超える可能性は十分にある。ただ、斉藤がプロ入り後に精彩を欠くことになった最大の原因が、必要以上に彼をちやほやし、フィーバーを起こした周囲にあるだけに、清宮には斉藤先輩の轍を絶対に踏まないでほしいと思う。

例によって、個別の試合を取り上げて論評する余裕が当ブログにはないが、大会全体を概観すると、

(1)例年以上に「東高西低」が際立っていた
(2)打撃戦がほとんどを占め、ロースコアの投手戦がほとんどなかったものの、極端なワンサイドゲームも少なく熱戦が多かった
(3)失策があまりに多く、当ブログの我慢の限界をはるかに超えていた

――等が、今大会の特徴として挙げられる。

(1)に関して言えば、ベスト16のうち関東勢は早実、東海大甲府(山梨)、花咲徳栄(埼玉)、東海大相模、作新学院(栃木)、健大高崎(群馬)、関東第一(東東京)と7校。これに鶴岡東(山形)、秋田商(秋田)、仙台育英(宮城)、花巻東(岩手)の東北勢4校を含めると、16校中11校を関東・東北勢で占めた。

特に、一昨年4強入りした日大山形、昨年16強入りした山形中央に続き、今大会も鶴岡東が16強入りした山形県勢の躍進には目を見張るものがある。山形県民にとっては、1985年の大会で、東海大山形がPL学園(大阪)に29-7で敗れた後、「我が県勢はなぜこんなに弱いのか」と県議会で取り上げられるほどだった。それから30年かかったが、かつては「初戦敗退常連県」だった山形県勢が4強1回を含め、3年連続16強以上というのは驚くべき躍進だ。しかも、同じ学校ではなく、3年続けて別の学校が出場しながらすべて16強以上という結果は「山形野球」の底上げを物語る。当ブログは、誤解を恐れずあえて断言しよう――「全体として強くなった東北野球の中でも、最も強くなったのは山形県勢である」と。

準々決勝(8強)段階でも、早実、花咲徳栄、東海大相模、関東第一、仙台育英、秋田商の関東勢4校、東北勢2校が残った(残る2校は九州国際大付(福岡)、興南(沖縄)の九州勢)。準決勝は関東勢3校、東北勢1校。今大会が、例年にも増して関東・東北勢中心の大会だったことに異論はないと思う。

関東・東北勢優位があまりに極端だったせいか、毎日新聞(参考記事:夏の甲子園:「打高投低」「東高西低」が顕著に)や、夕刊紙「日刊ゲンダイ」(参考記事:様変わりした甲子園勢力図 「東高西低」はいつから、なぜ?)などのメディアが相次いで「東高西低」問題を取り上げた。だが、一昨年(過去記事)、昨年(過去記事)とすでに「東高西低」を指摘している当ブログから見れば「今さら」感は拭えない。

(2)に関しては、ほとんどの試合が打撃戦だったが、追いつき追い越し、追い越されのシーソーゲームも多く、観客を飽きさせない実力伯仲の大会を象徴していた。

そして(3)だが、この問題を当ブログは過去にも指摘している。守備より打撃を優先させる野球であってもかまわないが、今大会で無失策試合は大会3日目、1回戦の敦賀気比(福井)-明徳義塾(高知)戦と、大会9日目、2回戦の鳥羽(京都)-津商(三重)戦のわずか2試合のみ。これ以外のすべての試合でエラーが記録され、中には記録に残るだけで1試合3失策以上の学校もかなりあった。

今大会は、特に打撃に関して言えば、各出場校の間に大きな差はなかったように思う。どのチームもビッグイニングを作る力があり、やや極端な言い方をすれば、初戦で敗退した学校も優勝した東海大相模も、こと打撃に関する限り、差はあっても紙一重に過ぎなかったのではないか。

打撃力に大きな差がないだけに、通常であれば試合の行方を決めるのは打撃力以外の部分(守備力、投手力)となる。先にエラーをしたチームから順に敗退し、甲子園を去るのが通例だが、今年はデータを見る限り、両チームともエラーが多いため、エラーが勝敗の行方に決定的影響を与えない試合も多かったように思う。相手より多くのエラーが記録されながら勝っている学校も多く、「エラーで失点しても、それ以上に打って取り返し、勝つ」というメジャーリーグ並みの試合をするチームが例年にも増して多かった。

そんな中、エラーの多かった今大会を象徴していたのが、大会4日目の第1試合、初出場の津商を相手に初戦敗退した智弁和歌山だろう。記録に残るだけで実に7失策を喫し、「長い監督生活の中でも、生徒たちがこんなにエラーをするのを見たことがない」と監督みずから声を絞り出さなければならないほど壊滅的な守備の崩壊だった。「エラーで失点しても打って取り返す」がいくら今大会の趨勢とはいえ、これほどの守備崩壊では取り返しようもない。対戦相手の津商も3失策。両校合わせて2ケタ失策という締まりのない試合こそ、今大会の象徴だった。

これまでの当ブログであれば、「守備力の強化が今後の課題。打撃ばかりでなくもっと守備練習を」と苦言を呈していたことだろう。しかし、毎年のように同じことを指摘しなければならないとすれば、それは日本の高校野球の質が以前と変わってきていることの現れかもしれない。多くの高校野球指導者がそうしたスタイルを容認し、問題とも思っていないのだとすれば、単に当ブログ管理人の頭が「古い」だけであり、ひょっとすると意識を変えなければならないのは当ブログのほうなのかもしれない。したがって、今回はそのような指摘はやめる代わりに、このような状況が長く続けば、日本のプロ野球が10年後、メジャーのような方向に大きく「様変わり」する可能性に触れるにとどめたい。

最後に、決勝戦で散った仙台育英についてひと言触れておこう。東北勢初の優勝はまたも決勝戦の厚い壁に跳ね返された。東北勢の準優勝は、春の選抜を含めこれで実に11回目という。東北の高校野球ファンにしてみれば、準優勝はもう見飽きた、そろそろ優勝が見たいという気持ちだろう。だが、当ブログの見るところ、今大会の仙台育英よりも、2年連続準優勝を成し遂げた2011~2012年の光星学院(青森、現在の八戸学院光星)のほうが強かったように思う。

何人かのインターネット民が指摘しているように、東北勢は「東北勢初優勝の重荷」を背負いすぎているのではないか。特に、東北勢の中でも激戦区である宮城、岩手県勢には、被災地という事情もあり大きな重圧がかかっているように感じる。優勝なんてできなくてもいいし、「復興のために懸命に頑張っている地元の人たちへの恩返し」のような余計なことは考えず、元気に、のびのびと自分たちの野球をやりきるという姿勢に徹したほうがいいように思う。こんな言い方をするのは大変失礼だが、東北勢初優勝は、案外、期待されてもいないような意外な学校(山形県勢や秋田県勢の、例えば初出場校)によって達成されるのではないかという気が、最近はしてきた。

今ではすっかり国民的行事として定着した高校野球だが、元々は教育活動としての部活動に過ぎない。優勝はたしかに尊いが、それだけが目標であってはならない。前述したように、30年前は初戦敗退常連県だった山形県勢が3年連続16強以上となるなど、細かいところまで検証すると、この間、成果ははっきり見えている。少なくとも、東北勢優勝の可能性は、この間退潮の著しい九州勢や四国勢よりは高いと考えて良いだろう。閉会式で奥島高野連副会長が「東北勢の全国制覇は近い。そう思わせる準優勝でした」と総括したように、遅かれ早かれその日は訪れる。トンネルは長ければ長いほど、抜けたときの明るさも喜びもひとしおである。そのように前向きに考え、次の機会を焦らず騒がず粘り強く待つことにして、当ブログ恒例の大会講評を締めくくりたい。

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上甲監督、胆道ガンで死去

2014-09-02 23:56:21 | 芸能・スポーツ
済美 上甲正典監督が死去 67歳、胆道がん…センバツ2度制覇(スポニチ)

済美高校野球部監督だった上甲正典さんが、まだ67歳の若さで帰らぬ人となった。夏の甲子園大会期間中に体調を崩し、わずか半年あまりでの急逝だ。

当ブログは、上甲監督の精神主義的な選手起用のあり方には批判的で、昨夏、今年と甲子園総括で疑問を呈してきた。今年の大会後には、選手起用のあり方が時代遅れだとして引退勧告も行ったが、まさかこのような形で上甲さんが済美の監督を離れるときが来るとは夢にも思っていなかった。胆道ガンを患っていたことも報道で初めて知った。

取手二高~常総学院の監督を務めた木内幸男さんのように79歳まで監督を務めた人もいる中で、67歳とはあまりに早すぎる。最近は賛否両論あったが、一時代を築いた監督であることは確かだ。当ブログとしても謹んで哀悼の意を表する。

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第96回夏の全国高校野球大会講評

2014-08-27 21:53:02 | 芸能・スポーツ
大阪桐蔭、雑草魂4度目逆転勝ち!2年ぶり4度目全国制覇(スポーツ報知)

<夏の高校野球>総括…「打高投低」の傾向が顕著だった大会(毎日)

第96回夏の全国高校野球大会は、終わってみれば優勝候補の「本命」大阪桐蔭が2年ぶり4回目の優勝を成し遂げ閉幕した。今回も、グラウンド内外でいろいろあった大会だったが振り返っておこう。

今大会は悪天候に泣かされた大会だった。台風接近で開会式がいきなり2日間順延となった。開会式が2日続けて順延になったのは甲子園史上初の珍事で、波乱の予感を抱かせた。これ以降は、悪天候の中でグランド整備をしながら必死に日程を消化したが、球児たちには気の毒な大会だった。

悪天候の影響で8月9日(土)の試合がなくなり、16~17日の週末も大雨の中の試合となった。また、休養日もずれ込んで23日(土)に当たるなど、最も観客動員が見込める週末に試合がなかったり悪天候だったりすることが続いた。テレビ観戦している限り観客動員に大きな影響はなかったようだが、球場での物販の売り上げ等には大きな打撃だったのではないかと想像している。

毎日新聞の記事にある通り、打高投低の傾向が強く出た大会だった。甲子園大会は「春の投手力、夏の総合力」と言われ、夏の大会で打撃が勝負を決めるのは例年のことだが、とにかく今年は逆転試合が多かった。大垣日大×藤代戦で、0-8から逆転勝ちした大垣日大のように、大量得点差をも跳ね返す逆転試合が多かった。決勝戦も、先制点を奪われた大阪桐蔭が逆転勝ちするなど今大会を象徴する幕切れだった。調べたわけではないが、全試合の半分近くが逆転試合だったのではないか(あるいは半分以上かもしれない)。

こうした試合展開は、観戦している側にとってはスリリングでいいものだが、プレーしている球児たちには気が気ではなかったのではないか。「あまりに逆転試合が多すぎて、選手たちが先制点を奪うのに躊躇しなければいいが」と余計な心配をしてしまうほどの逆転劇の多さだった。

逆転劇が多かった大会を象徴するように、延長戦、サヨナラ試合も多かった。忘れられない光景だったのが、1回戦、鹿屋中央(鹿児島)×市和歌山戦だ。1-1の同点で迎えた延長12回裏、鹿屋中央の攻撃だった。1死1、3塁で打者が放ったのは二ゴロ。二塁手が捕球後、本塁に送球すべきところを誤って1塁に投球。打者走者は刺したものの、3塁走者が生還して鹿屋中央がサヨナラ勝ち…。

私は一瞬呆気にとられ、「ああ、アウトカウントを間違えたのだ」と事態を理解するのに少し時間を要した。二塁手は緊迫した場面で頭が真っ白になり、アウトカウントを含めすべてが飛んでしまったという。「甲子園には魔物が棲む」ということを改めて思い知らされた、あまりに残酷な瞬間だった。

こうした逆転試合の多さを受けて「投手力の整備が今後の課題」とする報道も一部にあったようだが、優れた投手を擁するチームがことごとく地方大会で敗れ、甲子園に出場できなかったことも打高投低の大会となった背景として挙げられる。昨年の第95回大会の講評で、当ブログは投手を中心に2年生に逸材が多い大会だったことを指摘、「プロ野球のスカウト陣には悩ましいところだが、来年に向け、楽しみが温存されたと肯定的に捉えよう」としていた。本来なら昨年の大会を沸かせた2年生たちが3年となり、甲子園を盛り上げてくれるはずだったが、そのほとんどが地方予選敗退で甲子園に出場できなかったことが、今大会をより一層打撃優位の大会へと変えたのである。

そのうえ、優勝候補と目された強豪・有名校が1回戦段階で次々と敗れる波乱もあった。開会式直後の初日の第1試合で、春のセンバツ覇者・龍谷大平安(京都)が春日部共栄(埼玉)に敗れたのがその象徴だったように思う。出場全49校の中で最初に甲子園を去るのがよもや春の覇者になるとは、一体誰が予想できただろうか。智弁学園(奈良)、広陵(広島)などの強豪校も1回戦で散った。戦国時代にふさわしい大会だった。

全体としては、東日本勢が今回も優勢だった。西日本勢が久しぶりに気を吐いた今年の選抜大会の講評で、当ブログは「東日本勢中心に展開してきたここ数年の大会の趨勢が、今年を境にまたかつてのような西日本勢中心に戻るのか、それとも再び東日本勢が勢いを盛り返すのか。夏に向け、これも楽しみな点」としたが、結果としては再び東日本勢優位に戻った感がある。特に、東北勢は角館(秋田)を除く5校が揃って1回戦を突破、山形中央は3回戦に進出した。

特筆すべきは東海・北信越勢5校が揃って1回戦を突破したこと。これは初の快挙だ。目を見張る強打で4強に残った敦賀気比(福井)を中心に、それぞれがきらりと光る個性に満ちた東海・北信越勢。三重の準優勝は、東海・北信越勢が活躍した今大会の象徴だ。日本文理(新潟)は、甲子園でも上位進出がすっかり定着した感がある。かつて言われた「雪国のハンディ」はすっかり過去のものとなった。

逆に、西日本勢はまた低迷した。大阪桐蔭が優勝して面目を保ったが、1回戦開催中、「近畿勢 全滅か」というツイッターのタイムラインが回るほど一時は全校敗退の危機に見舞われた。九州勢も沖縄尚学が8強に残り、鹿屋中央がなんとか初戦を突破したが、それが精いっぱいだった。準々決勝~決勝の顔ぶれを見る限り、表向きは西日本勢が頑張ったように思えるが、これは1回戦段階で西日本勢同士、東日本勢同士の対戦が多かったため、西日本勢も多く生き残れた影響が大きい。1回戦の対戦成績を注意深く見てみると、東西対決となった試合はほとんど東日本勢が勝っている。春のセンバツのように1回戦で東日本勢同士、西日本勢同士が対戦しないような組み合わせ抽選が行われていれば、西日本勢はもっと苦しい戦いを強いられていた可能性もある。打高投低と並び「東高西低」もここしばらくは続きそうだ。

今大会の大きな話題として、「機動破壊」をスローガンに掲げた健大高崎(群馬)の「大量リード下における盗塁」と、東海大四(南北海道)・西嶋亮太投手の超スローボールの是非が問われた。結論から言えば、当ブログはどちらも戦術、技術の一環として「問題なし」の立場だ。

健大高崎は、2011年の初出場から機動力野球を売り物にしており、今大会でもその機動力はひときわ目立った。みずから「機動破壊」のスローガンを掲げ、2回戦の利府(宮城)戦では11盗塁。合計では26盗塁となり、大会記録にあと3と迫った。準々決勝で大阪桐蔭に敗れたが、ここで4強に進出してもう1試合多く戦っていれば確実に大会記録更新だった。

こうした同校の姿勢に、「大量得点差でリードしているときは盗塁を控える」というメジャーリーグのマナー(?)を持ち出し、フェアプレー精神に反する、との指摘がなされた。しかし、そうしたマナーが存在するということを当ブログは初めて聞いた。20年以上前、自分の野球部時代にもそんな話は聞いたことがない。それに、8点差でも逆転されるような今大会の流れの中で、なぜ同校がみずからの最大の武器である「足」を封印しなければならないのか。勝利が野球のすべてではないとしても、それで逆転負けを喫したら誰か責任を取ってくれるのか。本塁打を打ちまくる野球もいいが、足を生かして走者が貪欲に次の塁をめざす野球のどこが悪いのか。「柔よく剛を制す」ということわざもある。健大高崎のようなチームがいることが、甲子園ファンにとって「スパイス」になっている。

西嶋投手の超スローボールについても、打者のタイミングを外し、打たれにくくする投球術のひとつであり、外野からとやかく言われる筋合いはない。それでストライクになれば大したものだし、外れればカウントを悪くして自滅するだけのことだ。

ところで、優れた投手を擁するチームがことごとく地方大会で敗れ、甲子園に出場できなかったことが打高投低の大会の背景であることは上ですでに触れたが、その象徴だったのが安楽智大投手を要する済美(愛媛)の地方大会での敗戦だ。安楽投手の投げ過ぎはすでに昨夏から問題とされており、「地方大会で負けたことが逆によかったのかもしれない」とする論調も一部にあった。私も安楽投手の今後を考えるならそれでよかったと思っている。

済美に関しては、野球部でいじめが発覚するという大変残念な出来事もあった。この影響で済美は対外試合禁止処分となり、安楽投手も高校日本代表の選考から外れるに至った。当ブログには、野球部でのいじめ問題と安楽投手の「使い潰し」の根は同じところにあるように思える。上甲正典監督はかねてから「高校生に投球制限は不要」が持論であり、安楽投手の連投を容認してきた。1991年の大会で投げ過ぎのため肘を壊し、プロに進んだものの野手転向を余儀なくされた結果、短期間で引退に追い込まれた大野倫投手(沖縄水産~巨人)の悲劇を、当時から宇和島東の監督として間近に見ているにもかかわらず、である。いじめ問題もこうした指導法が根底にあることは想像に難くない。

時代はとっくに変わり、甲子園では投手の連投を避けるため、複数のエースを擁し交代で投げさせるのが主流になっている。地方大会では今年からタイブレーク制(延長戦に入った場合、1死満塁から攻撃を始める制度)が導入された。より一層選手の体調に配慮した大会運営にすることはコンセンサスと言っていい。そうした中、昭和にタイムスリップしたかのような「根性論一辺倒」の前時代的、反科学的な指導法を取り続けた結果、投手の使い潰しも部内でのいじめの発生も防ぐことができなかった上甲監督には率直に言って疑問だし、もはや彼の時代は終わったと考える。当ブログは上甲監督に引退を勧告する。

最後に「場外戦」的話題として、春日部共栄高校の「おにぎりマネ」問題に触れておこう。ことの経緯は報道されている通りだが、春日部共栄高校の3年生女子マネージャーが、選手のためおにぎりを握り続け、そのために選抜クラスから普通クラスに転籍したとして話題を呼んだ件だ。マネージャーの高校野球における歴史は古く、選手と事実上一心同体の存在として、陰から選手たちを支えてきた。かつてはベンチ入りもできなかったが、96年の大会から「公式記録員」枠でマネージャーも1人に限りベンチ入りできるようになったことは、古い高校野球ファンにはよく知られている(監督同様、背番号がないため試合中のグラウンド上には出られず、いわゆる「伝令」もできない)。

こうした女子マネージャーの存在が、今頃になってクローズアップされた背景に、安倍政権の女性「活用」方針があることは想像に難くない。女性「活用」問題については、そのうち別エントリで論じたいと思っているが、この話題が出た当初、「ジェンダー論の観点から餌食になるな」と思ったら案の定、論争になった。「男性=表舞台に立つ人」「女性=陰から支える人」という構造がジェンダー論の観点から認めがたいと捉えられることは容易に予想できたし、古くは1975年、「あなた作るひと、わたし食べるひと」という食品会社のCMが、性別役割分業の観点から批判され放送休止に追い込まれた出来事を思い出した。

このことをどう捉えるかは当ブログにも判断は難しい。性別役割分業否定論を根拠とした反対論、「おにぎりを握ることが本人のキャリアに結びつかず、そのために選抜クラスを捨てることが社会的損失に当たる」とする反対論もあった。容認論の多くは「本人の選択だから」というものが多いが、当ブログにはどれもどうもすっきりしない。性別役割分業という観点でいえば、これが仮に「女子スポーツ部の男子マネージャー」という逆のパターンだったらどうかと考えると比較的すっきりするのではないか。「性別ゆえに表舞台に立つ道が初めから閉ざされている中で、表舞台に立つ選手を陰から支える」という存在を私たちの社会が容認するかしないか、という問題である。

本人の選択ならいいんではないの、と思う半面、「強制でなければなんでも容認なのか」と言われたらそうとも言えない。たとえば、生活のために性風俗産業で働くことを「本人の意思で選んだ」女性に対し、それを容認すべきかどうかと尋ねられたら、当ブログは明確に「否」と答える。生活のために女性がそのような事態を不本意ながら受け入れざるを得ない社会は改善されるべきなのだ。

もっとも、大人社会の性風俗産業と同一視するのはいささか極端かもしれない。「陰から支える」役割はどんな時代のどんな社会にも必要だし、日本社会のように「神輿に乗る人よりも、担ぐ人のほうが真の権力者」であるというケースも珍しくない。みずから望んで表舞台に立たず、誰かを支える「参謀」役となる場合もある。当ブログ管理人もその典型であり、組織のトップに立てる器ではないと思っているから、名参謀役ができるならそれが一番いいと思っている。ただ、その役割が性別で自動的に規定されるなら、それは本人の意思とは別のレベルで改められなければならない。

キャリアの毀損という観点でいえば、このマネージャーは普通クラスではなく特進クラスへの転籍とする一部報道もある。春日部共栄高校の選抜クラスは偏差値が70、特進は67であり、当ブログ管理人から見ても雲の上のような存在だ。実際、受験競争を生き抜いた世代である当ブログ管理人から見れば、偏差値など65を超えれば大勢に影響はなく、70でも67でもその後の人生は大きく変わらないような気がする。「レベルを落として67」の頭脳があれば、その後の人生は彼女次第ではないかとも思える。今後の彼女の人生に幸多くあることを願っている。

むしろ、当ブログが違和感を覚えたのは「上から目線」で、ジェンダー論だのキャリアだのを振りかざして説教を垂れる大人たちのほうだ。東京都議会で、少子化問題への取り組みを質した女性都議(塩村文夏さん)に対し、「お前が産め」という女性蔑視、人権侵害のヤジが飛んだのはついこの間の出来事である。この国の大人たちは、高校生の振る舞いをとやかく言う前に、自分の身の回りで起きている女性差別を根絶するほうが先だ。それすらもできない大人が高校生に対し、偉そうにジェンダーだのキャリアだのを説いても、当の高校生には響かないばかりか白けるだけであろうし、大人がこんなことをしている限り、女性の社会進出指数が世界105位の日本の惨状も変わることはないと思う。

今回もいろいろなことがあった高校野球大会だった。甲子園から高校球児が消えると、厳しかった夏も終わりが見えてくる。実際、ここ数日で朝晩は急激に涼しくなった。球児たちは冬に耐え、また来年の甲子園で美しい花を咲かせてほしい。

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センバツ終わる 平安、意外(?)にも初優勝

2014-04-02 20:53:37 | 芸能・スポーツ
<センバツ>龍谷大平安が38回目で初の頂点 京阪対決制す(毎日)

第86回選抜高校野球は、京都・龍谷大平安の初優勝で熱戦に幕を閉じた。リンク先の記事にあるように、京都勢の選抜制覇は実に66年ぶり。龍谷大平安は、かつての平安高校時代以来、38回目の出場でセンバツは初優勝というから意外な気がする(夏は3回全国制覇している)。決勝戦は、履正社(大阪)との対戦となったが、関西勢同士の対戦は35年ぶりとのことで、これも意外な気がする。

今年は記念大会ではなかったが、甲子園球場ができて90周年ということで、開会前から話題を集めた。アベック出場(同一都道府県から複数の学校が出場すること)が東京、栃木、和歌山、京都、鹿児島、沖縄の6都府県と目立った。うち東京、和歌山、鹿児島の1校は21世紀枠で、東京からは、初の都立校として小山台、また鹿児島からは奄美大島の大島が離島からの出場として話題になった。

復活した「古豪」のうち最大の注目を集めたのは、やはり池田(徳島)だった。今大会は、開会式(3月21日)が祝日だったこともあり、当ブログ管理人は久しぶりに開会式のテレビ中継をリアルタイムで見たが、甲子園の高校野球ファンからひときわ大きな歓声を浴びたのが池田だった。高校野球史に残る名将・蔦文也監督に率いられ、ベンチ入りが14人までしか認められていなかった当時の甲子園でもひときわ少ない11人の選手で好成績を残した「さわやかイレブン」「やまびこ打線」の旋風から27年・・・オールドファンには懐かしい「IKEDA」のユニフォームが甲子園に帰ってきたのだ。ひときわ大きな歓声だったのもうなずける。海南(和歌山)も27年ぶりの出場だったが池田の時ほど大きな歓声を受けなかったのは、21世紀枠であったことと、かつての成績が池田ほど華々しくなかったからだろう。

その池田と海南は、2日目の第2試合で対戦した。1回戦で対戦するにはもったいないような屈指の好カードだったが内容もそれにふさわしかった。7回まで1安打に抑えられていた池田が8~9回に集中打で追いつき、逆転サヨナラ勝ちを決めたときには、かつての「やまびこ打線」の片鱗を見るようだった。当ブログ管理人は、27年ぶりに流れる池田高校の校歌を初めは思い出せなかったが、「これぞわれらが学びの舎」あたりで過去の記憶が蘇り、「ひかり ひかり ひかりを呼ばん」以降は完璧に歌えた。池田のアルプススタンドに合わせて校歌を口ずさんでいるうちに背筋がぞくぞくするような快感を覚えた。これこそ高校野球の醍醐味だが、7回当たりから、「よもやあの池田が初戦で姿を消すのか」というムードが甲子園全体を覆い、異様などよめきに包まれているのはテレビ放送を通じてもはっきりとわかった。逆転サヨナラ負けを喫した海南の監督が「池田高校さんというだけで異様なムードで、やりにくかった」と敗戦の弁を述べたが、これは偽らざる本音だろう。伝統校、有名校と対戦するのも大変だと、このときばかりは海南ナインに同情した。

2日目の第3試合、豊川(愛知)×日本文理(新潟)戦は、当ブログ管理人は甲子園のレフトスタンドで生で観戦した(サムネイル写真はそのときの3塁アルプス、豊川応援団を撮影したもの)。9回までリードを許していた豊川が追いつき、試合は延長13回にもつれ込んだ。通常の試合より長く観戦できたのは得をした気分だったが、延長10回表、日本文理に2点を奪われ、そのまま逃げ切られるかに見えた豊川が10回裏に2点を取り、食らいついた粘りは見事だった。結果的には、この延長13回の末に勝ち抜いた粘りが豊川の勢いを生み、初出場ながら4強入りのきっかけになったといえるだろう。

この豊川×日本文理戦は今大会初の延長戦だったが、このほかにも今大会は延長戦が多く、接戦続きの実力伯仲の大会だった。佐野日大(栃木)に至っては、1回戦、2回戦がともに延長戦で、3回戦も1点を争う接戦に「よもや3試合連続の延長戦か」という空気も途中まで漂った。とりわけセンバツ史に残る好ゲームとなったのが、1-1のまま延長15回で決着がつかず、再試合となった3月29日の広島新庄(広島)×桐生第一(群馬)だ。延長15回+再試合9回、計24回をともに1人で投げ抜いた山岡(広島新庄)、山田(桐生第一)の両エースを讃えたい。

大会全般を振り返ると、今大会は、鉄壁の守備を誇るチームとエラーの多いチームの両極端に分かれた印象がある。記録されたものだけで1試合5失策というチームもあった。接戦の多かった大会だけに、最後はこの守備力の差が勝敗を分ける場面が目立った。守備は打撃と違い、短期間で向上させることは難しいが、失策の多かったチームはぜひ守備を鍛え直し、夏で雪辱を果たしてほしい。

過去3回の大会で21世紀枠が続けて割り当てられた東北地方には、今回、21世紀枠は割り当てられなかった。21世紀枠が東京、和歌山、鹿児島に割り当てられたのを見て、久しぶりに西日本勢中心の大会になるのではないかと思ったら、その通りになった。過去3年の甲子園で、近畿勢が優勝はおろか8強に1校も残れない大会があったことを考えると、「かつての雄」だった近畿勢が久しぶりに面目を保ったといえる。東日本勢中心に展開してきたここ数年の大会の趨勢が、今年を境にまたかつてのような西日本勢中心に戻るのか、それとも再び東日本勢が勢いを盛り返すのか。夏に向け、これも楽しみな点だといえる。

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水樹奈々さん、芸術選奨(文部科学大臣新人賞)を受賞

2014-03-20 21:58:13 | 芸能・スポーツ
芸術選奨文科大臣賞に是枝監督ら 水樹奈々さんに新人賞(朝日)

水樹奈々、芸術選奨受け「アニメの素晴らしさを伝えていきたい」(サンスポ)

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数々のアニメソングを歌ってきた水樹は「昨年初めて海外(のツアー)でマイクを握り、日本のアニメが世界中で愛されていることを肌で感じた。これからもアニメの素晴らしさを、私らしく伝えていきたい」と喜びを語った。(共同)
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声優・歌手の水樹奈々さんが芸術選奨(文部科学大臣新人賞)を受賞し、3月19日、都内で授賞式が開催された。芸術選奨は、各分野において「顕著な活躍を見せた人物」に文部科学大臣賞、また各分野において「新興勢力として活躍が認められた人物」に文部科学大臣新人賞がそれぞれ贈呈されるもの。新人賞は、1968年から始まったとのことだ。

水樹奈々さんの受賞は「NANA MIZUKI LIVE CIRCUS 2013」によるもので、大衆芸能部門での受賞。文化庁ホームページによれば「贈賞理由」は次の通りである。

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 将来,日本の“声優史”を振り返った場合,水樹奈々氏を境に時代がくっきりと分かれたことに気付くだろう。声優をめぐることごとくを変えた,それほどまでに画期的な存在である。声優として活躍する一方,アニメソングを広く一般に浸透させ,歌手としてドーム球場を満員にするほどの人気を示し,海外公演も成功させた。クールジャパンのコンテンツの一つとしてアニメの輸出が盛んだが,国内での人気の高まりがなければ,そうはならなかった。氏は“切り開く者”として,その一端を担った。
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また、「選考経過」は次の通り。

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 第一次選考審査会では文部科学大臣賞において選考審査員から6名,推薦委員から6名(グループ)の計12名。文部科学大臣新人賞については選考審査員から8名(グループ),推薦委員から6名の計14名が挙げられた。全ての候補者の討議の結果,文部科学大臣賞は7名に,文部科学大臣新人賞は8名に絞り込まれた。

 そして第二次選考審査会では文部科学大臣新人賞がまず決まった。声優・歌手の水樹奈々氏の音楽的あるいはイベントも含めての活動の数々が圧倒的に評価され,「NANA MIZUKI LIVE CIRCUS 2013」ほかの成果が対象となった。・・・(中略)・・・流行歌からジャズなど,また落語,漫才,浪曲など贈賞対象候補者が多岐にわたる大衆芸能部門は,それだけに選考審査員各氏の担う責務は大きく,ときに激しい意見の応酬もあったが実りある贈賞者決定と自負している。
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昨年11月、初の台湾ツアーを成功させ国際デビューも果たした。紅白出場も4回目となり、安定した人気ぶりを見せる。今後も実力を高め、ますます第一線での活躍に期待している。

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あ~あ、またアニメにはまってしまった・・・

2014-02-05 21:21:42 | 芸能・スポーツ
一部のオタクの間で伝説とされ、当ブログ管理人をオタク界に引きずり込んだマンガ「ラブひな」終了から、早くも13年。もう、マンガやアニメにあんなに夢中になることもないんだろうな、と思っていたら・・・。

見事にハマってしまった。「ニセコイ」(原作は「少年ジャンプ」連載中)に。

ひとことで言ってしまうと、ラブひなと同じようなテイストの、典型的なラブコメ。「こんなベタでいいのか」と思うほどラブコメの王道中の王道を行く作品と思う。

ヒロインの1人、千棘の「ツンデレで暴力女」「約束の女の子の第1候補」という設定が、まるでラブひなと同じで、ビビッと来てしまった。ただ、小咲も素敵なキャラで、今のところ、千棘とどっちがいいかなんて選べない。

とりあえず、全話見てみようと思う。コミックスは10巻まで出ていて、現在も連載中。続編含みのアニメ化であれば、千棘、小咲のどちらが「約束の女の子」なのかは、今クールでは明かされないだろう。

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楽天、チーム創設9年目で初の日本一達成(&2013年シーズン総括)

2013-11-04 20:49:27 | 芸能・スポーツ
東北楽天日本一 創設9年目、快挙 MVP美馬(河北新報)

2013年プロ野球日本シリーズは、パ・リーグ覇者の楽天がセ・リーグ覇者の巨人を4勝3敗で破り、球団創設9年目にして初の日本一を達成した。近年まれに見る面白い日本シリーズは、最終戦までもつれ込んだ。今年3月まで東北(福島)で生活していた当ブログ管理人にとっても、被災地を元気づけるこの日本一は嬉しいことだ。

日本一に貢献したのは、なんと言っても田中をおいて他にいない。レギュラーシーズンからクライマックスシリーズ、そして日本シリーズ第2戦に至るまで1度も負けず、26勝は驚天動地の数字だ。

楽天の、今シーズンのリーグ優勝、そして日本一の要因を分析してみよう。



上の表は、昨シーズンと今シーズンのパ・リーグのチーム打撃成績。



この表は、昨シーズンと今シーズンのパ・リーグのチーム投手成績である。これだけではわかりにくいので、上の2つの表から楽天だけを抜き出したのが、以下の表である。

楽天のチーム打撃成績(2012年と2013年の比較)


楽天のチーム投手成績(2012年と2013年の比較)


打撃成績を見ると、注目すべきは各球団ともチーム打率はほとんど伸びていないのに、本塁打が大幅に増えていること。一方、投手成績を見ると、昨年はチーム防御率2点台が3球団あったが今年は1つもなくなっている。これは紛れもなく、日本プロ野球機構が極秘に実施していた統一球変更の影響である。投手には受難の1年だったといえるが、投手にとって、この統一球変更は労働条件の一方的な不利益変更に当たるわけで、こうしたことを労働組合(プロ野球選手会)との事前協議のないまま一方的に行ったことに対し、日本プロ野球機構はやはり責任を取らねばならないだろう(全員が同じ条件になるのだから問題がない、という言い訳はできない。ハーラーダービーのように単に他の投手との勝利数の比較が問題になるだけのものはともかく、防御率のように投手の年俸査定に大きな影響を与える指標に統一球変更は明らかな不利益を及ぼすからだ)。

その中でも、本塁打の増え方を昨年と今年で比較すると、楽天が最も著しい。昨年はわずか52本と、パ・リーグでダントツの最下位だったが、今年は97本とほぼ倍増。順位で見ても3位に浮上している。チーム打率でも昨年の4位から2位に浮上。打点は昨年より130点も増えた。2年続けて成績の振るわなかったオリックスは今年、対昨年比で打点が61点の増にとどまっており、統一球変更の影響をいかに上手に活かすことができたかが今年の勝敗を左右したようだ。

楽天は、昨年と比べ盗塁と犠打が大幅に減少しているが、そのぶん、本塁打が増えることでカバーできた。ただ、本塁打が増える中でも盗塁を増やした球団(西武)、犠打を増やした球団(ソフトバンク)もある。今年はシーズンを通して打線が好調だったから問われなかったが、打線の勢いが止まったときにどのようにして着実に得点し、勝っていくかは来年以降に向けた課題だろう。

一方、投手成績を見ると、「本塁打」(被本塁打)が100本を超えたのは楽天、西武の2球団。この両球団は打撃成績部門のチーム本塁打数は100本に満たないので、本塁打を打つより打たれる方が多かったことになるが、注目すべきなのは失点数。楽天は2番目に少ない537点で、529点のオリックスとともに他の4球団を大きく引き離している。本塁打を打たれてもソロが多く、大きなダメージを受けなかったことがデータから読み取れる。

楽天は、投手のチーム勝利数が昨年より15勝増えているが、田中投手がひとりで24勝を挙げたことを考えると、それ以外の投手に関しては昨年とほとんど変わらなかったということができるだろう。全体として、今年の楽天は打線が好調で「打ち勝った」イメージが強かったが、データを見る限りではそれがある程度、裏付けられたといえる。

全体として、今年の楽天は本塁打を倍増させた。相手打線には連打を許さず、断ち切ることでダメージを最小限に抑えて頂点をつかんだ。ただ、盗塁や犠打の減少、田中投手の抜ける穴を誰が埋めるかなど来年に向けた課題も浮き彫りになった。日本一になった後の優勝監督インタビューで、星野監督が楽天の戦力について「巨人に劣る」と発言したが、その評価は客観的で正確であるといえる。楽天が来年、リーグ連覇を果たせるかどうかは正直なところわからない。上記のデータ分析結果を見る限りでは、今年の優勝が盤石なものと判断する材料はないからである。

とはいえ、楽天の優勝は被災地、東北を元気づけた。球団創設当初は「(ダルビッシュ有投手の出身校の)東北高校より弱い」「パのお荷物」などといわれた時期もあった。だが、かつて当ブログ管理人の出身地の福岡でも、球団創設当初のダイエーホークスは涙が出るほど弱かった(今では信じられないが、あまりにふがいない連敗に、王監督がファンに卵を投げつけられる事件まであったほどだ)。そのホークスも、南海の福岡移転による球団創設(89年)から初のリーグ優勝(99年)まで10年かかった。単なる看板の掛け替えではなく、全く新しい土地に本拠地を移した球団が、地域に慣れ、地元の人たちにとけ込んで優勝を成し遂げるためには10年程度の時間が必要であることを物語っている。その意味で、東北楽天は今、ようやく本当の意味で東北の球団になった、といえるのかもしれない。

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第95回夏の全国高校野球記念大会について

2013-08-22 21:09:55 | 芸能・スポーツ
夏の全国高校野球は、今日決勝戦が行われ、前橋育英(群馬)が4-3で延岡学園(宮崎)を破り初出場で優勝の快挙を成し遂げた。群馬県勢の優勝は1999年の桐生第一以来2度目。一方、宮崎県は過去の優勝経験がない。当ブログ管理人は九州出身者として、また優勝経験のない県の代表である延岡学園の優勝に期待したが、かなわなかった。

いつも、春夏の高校野球の講評記事ではいろいろ書いている当ブログだが(今年春は引越の忙しさで書けないまま終わってしまったが)、今大会はとりわけ言いたいことが多くある。とりあえず、それらは最後に主張することにし、まずは、いつも通り、今大会を振り返ろう。

今大会を振り返って特徴的に言えることは、

(1)3回戦までは攻撃に「ビッグイニング」ができて大量得点差となる試合が多かった一方、準々決勝以後は投手戦にせよ打撃戦にせよ、1点を争う好ゲームが多かった

(2)大会全体を通し、悪送球が大変多く、守備に課題を残した

(3)2年生に逸材が多かった(特に投手)

(4)関東・東北勢を軸に大会が展開する新しい時代に入った

(5)特定の強豪校、特定の「スーパースター」に依存する旧来型のスタイルより、地域の野球力全体の底上げ、チーム力での勝利を意識する新しいスタイルの優位性がますますはっきりした

…等々である。このうち、一見相互関連性がないように思える(4)と(5)は密接につながっているのでまとめて述べる。

(1)については改めて繰り返すまでもないだろう。特に大量得点差となったのは、大会3日目(8月10日)、作新学院(栃木)が桜井(奈良)に17対5で勝利した試合。そして、大会10日目(8月17日)の3回戦、鳴門(徳島)が常葉菊川(静岡)に17対1で勝利した試合である。ただ、準々決勝以降の7試合に限れば、1点差の試合が5試合、2点差が1試合と大変締まった展開。準々決勝は4試合のうち2試合が延長戦となり、スタンドと全国の高校野球ファンを湧かせた。

ただ、大会全体を通して悪送球が目についた。とりわけ、得点された後に追加点を阻止するため、塁上に残った走者を刺しに行って悪送球となり、かえって追加点を与えたりピンチを広げたりするケースが目立った。焦る気持ちは分かるが、こうした場面でこそ精神面を含めた基礎的な守備力が問われる。ピンチの時こそ落ち着き、野手がグラブを構えているところをめがけて送球するという基本に忠実なプレーをできるようにするためには、実践形式での練習を数多く積むことが必要だ。各代表校が守備練習をきちんとしているのか疑問に思わざるを得ない。

投手に限って言えば、2年生に逸材が多い大会だった。大会屈指の好投手といわれた安楽智大(済美)を初め、優勝投手となった高橋光成(前橋育英)、伊藤将司(横浜)等々。野手でも、並み居る3年生を抑えてレギュラー入りした2年生が多かった。プロ野球のスカウト陣には悩ましいところだが、来年に向け、楽しみが温存されたと肯定的に捉えよう。

ただ、安楽は敗れた花巻東(岩手)との3回戦だけは別人のように不調だった。本人も監督も否定するが、背景に米国メディアも指摘した投げすぎ、疲れもあることは間違いないだろう。

今回の大会は、関東・東北勢がとにかく強かった。特に東北6県(青森、秋田、岩手、宮城、山形、福島)の代表のうち、秋田商を除く5校がすべて初戦を突破した(秋田商は1回戦が不戦勝で初戦が2回戦だったので、記録上は6校すべてが1回戦を突破したことになる)。これは高校野球史上初めてであり、まさに快挙だ。しかも花巻東と日大山形は4強入りした。4強のうち2校が東北勢というのも私の記憶にない。花巻東は、菊池雄星投手(現・西武)を擁した2009年の実績もあり4強入りに驚きはなかったが、日大山形は予想外で嬉しかった。山形県民は、かつて1985年の大会で、東海大山形がPL学園(大阪)に29対7で敗れたことがトラウマになっているといわれる。そのマイナスの記憶を一気に払拭する日大山形の躍進は、山形県民を勇気づけたに違いない。

東北勢の躍進については、なぜ東北野球は強くなったか 花巻東・日大山形が4強入り(産経)が詳しく報じている。かつて、東北勢は関西圏の中学から入学したよそ者ばかり、と批判を受けた時期もあったが、リンク先の産経の記事にあるように今はほとんど地元出身者だ。冬場の練習不足を補うためリーグ戦を創設するなどの努力が、地域全体の「野球力」の底上げにつながったと報じられている。こうした実践形式の練習を多く積むことは、上述した「ピンチでの悪送球」のようなミスを減らす精神力をも養ってくれる。

総じて、甲子園は関東・東北勢を軸に大会が展開する新しい時代に入ったと思う。対照的に、九州勢は8強に残ったのが延岡学園1校だったが、その延岡学園が決勝に残りひとり気を吐いた。四国勢は8強に2校が残るなど健闘した。残念だったのは近畿勢で、最後まで残った大阪桐蔭が3回戦で敗れ、8強に1校も残れなかった。

なぜ西日本勢が甲子園で勝てなくなってきているのか。東北勢躍進を伝える上述の産経の記事にヒントがあるように思う。東北勢と対照的に、近畿勢は圧倒的な力を持つ強豪校が1校あって、その学校に県全体が依存する構造になっている(その強豪校の代表が、かつてはPL学園であり、最近では履正社や大阪桐蔭であろう)。

特に典型的なのは奈良県だ。今年、奈良からは桜井が初出場したが、奈良代表は40年以上にわたって智弁学園、天理、郡山の3校が独占しており、この3校以外が夏の甲子園に代表として出場したのは1971年以来、実に42年ぶりのことになる。その桜井は、冒頭に記したとおり、初戦で作新学院に大量得点差で敗れた。

奈良、大阪、兵庫などの代表は、特定の強豪校が出場したときは強いが、それ以外の学校が出場したときは1~2回戦で敗れることも多い。これは、地域全体の「野球力」の底上げができていない証拠だ。過去の成功体験に拘り、特定の強豪校に依存する構造を変えられなかったことが、地域全体で強くなってきた東北勢に比べ、近畿勢が甲子園で勝てなくなってきた背景にあると考えられる。

このことは選手起用にも言える。安楽投手に依存しすぎた済美が結局、8強に残れなかったように、スーパースター依存型のチームが甲子園で勝つことはかつてと比べ次第に難しくなってきている。複数の投手を擁し、適度に継投させながら負担を分散させる近代的チームプレー型の学校が優勢になってきたことは、長い目で見れば好ましい。

この点に関しては、米国メディアが安楽投手の登板過多、投げすぎを「狂気的」と評したことから、大会中であるにもかかわらず、投手起用のあり方について一部で熱い議論が交わされた。安楽投手本人は投げすぎを否定、済美の上甲監督も「高校生に投球制限はふさわしくない」と意に介さなかった。だが、かつて1991年の大会で、県予選から甲子園の決勝戦までひとりで投げ抜いた大野倫投手(沖縄水産)が決勝戦で肘を壊し、巨人にドラフト指名されたものの、プロ入りと同時に野手に転向を余儀なくされ、結果として短期間で引退に追い込まれるという悲劇もあった。宇和島東の監督として1980年代から指導的地位にあった上甲監督は、当時の大野投手の悲劇も知っているはずだ。にもかかわらず、かつての精神主義的な投手起用のスタイルを引きずっているのには率直に言って疑問を感じる。

今年の甲子園では、初の試みとして、準々決勝と準決勝の間に1日の休養日が設けられた。選手を消耗品として使い潰す甲子園から、世界に通用する一流選手の登竜門として、選手の限られたリソースを保全しつつ上手に活用する新しい甲子園へ…一進一退を続けているように見えても、時代は確実に変わっているのだ。

最後に、熱中症対策と大会運営で感じた点を述べて本記事を終えることにしよう。

今年の夏は、高知県四万十市で41度を記録するなど、観測史上最も暑い記録を更新することが確実な情勢だ。通常の年でも甲子園のグランドは50度近くに達すると言われるだけに、今年の甲子園はひょっとすると55度くらいあったかもしれない。このような環境の下で昼間にプレーさせるのがよいかどうかは今後に向けた検討課題として考えるべきだろう。実際、今年は観客も10人以上が熱中症で搬送された。選手に目を転じても、前橋育英×常総学院(茨城)戦で、常総のエース・飯田晴海投手が熱中症に起因すると思われる足のけいれんに見舞われ降板、その直後に2-0から追いつかれ、逆転負けを喫するという「事件」もあった。常総学院にしてみれば、相手チームのほかに猛暑という思わぬ敵がいた格好だが、これを「根性と気合で乗り越えろ」というのはあまりに酷だ。気温が一定以上となったら試合を中断する、最も暑い時間帯の試合は避け、大胆にナイターを導入するなど新しい取り組みがあってもよいと思われる。

全体的に、記念大会にふさわしいよい大会だったと総括できるが、後味の悪さを残したのは、高野連・審判部によって行われた花巻東・千葉翔太選手に対する不可解な「行政指導」だ。ひとつは2塁走者が相手捕手のサインを盗み打者に伝達する行為があったとして指導を受けたこと。もうひとつは不可解な「カット打法禁止令」だ。詳細はリンク先の記事をご覧いただきたいが、プロ野球をはじめ他の野球ではいずれも(推奨される行為ではないが)ルール上、少なくとも禁止されていないこれらの行為について、「カット打法を行った場合、バントとみなすことがあり得る」という高校野球だけのローカルルールを根拠として事実上の自粛を求めたのは、審判部による、公認野球規則に基づかない恣意的な権力の行使であり慎まなければならなかった。

高野連・審判部がこうした不可解な行政指導を行った理由は推測の域を出ないが、「選手を消耗品として使い潰す甲子園から、世界に通用する一流選手の登竜門として、選手の限られたリソースを保全しつつ上手に活用する新しい甲子園への転換」あたりが理由だろうと思う。高校野球も教育活動である以上、選手の健康と成長を保持するように大会を運営することには大義があり社会的合意も得られるであろうから、審判部はきちんと理由を明示すべきだったし、さらに言えば、投手の身体を壊さないようファウルの球数に制限を設ける独自規定を置いてもよいと思う(一例として、「2ストライクに達した後、8回ファウルを打った打者は三振とする」といった形でルール化すればよい)。そうした努力もせず、時と場合により、審判部の胸先三寸でカット打法による打球をバントとみなしたり、みなさなかったりすることができるような恣意的な運用の余地を残したことは高野連の怠慢といわれても反論できないだろう。千葉のような器用な選手が出てくることが想定外だったことは否めないとしても、今後のために体制を整備すべきだ。

3年ぶりに決勝戦を午後開催に戻したことにも当ブログは異議を唱えたい。福島第1原発事故に伴う電力不足という社会的要因があるとしても、気温の比較的低い午前中に決勝戦を移したことは、選手・観客の熱中症対策にも有効だとして、当ブログは支持を表明してきた。今回、高野連・大会本部は、電力危機が去ったと見たのか、3年ぶりに決勝戦を午後に戻した。しかし、折からの猛暑ともあいまって、今日の午後、全国的に電力需要が逼迫し、電力使用率が97%に達した関西電力が他の電力会社から緊急に電力融通を受ける事態になった。決勝戦が昨年までと同様、午前中であればこの事態は避けられた。

なぜこのような判断をしたのか。高野連・大会本部の判断は批判的に検証されるべきと当ブログは考える。こうした無理・無駄を重ね、選手にも観客にも不必要な負担をかけた挙げ句のはてに、電力不足だから原発再稼働というのでは言語道断である。福島で今なお原発事故のため15万人が帰宅できず、汚染水が漏れ続け収束の糸口さえつかめない状況を認識するならば、決勝戦は昨年までの午前開催に戻すべきだ。高野連・大会本部に猛省を促したい。

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尾崎豊特別展「OZAKI20」を見て

2013-03-17 21:53:18 | 芸能・スポーツ
尾崎豊さんをしのぶ思い出の品展示 福島で特別展開幕(福島民報)

尾崎豊が謎の死を遂げてから早くも20年。在りし日の尾崎豊をしのぶ特別展が福島市で始まった。その初日、福島市に立ち寄る用があったので特別展を見てきた。会場が閉まる間際の午後7時だったがなんとか間に合った。

会場をひとまわり見ての感想だが、尾崎の人となりをそれなりに知っているファンからすれば、彼の手紙に書かれている内容などは驚くに当たらない。彼のグッズや遺品も、あの時代なら私たちが普通に使っているものばかりで、ありふれている。むしろ、非凡な才能を持ってはいても、彼がいかに普通の高校生だったかを教えてくれる。

それより、1500円の入場料を払っても見る価値があるのは彼の未公開映像や音声だろう。とりわけ、彼が青山学院高等部を中退する際、友人らが開いてくれたお別れ会で彼が歌った「街の風景」などは、ファンから見ても非常に価値があると思う。

最近は、彼の現役時代を知らない若い層にもファンが拡大していると言われる。実際、当ブログ管理人も彼のような存在は稀有であり、彼は誰にも似ていないと思っている。

没後20年経っても、尾崎豊の人気、ファンの彼への思いは衰えていないように思う。

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第94回夏の高校野球を振り返る

2012-08-23 23:41:04 | 芸能・スポーツ
第94回夏の全国高校野球は、今日決勝が行われ、大阪桐蔭が3-0で光星学院(青森)を破って史上7校目となる春夏連覇を成し遂げた。光星学院は、昨夏、今春に続き3大会連続で優勝に挑んだが、決勝戦の分厚い壁に3たび泣いた。ちなみに、決勝戦が春夏連続で同一カードとなるのは、100年近い甲子園の歴史の中でも初めてのことだ。

とはいえ、光星学院の選手、関係者には大変申し訳ないが、当ブログ管理人は光星学院の3度目の挑戦も実らないだろうな、と昨夜の段階で思っていた。実は昨夜、決勝戦が春と同じカードになったと聞いて「結果も多分春と同じになるだろう」と当ブログにも書きかけたが、いろいろ考えて投稿をやめたのである。

私がそのように考えた根拠は、注意深く当ブログの高校野球関係の過去ログを読み、その上で注意深く光星学院の今大会での戦いぶりを見てきた人には理解いただけるだろう。過去ログにも書いたとおり、光星学院の最大の弱点は「強攻策しかない」こと、別の言い方をすれば「バントなどの小技が全く使えない」ことにある。夏の甲子園で全国優勝するためには、どうしてもこの弱点を克服することが必要だったが、準決勝までの戦いぶりを見て、その克服に成功しているとはとても思えなかった。強攻策頼みのチームカラーは相変わらずで、「これでは大阪桐蔭に勝つのは難しいだろうな」と正直、思ったのである。

では、例年通り大会全般を総括しよう。

今大会は、初出場校が少なく、いつも聞く名前、かつてよく聞いた名前の学校が多く、新味には欠けたが落ち着いて見ていられる大会だった。特徴的なのは、とにかく本塁打が多かったことで、大会本塁打数56は史上2位の記録となった。一方、1~2回戦段階では機動力を生かして相手チームを巧みに揺さぶる学校も多く、果敢に三盗を試み成功させるチームも目立った。全体的に、本塁打を連発するメジャーリーグのようなチームと、機動力+小技で揺さぶる、ある意味で高校野球らしいチームの両極端だった印象がある。しかし、総合力が求められる夏の大会らしく、初出場校、機動力+小技のチームは3回戦までにおおむね姿を消した。

今大会では延長戦をほとんど見なかったような気がしたので、調べてみると確かに少なく、1回戦の盛岡大付(岩手)×立正大淞南(島根)戦と龍谷大平安(京都)×旭川工(北北海道)戦のわずか2試合だけ。例年の大会では、4~5試合は延長戦があるので、やはり今年は際だって少なかった印象だ。当然の結果としてサヨナラも少なかった。だが、だからといって面白くなかったわけではなく、シーソーゲームの多かった今大会は例年と違った意味で観客を楽しませた。

1回戦段階で最大の番狂わせは、昨年の覇者・日大三(西東京)が聖光学院(福島)に敗れたことだろう。私だって、もう5年以上も福島に住んでいる県民のひとりとして、地元代表に勝ってほしいことはもちろんだが、昨年の覇者とはあまりにも格が違うと考えていたから、聖光学院の勝利には人一倍嬉しかったことは事実だ。

打者では、4本塁打を放った北條(光星学院)が光った。

今年は投手も近年まれに見る大豊作の年だった。大阪桐蔭の藤浪は春以上にパワーアップして甲子園に帰ってきた。相変わらず直球は安定して速く、スライダーもよく切れていた。2回戦の松阪(三重)戦で2ケタ奪三振を上げた西(倉敷商)などきらりと光る投手陣がいた。今年の秋から冬にかけ、プロ各球団のスカウトは忙しくなるだろう。

そして、特筆すべきは「ミスターK」ともいうべき松井(桐光学院)だ。1回戦の今治西(愛媛)戦ではいきなり22奪三振というとてつもない記録を作った。これは、1925年の森田勇(東山中)他4人が達成した1試合最高奪三振記録19を実に87年ぶりに塗り替える快挙だ。準々決勝で光星学院に敗れたが、それでも通算奪三振は68の歴代3位。この上にはもはや斎藤佑樹(早稲田実、2006年)の78と板東英二(徳島商、1958年)の83しかない。もし桐光学院が決勝まで駒を進めていたら、1大会史上最多奪三振記録更新もあり得たかもしれないが、残念だった。改めて、野球人としての板東英二の偉大さを知った人も多かったのではないだろうか(今の若い人たちには、それ以前に、板東英二が野球選手だったことから教えなければならないのかも知れないが…)。

選手以外で印象深かったのは2人の監督である。ひとりは甲子園で38勝目を挙げ、あの蔦監督(池田)を抜いて歴代6位となった馬淵監督(明徳義塾)。もうひとりは28年の監督生活を終えユニホームを脱ぐ佐藤監督(新潟明訓)だ。馬淵監督は1990年に就任、1992年には松井秀喜(星稜)に対し、あの「全打席敬遠」を指示して様々な論議を呼んだ。不祥事で一度監督を退いた後復帰、就任から21年での38勝である。一方、佐藤監督は1984年の就任から一貫してチームを指揮してきた。特に馬淵監督にはいろいろ複雑な感情を抱く高校野球ファンもいると思うが、2人の名将に改めて敬意を表したい。

あまり触れたくなかったが、大会期間中、出場校のひとつである作新学院(栃木)の野球部員が強盗事件で逮捕されるという教育活動にふさわしくない事件もあった。高野連を含め、出場を辞退させるべきか議論の末、そのまま出場継続の方針がとられた。当ブログ管理人は、連帯責任の名の下に、真に責任を負うべき者が何度も逃げてきた日本の歴史的経緯から、何でもかんでも連帯責任にすることには反対だが、今後の大会のあり方は考えなければならないと思っている。

最後に、昨年の大会から導入された新しい運営のあり方は今年も続けられた。電力不足という社会的要請の中で、苦肉の策として導入された「午前中の決勝戦」だったが、結果的には選手・関係者の熱中症対策としても大きな意味を持つ試みだった。成功と評してよいと思う。

栄冠は君に輝く ~全国高等学校野球選手権大会の歌~


君よ八月に熱くなれ 高岡健二(「熱闘甲子園」の昔のテーマ曲)

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