安全問題研究会~鉄道を中心とした公共交通を通じて社会を考える~

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【転載記事】JR指定席「重複発売」顛末記

2023-05-25 23:52:36 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
「指定席に座っていたら後から乗ってきた男が『そこ僕の席なんですけど』。私は間違ってないのに、舌打ちまでされて...」(北海道・30代女性)(Jタウンネット)

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シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Bさん(北海道・30代女性)

正しい席に座っていたのに、後から来た乗客に「そこは自分の席だ」と言われた――Bさんは大学時代、そんな体験をした。

しかし相手が間違っているわけでもないようで......。

<Bさんの体験談>

大学生だった時のことです。その日私は、実家のある函館から大学がある弘前に向かうためJRの特急列車に乗りました。

指定席に座っていると、途中から乗ってきた男性客がかなり機嫌悪そうに「そこ僕の席なんですけど」と言ってきて......。

乗車券を見せてもらうと...

乗車券を見せてもらったところ、私も男性も全く同じ席番号でした。

そう説明するも、彼は私の乗車券の番号を見ようともしません。私の勘違いと思い込んで舌打ちする始末です。

私が車掌さんに聞こうと立ち上がると、タイミングよく車掌さんが登場。「この度は大変失礼致しました」と言って、私に「こちらへどうぞ」と促しました。

私が席から離れると、男性客はすぐさま音を立てて着席。疲れていたのかもしれませんが、誤解とはいえ、余りにも尊大な態度に悲しい気持ちになりました。

しかし、それもつかの間。車掌さんはなんと私をグリーン車へ連れてきて下さったのです。しかも、案内されたのは他のお客さんから離れた静かな席でした。

人生で初めてのグリーン車ということもあり萎縮して「差額を支払います」と言ったのですが、

「全く必要ありません。この度は私どものミスで大変失礼いたしました。良い旅を」

と車掌さん。こちらが申し訳なるような過剰な謝罪をすることもなく、終始穏やかに、かつはきはきと対応して下さいました。

驚きすぎて車掌さんの名前を控えるのをうっかり忘れてしまったことを本当に後悔しています。

新幹線が開通して以降、函館~青森間の特急列車にはもう乗れなくなってしまったけれど、アラフォーになる今も、しがない学生の1人を丁寧に案内して下さったあの車掌さんへの感謝を忘れません。

あの時の車掌さんへ。大学で色々あり、精神的に荒んでいた時期に、あなたの立派な姿が心に沁みました。本当にありがとうございました。あなたがあれ以降もたくさんの一期一会の乗客の方々を笑顔にしていることを、北の大地から祈っています。
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Jタウンネットは、インターネット版タウン情報誌のようなもので、全国各地の「ちょっといい話」を紹介するコーナーがある。せっかくの鉄道ネタなので、少しコメントしておこうと思う。

「マルス(指定席発行機)が間違えるわけがない」などと、何も知らずにコメントしている人もいる。「バカほど口を出したくなる」はネットに限らず世の常だと思うが、恥ずかしいことこの上ない。確かにマルスは間違えないのだが……。

重複発売(指定席の二重発売)が起きる原因として最も多いのは、乗客の都合で出発前に払い戻された席を、駅係員がマルスに戻す際に誤って別の席を戻してしまう。その席が別の人に再び発売される。つまり人間のミス(ヒューマンエラー)が原因である。

一般論としては先着順なので、重複発売が起きてしまった際にその席を使う権利は先に座った人にある。だが、中にはこのような理不尽な態度を取る客もいる。車掌は、このような事態に備えて、窓口発売しない席(調整用席)を1~2席程度持っているとされる(お盆や年末年始などの最繁忙期には、その余裕さえないこともあるが……)。実際には、この例のように上の等級の席が割り当てられることもある。

この記事を読んで、なかなか粋な措置を執る車掌だと感心した人もいるかもしれない。だが、私の手元にある1979年版の古い「鉄道ジャーナル」の記事では、名古屋~博多間で当時、運転されていた寝台特急「金星」でやはりB寝台券(三段式の下段以外)の重複発売が起きてしまい、片方の乗客をB寝台(下段)に案内する様子が描かれている。このような調整は旧国鉄時代から行われており、いわば伝統芸でもある。

「金星」のケースも、先に寝台を使用中だった女性客に、後から乗車してきた男性客が席を替わるよう要求。車掌が女性客を空いていた下段に移動させたが、酒に酔った状態で乗車してきた男性客が、下段は満席だと説明する車掌に「本当に下段は空いてないのか、ウソじゃないだろうな」などと絡むシーンも描かれている。ただし、記事では下段以外の寝台から下段に移動させた女性客に、本人の同意を得て、寝台券の差額を払ってもらったと記されている。

(注:現在では、寝台特急が「サンライズ出雲・瀬戸」しかなく、三段式B寝台車も存在しないため、時刻表の記載を見てもわからなくなっているが、私の手元にある「JTB時刻表」2011年6月号の記載を見ると、寝台料金は、三段式の上・中段が5,250円、三段式の下段と二段式の上・下段が6,300円となっている。当時の三段式B寝台は、下段のみ二段式B寝台と同じ大きさで、上・中段は下段より寝台の幅が狭かったため、上・中段にのみ安い料金が設定されていた。

より厳密に言えば、乗車後にこのような変更をする場合は、旧国鉄が制定し、JR各社がほぼそのまま引き継いだ「旅客営業規則」のうち、第249条に規定する「区間変更」に該当する。249条第2項(2)で、料金券については「原乗車券類に対するすでに収受した料金と、実際の乗車区間の営業キロ又は同区間に対する料金とを比較し、不足額は収受し、過剰額は払いもどしをしない」と規定しており、差額を徴収した「金星」車掌の取り扱いが正しいが、これは乗客側から「席を替わりたい」との申出があった場合の規定であり、重複発売に関しては国鉄~JR側の責任で、本人のせいではないことから、しばしば差額を徴収しない取り扱いが行われてきた。)

この「金星」のケースでも、先に乗っていた女性客のほうに優先使用権があったと考えられるが、いずれのケースも先に乗車していた女性客のほうが移動の憂き目に遭っている。だが、不快な思いをさせた代償として、上級の座席・寝台を用意することで決着させている。どちらの乗客を移動させるかは規則に規定されていないため、車掌の裁量に委ねられるが、旧国鉄時代もJR化以降も鉄道はサービス業なので、鉄道会社から見てリピーターになってほしいと思う客、お行儀のいい客、分別のある客のほうに上級の座席・寝台が用意されていることがわかる。読者のみなさんも、仮に自分が車掌の立場だったらいかがだろうか。たぶん、この車掌と同じように行動するだろう。

国鉄~JRの指定券は、途中駅から乗車する乗客に対しては、その乗客が乗車する駅の発車時刻までは発売してよいことになっているので、始発駅を発車した後も、指定券は途中駅で売れ続けることになる。当然、どの席が売れているかは始発駅出発時点から変化しているが、「金星」の時代は通信手段が発達しておらず、車掌には、始発駅発車時点でどの席が売れているかを示すデータが出発前に紙で渡されるだけだったから、始発駅出発後の指定券発売状況の変化を車掌がリアルタイムで知る手段はなかった。

これも旧国鉄が制定し、JR各社がほぼそのまま引き継いだ「旅客営業取扱基準規程」(旅客営業規則の運用通達に当たる)第168条では、「(注)指定席特急券を所持する旅客が、その指定駅で使用の請求をしなかつた場合は、列車が当該指定駅を発車後、相当の時間をおいて、旅客が乗車しなかつた事実を確認後他の旅客に発売するように注意すること。」とする乗務員向けの注意書きがある。ただ、実際にこの(注)のとおりに運用できるのは、始発駅出発前に車掌が渡された紙のデータ上で「売れていることになっている席に、実際には誰も乗ってこない」というケースに限られていた。車掌の手元のデータで空席となっていても、実際には始発駅出発後に途中駅で売れている可能性があるため、乗務員がこのような「発車後の転売」措置を執ることはかなり困難だったといえる。

通信技術の進歩により、車掌が携帯している端末にマルスの情報が逐次反映されるようになったのは比較的最近のことだ。冒頭で紹介した「Jタウンネット」の記事に登場する、グリーン車を割り当てられたBさんの大学生時代といえば、少なくとも20年くらい前のことで、「金星」の時代と大して変わらなかったはずである。

当時、大学生だったBさんを、同じ等級である普通車指定席の空席に案内したとしても、その席が途中駅で売れていた場合、再び移動してもらわなければならない可能性がある。しかし、たとえばこの列車がすでに青森県内に入っている場合、弘前までのわずかな区間で、途中駅からわざわざグリーン車に乗ってくるような客はほとんどいないだろう。従って、現時点で誰も座っていないグリーン席なら、おそらく弘前まで空席のままの可能性が高く、重複発売の調整にはちょうどいい--Bさんをグリーン車に案内するに当たり、車掌はおそらくそんなふうに考えたのではないだろうか。

当ブログでは、かねてから鉄道は公共交通であり、公共財であると訴えてきた。だが鉄道には、それと同時に輸送サービス業としての側面も持つ。乗客に気持ちよく利用してもらい、リピーターになってもらえるよう配慮することは輸送サービス業である以上、当然のことである。最近のJRはコロナ禍で苦しい状況にあるが、こうしたきめ細かな配慮、サービスの積み重ねこそが鉄道の明日を切り開くということも、忘れてはならないと思う。

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関東鉄道に全線乗車 20年来の希望果たす

2023-02-26 21:21:48 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
国交省への要請行動を行った2月24日が連休の谷間だったため、そのまま週末を利用して、長年乗りたかった関東鉄道に行くことにした。もともと未乗車だったが、2004年公開の映画「下妻物語」でモデル舞台になって以来、ずっと行ってみたかった。深田恭子さんが芸能界で地位を確立するきっかけともなった作品の公開以来、20年来の希望だった。

2月25日朝9時過ぎ、都内のホテルをチェックアウトし出発。東京駅から、常磐線快速で龍ケ崎市へ。隣接する関東鉄道佐貫から11:35発、龍ケ崎行で11:42、龍ケ崎へ。折り返しとなる11:50、龍ケ崎発佐貫行きで戻る。

竜ヶ崎線キハ0・310系


キハ0・310系に掲げられた「関東鉄道開業100周年記念」ヘッドマーク


龍ケ崎市から常磐線で取手へ。取手からは、常総線に乗ることにする。構内に入り、1992年に衝突事故があった取手駅構内を見る。



12:29取手発下館行き列車は、2018年に登場した関東鉄道では最新の5020系だ。5010系とよく似ているが、前照灯が従来型(非LED)で下部にあるのが5010系、LEDで上部にあるのが5020系というところで見分けられる。

関東鉄道は、ローカル私鉄では大変珍しく、取手~水海道(17.1km)が非電化ながら複線だ。常総線全体(51.1km)からすると3分の1程度だが、日本の鉄道では複線化するほど列車密度の高い路線はたいてい電化されるので、非電化・複線自体が珍しい。JRであれば、北海道の函館本線(新函館北斗~東室蘭)、室蘭本線(三川~沼ノ端)、九州の筑豊本線(折尾~若松)あたりがあるが、ローカル私鉄ではかなり珍しいと思う。

だが、複線化が必要である理由はすぐにわかった。取手~水海道間では反対列車と次々にすれ違う。ほとんどの列車が1~2両編成だが、列車本数がとにかく多いのだ。乗客も、発車直後の西取手で大勢が降り、大勢が乗ってくるなど、めまぐるしく短区間での利用が繰り返される。これは大都市近郊に見られる利用形態で、取手~水海道に関する限り、幹線と言っていい。

編成を短くする代わり、列車頻度を高めていつでも乗れるようにすることで新たな需要を喚起する(フリークエンシーサービス)。関東鉄道は、これに見事に成功している。



常磐線は、取手~藤代間に交直切替のためのデッドセクションがあり、事実上、取手までが直流区間。心理的にも「ここまでが首都圏の北限で、ここから北は東北」という意識があり、東京への通勤圏の北限となっている。地域住民の生活実態がどうであれ、取手を首都圏の北限と見なせるならば、取手発の常総線と、取手より北の龍ケ崎市駅に隣接する佐貫駅発の竜ヶ崎線を持つ関東鉄道は、関東と東北にまたがる営業エリアを持っていることになる。

途中、つくばエクスプレスとの乗換駅・守谷を経由し、水海道へ。ここでは12:58から13:06まで8分停車する。水海道を出ると単線になり、乗客もその乗降も一気に減り、ローカル線然とした姿になる。幹線とローカル線の2つの顔を持つという点でも、常総線は興味深い路線だと思う。

「下妻物語」の舞台になった下妻駅でも13:34から13:38まで4分停車。この4分を利用し、下妻駅を撮影する。「下妻物語」の痕跡らしきものを探したが、さすがに19年も前の映画にまつわるものは見られなかった。最近は「聖地巡礼」をする人もほとんどいないのかもしれない。



2023.2.25関東鉄道常総線 下妻~大宝


下妻を出ると、残りはあと少しだ。終点・下館には定刻通り13:58着。1時間30分の旅が終わった。

<全線完乗達成>関東鉄道竜ヶ崎線・常総線

ここまでで、私鉄全体の完乗達成率は78%を超えた。2023年は久しぶりに「新規完乗5路線」の目標を掲げている。達成のため幸先のよいスタートを切った。

<参考>1992年6月2日  関東鉄道取手駅列車衝突事故当時のニュース映像


<事故当時のニュース記事>
常総線暴走事故30年 被害者、今も祈る安全 関東鉄道、教育と対策徹底(「茨城新聞」2022.6.2付け)

関東鉄道では過去、このような事故も起きている。忘れないようにしたい。

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2023年 新年目標

2023-01-15 22:03:30 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
さて、大変遅くなりましたが、2023年の新年目標を発表します。コロナ禍と、私自身の精神的不調もあって、2020~2022年の3年間は新年目標の発表を見合わせました。そのため、目標発表は4年ぶりです。

2023年は5線区以上の完乗達成を目標とします。今年は「相鉄・東急新横浜線」、福岡市の地下鉄「七隈線」延伸、そして全国初の全線新設LRT(次世代型路面電車)「芳賀・宇都宮LRT」の開業が予定されています。このうち、相鉄・東急新横浜線だけは、必ず乗りたいと考えています。このほか、首都圏周辺で4線区乗りたいです。

宇都宮のLRTも、できれば乗りに行きたいですが、開業が延期になった上、試運転からいきなり脱線事故が起きるなど前途多難です。開業後にきちんと運行できるかどうかも見守りたいと思います。

しかし、鉄道会社が試運転を無事故で終えることすらできないとは……改めて、日本の鉄道技術力の著しい低下を感じますが、3大都市圏以外では、日本の鉄道はもう四半世紀以上、廃線以外のことは何もしてこなかったのですから、技術力など低下して当然だと思います。鉄道事業者には、鉄道開業150年を機会に心を入れ替えていただきたいと思います。

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2022年 鉄道全線完乗達成状況まとめ

2022-12-28 23:42:15 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
さて、年の瀬となり、年内に鉄道の未乗区間に乗車する予定はないので、ここで今年の鉄道全線完乗達成状況をまとめる。昨年に引き続き目標を掲げなかったが、今年は破竹の勢いで(?)完乗活動が進んだ。

【4月】予讃線、内子線
【5月】とさでん交通、東急池上線
【6月】小田急江ノ島線
【8月】阪神武庫川線、近鉄南大阪線、吉野線、御所線、道明寺線
【10月】仙石東北ライン(東北本線)松島~高城町、仙石線〔奪還〕、石巻線〔奪還〕、上田電鉄別所線、伊豆急行

合計はJR2社、私鉄7社、15路線で、内訳は以下の通り。

【JR】5路線(四国2、東日本3)
【大手私鉄】4社7路線
【中小私鉄】3社3路線

新規開業線(当ブログのルールでは開業日から1年以内)、廃止路線に該当するものはなく、また「奪還」は2路線。東日本大震災による線路付け替えで営業キロが変更となった路線で、乗り直しによって再度完乗達成となった。

今年、これほど一生懸命に完乗活動に取り組んだのは、2016年以降北海道の廃線問題に追われ、また2020年以降はコロナによる影響も加わって遅れに遅れた完乗活動のペースを挽回したかったことが大きい。また、ウクライナ戦争により、いつ人類が滅亡するかどうかもわからないから、今のうちにやり残したことはできる限りやっておきたいという気持ちになったことも大きいと思う。

今年発生した問題は基本的に解決しないまま越年する。来年も、不安定で危機的なムードは変わらないだろう。完乗達成を急ぎたいと考えており、ここ数年発表していなかった目標も、来年はおそらく発表することになると思う。

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「鉄道開業150年記念東日本フリーきっぷ」の旅(第4日目/最終日)

2022-10-24 23:05:08 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
朝。地元では名門である「下田聚楽ホテル」にせっかく泊まっているのに、素泊まりプランしか確保できなかったこともあり、朝食を摂りに外に出る。前日決めていたとおり、すき家で朝食。

下田聚楽ホテルのエレベーターは昭和感が満載。未だにこんなエレベーター、残っているんだ……


下田聚楽ホテルの外観。さすがは老舗。


これまでは結構、ハードスケジュールだったこともあり、今日は伊豆急下田10:06発「踊り子4号」で出発と、かなり遅めにしている。朝食後、大浴場で朝風呂。温泉地での当ブログ管理人の楽しみが、この朝風呂である。

下田聚楽ホテルを9:30過ぎにチェックアウトし、ホテルの送迎バスで伊豆急下田駅に向かう。乗客は私1人だった。もう一度、9:50頃にホテルを出て駅に向かう運行があるようだが、それでは「踊り子4号」に乗るにしてはギリギリすぎる。みんなのんびりしているなぁと思いつつ、早めに駅に着く。

おいしいかどうかわからないが、ご当地モノとして「金目鯛かるせん」をお土産に買い、「踊り子4号」に乗る。この列車は全席指定なので、「鉄道開業150年記念東日本フリーきっぷ」の指定席枠の3回目をここで使う。

出発を待つ「踊り子4号」E257系(伊豆急下田駅)


旧国鉄時代、特急・急行列車の愛称名は走行する地域にちなんでつけられることが多く、山の名前(「富士」「あさま」など)、川の名前(「しなの」「しまんと」など)、海の名前(「宇和海」「オホーツク」など)のようにほとんどが自然に由来していた。人間に関するものは列車愛称に採用しにくいためあまり例がなかったが、「踊り子」は人間にちなんだ珍しい愛称名として、国鉄時代からの古い鉄道ファンには有名な存在だった。私鉄でもこのような例はほとんどなく、全国的にも珍しいのではないだろうか。

ちなみに、1957(昭和32)年、「踊子」(歌:三浦洸一)という曲がヒットしている。

踊子(昭和32年)


定刻に伊豆急下田を出た「踊り子4号」は伊豆急~伊東線内をゆっくり走る。途中、海の見える区間もあるがそれほど多くない(海だけなら、五能線や山陰本線など、もっと見える路線はたくさんある)。だが、熱海から東海道本線に入ると一気に速度を上げる。常時、100~120km/h程度は体感的にも出ている感じだった。

この区間を特急列車で通るのは、GWの「サンライズ出雲・瀬戸」以来だが、わずか5ヶ月半前なので最近の感覚だ。12:49、定刻通り東京着。ここで昼食とする。結構な込みようで、八重洲口8階のパスタ屋が唯一、待たずに入れそうな店だった。食後にコーヒーを摂り、ゆっくり目の昼食とする。

夕食時間はちょうど新函館北斗あたりになるが、ここに何もないのは初日に痛い目に遭って調査済みなので、夕食も八重洲口の「大丸」地下食品街で弁当を調達しておくことにした。これで夕食の心配はなくなったが、本当にこれでいいのだろうか……と思わざるを得なかった。

北海道にいると「東京一極集中で地方は寂れ、衰退するばかり」という声を毎月のように聞くが、新函館北斗駅前に気軽に入れる飲食店の1、2軒でもあるなら本当は私だってこんなことはしたくない。北海道内で食べる夕食まで東京で調達せざるを得ないのは、北海道内にまともな店がないからである。一極集中が悪いとよく言うけれど、地方に金を落としたくても、それができないようにしているのは地方自身ではないのか? そんな矛盾も見えた3泊4日の旅も、そろそろ終わりが近づいている。

東京から14:20発、東北~北海道新幹線「はやぶさ27号」を待つ。差額を支払ってでも「グランクラス」に乗りたいところだが「鉄道開業150年記念東日本フリーきっぷ」はグランクラスには使えないルールだ。全席指定なので、指定席枠最後の4回目をここで使う。

【字幕解説付き】2022.10.24 東北~北海道新幹線はやぶさ27号 新青森~新函館北斗 ノーカット


「鉄道開業150年記念東日本フリーきっぷ」は有効エリアが新青森まで。新青森~新函館北斗は事前に「えきねっと」で購入しておいたe-チケット情報をSuicaに記録している。東京~新函館北斗を通して同じ席に座り続けられるよう、同じ席を通しで押さえているものの、ここで疑問がわく。

本来、えきねっとで購入したe-チケットは、乗車駅で自動改札を通れば、下車駅でも自動改札を通れるが、今回は「鉄道開業150年記念東日本フリーきっぷ」との併用で、東京~新函館北斗を通しで乗車するため新青森の自動改札は通りたくても通れない。このまま新函館北斗で自動改札を通って下車できるのだろうか?

乗車前に東京駅のみどりの窓口で確認したところ、「乗車記録がないので新函館北斗駅で自動改札は通れません。「鉄道開業150年記念東日本フリーきっぷ」と、e-チケット情報が記録されているSuicaの両方を有人改札で提示して下車してください」とのこと。この回答は予想通りである。

18:29、定刻に新函館北斗着。有人改札で下車し、新函館北斗駅の待合室で弁当を食べる。札幌方面への最終列車となる「北斗21号」(新函館北斗19:05発)に乗り換える。定刻通り、南千歳22:05着。3泊4日の長い旅が終わった。

新青森~新函館北斗の通常運賃に特急券の乗継割引を受ける場合と、「えきねっと」で40%引きとなる「トクだ値」運賃・料金を「鉄道開業150年記念東日本フリーきっぷ」に合算した場合とで事前に比較してみたが、40%引き「トクだ値」のほうが安かった。結局、乗継割引は運賃には適用されず、特急券の在来線部分が半額になるだけなのに対し、「トクだ値」は運賃にも40%引きが適用されるのだから、比較にもならないだろう。

国鉄時代に制度設計された特急券の乗継割引制度は、もともと新幹線と在来線を乗り継ぐ場合は在来線側が、本州と北海道・四国を乗り継ぐ場合は北海道・四国側の特急料金に半額割引を適用するというものだった。全国1社の国鉄時代は問題にならなかったが、どちらにしても北海道・四国側に不利になる国鉄時代の制度が、分割されたJR6社にそのまま引き継がれた。一般の人にはなかなか気づかれにくいが、こうした細かい制度設計もJRグループの中で北海道・四国の経営だけが特に苦境に陥った原因として、指摘しておく必要がある。

本州と北海道を乗り継ぐ場合に、在来線の特急料金部分だけ半額割引を適用する制度しかなかったところに、かなり時代が後になってからえきねっと「トクだ値」システムができたのは、割引部分をJR北海道が負担する制度からJR東日本が負担する制度に変更することによって、JR北海道を救済するという営業政策上の理由もあるものと、当ブログは考えている。

「鉄道開業150年記念東日本フリーきっぷ」は、その名称・性格から今年だけの限定発売で終わらせるつもりなのだろう。だが、この切符がなければ他の交通手段(飛行機・高速バス等)を使っていたであろう層を、この切符が新たに掘り起こしたことは紛れもない事実である。今回、この切符を使って旅をしているらしい旅行客をそれなりに見かけた(普通列車ですむような短区間でわざわざ新幹線に乗ったり、「乗り放題なので○○にも行こう」などと話していたから、すぐにわかる)。コロナ禍で乗客が減り、ガリバー・JR東日本とはいえ経営は楽でないことは事実だろう。だが、できることなら名称は変えてもいいので、この切符の発売は今後ともぜひ続けていただきたいと思っている。

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「鉄道開業150年記念東日本フリーきっぷ」の旅(第3日目)

2022-10-23 21:59:25 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
「アイホテル京急蒲田駅前」を出て、京急で品川へ。品川から横須賀・総武線に乗り換え、錦糸町へ。総武緩行線に乗り換える。当然ながら「鉄道開業150年記念東日本フリーきっぷ」のエリア内なので、JR線はこれで乗れる。亀戸から東武亀戸線を1駅だけ乗り、亀戸水神で下車。亀戸中央公園に向かう。今回の上京の目的である「団結まつり」に参加するためだ。

この団結まつり、元々は国鉄分割民営化時の被解雇者を支援するためのまつりとして始まったのがきっかけだ。JR不採用問題は10年前に「解決」してしまったが、このまつりだけは争議の内容を変えながら現在も続いている。

コロナ禍のため、亀戸中央公園など屋外公園でのイベントが東京都の方針で禁止され、過去2年、屋内会場での開催を余儀なくされた団結まつりが、行動制限がなくなり、3年ぶりに亀戸中央公園に戻れたのは喜ばしい限りだ。JR不採用問題の「解決」以降、最大の争議がJALであることも変わらない。2010年の大晦日、165名が解雇された争議はいまなお続いている。

以前は当ブログ、安全問題研究会でも取り上げてきたJAL争議。どのようになっているのかと心配な諸氏もいるかもしれないが、実は、今このJAL争議は重大局面を迎えている。12月上旬には、当ブログでも概要をお知らせしたいと考えている。

東京での団結まつりに参加するのは5年ぶりになるだろうか。参加目的は、当ブログ管理人が執筆に加わっている「地域における鉄道の復権─持続可能な社会への展望」と月刊誌「住民と自治」2022年8月号~「住民の足を守ろう―権利としての地域公共交通」を販売するためだ。前者は5冊、後者は15冊持ち込んだが、もともとこの問題に関心の高い人々が集まる場だけに、昼過ぎには完売。もっと持ち込んでおけば良かったと思うほどの売れ行きだった。

今回、久しぶりの団結まつり参加ということで、こちらも久しぶりに内容を刷新した「国鉄車両記号及び特殊表記符号一覧表」も5部限定で持ち込んだが、こちらも完売した。

売るものがなくなり、昼からは他のブースやステージ企画などを見る。沖縄からわざわざ基地問題の報告をするため上京した三上智恵さんの報告内容にはすさまじいものがあった。台湾有事は沖縄が消し飛ぶくらいで東京や「本土」に火の粉なんて飛んでこないと思っているとしたらとんだ間違いだ。

ウクライナ戦争がこのままエスカレートすれば、当ブログ管理人が子どもの頃に放送され、世界を震撼させた映画「THE DAY AFTER」がいずれ現実になりかねない。こんな世界の終末と引き換えにしてまで貫かなければならない「正義」など存在しない。欧米諸国が世界全滅と引き換えにしてでも守り抜かなければならない「自由」とは大企業本位の資本主義にすぎない。その程度の「正義」とやらにいちいち付き合っていたら命はいくつあっても足りない。無益な戦争は終わらせなければならない。

15時にまつりが終了後、ブースを畳んで15:30には撤収。本来なら明日の月曜は通常勤務の当ブログ管理人はここで帰宅の途につくところだが、「鉄道開業150年記念東日本フリーきっぷ」の有効期間はまだ丸1日残っている(初日の南千歳~新青森は経路外のため、有効期間はこの旅2日目から)。フル活用しなければ、こんなチャンスは二度とないかもしれないと思い、明日は休暇を取っている。

朝、ホテルを出るとき室内に置き忘れてしまったビデオカメラを回収するため、再び「アイホテル京急蒲田駅前」に向かう。無事回収、保管してくれていたフロントにお礼を述べ、今夜の宿泊地である静岡・下田市のホテルに向かうため、Suicaで蒲田から京急に乗り、横浜へ。

【激走】2022.10.23京急エアポート快特 京急川崎~横浜


横浜からは16:44発、東海道本線1585Eで伊東に向かう。さすがに2時間近くロングシートの普通車は体力的にきついと思ったので、ここだけはグリーン車にする。「鉄道開業150年記念東日本フリーきっぷ」の「ご案内」に普通・快速列車のグリーン車については何も記載されておらず、乗れると判断。横浜駅の券売機でSuicaにグリーン券情報を記録して乗車する。車内で3本目の原稿を執筆、完成させる。これでようやく楽になった。

上野東京ラインが開業してから首都圏の列車は運転距離が長くなった。この列車も始発の宇都宮から伊東まで231.0kmも走る。伊東には定刻、18:31に着く。「鉄道開業150年記念東日本フリーきっぷ」はJR東日本エリアの一部大手私鉄もカバーしており、伊豆急行線も乗れるのはありがたい。伊豆急行線は当ブログ管理人にとって未乗車なので、これを機会に乗っておきたいと、わざわざ行き先に下田市を選んだ。

同一ホームで伊豆急下田行きに乗り換える。わずか4分の乗り継ぎ時間で、18:35伊東発の伊豆急行701列車はゆっくりとホームを滑り出した。すでに外は真っ暗で、車窓風景はまったく見えない。

1時間18分、各駅停車の行程で19:53、終点・伊豆急下田に定時到着。ホテルの客室にビデオカメラを置き忘れ、回収に行くというハプニングもあったが、団結まつり会場を予定より30分早く撤収できたため、結果的には当初計画通り東海道本線1585Eに乗車できた。新橋から乗車予定だったところ、このハプニングで横浜乗車に変わってしまったが……。鉄道側のトラブルによる遅延等は一切なく、夕食に菓子パンしか食べられなかった初日を除けば順調に来ている。

ただ、伊豆急下田駅到着後、宿泊予定の「下田聚楽ホテル」までの足をどうするかは決めていなかった。駅からホテルまでは1.7kmもあり、すっかり夜の帳が降りたこの時間になって歩くには遠い。昔のように自分も若くないことは、GWの四国で思い知らされた。駅前のバス停で時刻を調べたが、ホテル方面へ向かうバスはすでに終わっていた。「下田聚楽ホテル」の送迎バスも、この時間は稼働していないため、ここだけはやむなくタクシーを利用することにした。

残念だったのは、ここも行楽シーズンで素泊まりプランしか予約が取れなかったことだ。チェックイン時にフロントで飲食店情報を得ようとしたが、地元資本の飲食店を「日曜のこの時間から探すのは、ちょっと難しいと思いますね。すき家さんなら開いていると思いますが、時間が時間だけに、電話して確かめてから行かれた方がいいと思います」(フロントの女性係員)。

チェックインして部屋に入り、荷物を置いて外に出る。タクシーで来る途中、目についたジョナサンとすき家に賭けるしかなさそうだった。どちらもホテル前の国道を徒歩ですぐなので、直接行って確かめる。ジョナサンは23:30までの営業、すき家は24時間営業(さすが、ワンオペのすき家だけのことはある!)でどちらも開いている。考えた結果、すき家は明日の朝食に回すことにし、ジョナサンを選ぶ。まともな食事ができたのは幸いだった。

ホテルに戻り、プロ野球日本シリーズを見る。3-3で引き分けのまま、第2戦はヤクルト、オリックスいずれも譲らず、延長12回、規定により引き分け。試合終了はなんと23時8分だった。

ようやく温泉に入る。さすがは一流温泉地だけあって、申し分なくいいお湯だった。

<完乗達成>伊豆急行

ここまで、今回の旅で達成した完乗路線は奪還含め5路線。2022年はすでにGWに5路線、8月にも5路線を完乗しており、これで15路線となった。完乗がこんなに進んだ年は、近年ちょっと記憶にない。少なくとも、原発問題に忙殺されるようになった2011年の福島第1原発事故後では初めてである。鉄道開業150年のメモリアルイヤーにふさわしい成績にはなった。

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「鉄道開業150年記念東日本フリーきっぷ」の旅(第2日目)

2022-10-22 22:59:25 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
午前6時に起床。直ちにホテルを出る。滞在時間はわずか6時間半だ。睡眠も6時間未満だったが快眠できた。菓子パンサービスへのお礼を述べ、チェックアウト。徒歩で駅に向かう。

だが、昨夜とは違うルートのためか、思いのほか時間がかかり、着いたのは6時半頃。632M発車まで数分しかない。「鉄道開業150年記念東日本フリーきっぷ」を発券している暇もない。やむを得ずSuicaで自動改札を抜け、632Mへ。6:40、新青森着。

ここから6:49発「はやぶさ8号」に乗車するが、乗換時間はわずか9分! 発券のため、いったん改札外に出ていたらとても間に合いそうにない。当初の予定では発券などとっくに済んでいるはずだったから、余裕時間をまったく見ていなかった。新幹線乗換改札口に行くと、マルス端末がちらりと見える。ここなら何とかなるかもしれないと思った私は、えきねっとの購入記録を係員に見せ、ここまでの事情を説明。「ここで何とか発券できませんか」とお願いしたら、発券してもらえた。ようやく切符を手にし、「はやぶさ8号」へ。

実は、この週末が締切の原稿執筆依頼を3つも抱えている。車内で落ち着く間もなく、移動しながら1本目の原稿(原発政策に関するもの)に着手。何とか完成させ、送信。東北を走りながら原発政策に関する原稿とは因果を感じる。

仙台(8:56着)で下車。朝食後、仙石東北ライン特快5521Dに乗車。仙石東北ラインは路線名ではなく運転系統名だが、2015年に営業開始した塩釜~高城町の連絡線区間は未乗車のまま。ここに乗ることも今回の目的のひとつである。仙台~石巻はすべて電化区間だが、東北本線は交流区間、仙石線は直流区間。常磐線用の特急車両以外、仙台地区には交直流車の配置がないため電車は直通できず、ハイブリッド気動車HB-E210系で運行されている。列車番号も気動車列車を表す「D」だ。

塩釜駅を出た5521Dは東北本線を快調に飛ばす。塩釜発車後、右から徐々に仙石線が接近。下り線から上り線に入った5521Dは、東北・仙石両線の線路が最も近づいたところに新しく設置された渡り線を使ってするすると仙石線に入る。単線となった仙石線では、さすがに東北本線に比べ速度は落ちるが、停車駅を矢本だけに絞り、快調に走る。10:14、石巻着。渡り線区間わずか0.3kmとはいえ、新規に線路が敷かれ、そこに営業キロが設定された場合には、営業線の新規開業として乗らなければならないのが当サイト(汽車旅と温泉を愛する会)の全線完乗ルールだ。我ながら厳しいルールだとは思う。

<写真>石巻駅で、折り返し仙台向け発車を待つHB-E210系


石巻からは、石巻線1631D(10:35発)で女川を目指す。東日本大震災による津波で線路が流され、付け替えられた結果、陸前大塚~陸前小野、浦宿~女川の2区間は営業キロが変更となった。「線路付け替えで営業キロが変更となった場合は、乗り直し」が当サイトの全線完乗ルールだ。決めた当時はそれほど厳しいルールとは思わなかったが、東日本大震災という数百年に一度レベルの災害によって、自分の決めたルールがこんな形で自分の首を絞めることになるとは予想もしていなかった。

付け替え区間(陸前大塚~陸前小野)の途中にある野蒜付近は、都市部でもないのに線路がわざわざ高架化されていた。今後、何度も津波が襲ってくるとの判断だろう。

石巻線には「渡波」(わたのは)という駅がある。過去、何度も津波に襲われた歴史がこの地名に込められている。地名を見ただけで、素人でも津波常襲地帯だと理解できるのに、こんな場所に女川原発を建て「非常用発電機が高台だったから福島第1のようにならなくて良かった」などと呑気にほざいて反省もしない原子力ムラは100回くらい死ぬべきだと思う。


女川でいったん降り、すぐ同じ列車に乗り直す。11:08発1632Dと番号を変えた列車で慌ただしく折り返す。11:34、石巻着。DD200型牽引の貨物列車を見かけた。北海道生活が今年で10年目となる当ブログ管理人は、DD200の実車を今回、初めて見た。

<写真>石巻駅で見かけた石巻線貨物列車


石巻11:55発、仙石東北ライン快速558Dで仙台を目指す。再び「架線下DC」ならぬ「架線下ハイブリッド車」HB-E210系だ。特快は仙石線内の停車駅が矢本だけなのに対し、快速はそれ以外にも停車する点が異なる。12:51、仙台着。

仙台駅では、鉄道150年記念で鉄道模型展が開催され、走行イベントが行われている。駅前に手頃な食堂を見つけたので、ここで昼食とする。

新幹線含め、3日間乗り放題の「鉄道開業150年記念東日本フリーきっぷ」をフルに生かすには、やはり新幹線で距離を稼がなければならない。全線完乗を進める上で、手頃な未乗車路線を事前に探したところ、上田電鉄別所線が未乗車だった。ここなら話題性もある(後述)。13:45発「やまびこ142号」で大宮に向かう。始発駅からの乗車なので、自由席でも座れると見て、ここは指定券を取らなかった。「鉄道開業150年記念東日本フリーきっぷ」では、3日間の有効期間中、指定席券発行を受けられるのは4回まで。すでに「はやぶさ」で1回使い、今後、全席指定の列車も控えているのに、こんなところで無駄遣いできない。少し早めにホームに行くと、行列はそれほどでもない。予想通り、自由席を確保。

途中、福島では、「やまびこ142号」の後部に「つばさ142号」が併結される。鉄道ファンなら当然見るべきだ。ホームに降り立ち、併結作業を見る。福島駅に来たのは、福島勤務時代の2012年以来、10年ぶりだ。

2022.10.22 やまびこ142号・つばさ142号併結シーン(福島駅)


ふたたび「やまびこ142号」に乗る。定刻通り福島を発車した「やまびこ142号・つばさ142号」で大宮へ移動中、2本目の原稿(こちら)を書き上げる。せっかく列車に乗ったのに、車窓さえ楽しむ暇がない。やれやれ。

大宮には定刻の15:23着。北陸新幹線「あさま617号」(15:29発)まで乗り換え時間はわずか6分だが、そこは勝手を知っている大宮駅。難なく乗り継ぐ。今回は途中駅からの乗り継ぎで、自由席に座れない可能性があると見て、ここで指定席枠2回目を使う。原稿はまだ1本、残っているが、上田まではわずか1時間。速筆に自信のある当ブログ管理人でも、さすがにこれでは完成は無理で、ここでの執筆はせず、初めて車窓をまじめに見た。上田、16:36着。北陸新幹線に乗ったのはいつ以来だろうか。思い出せないほど昔だが、記憶をたどると、2000年代初頭に、某サイトの鉄道研究会オフ会で長野の温泉を訪れた際に乗っているはずである。

上田からは、いよいよ上田電鉄別所線に初の乗車である。新幹線、しなの鉄道、上田電鉄は同一駅舎内で乗り継ぎは楽だった(しなの鉄道は元JRなのだから当然だが)。別所線といえば、まだ忘れもしない2019年、千曲川にかかる鉄橋が大雨で流され、最近復旧したばかり。経営体力のない地方私鉄だけに一時は廃線も選択肢に上ったが、鉄橋部分の線路だけ所有者を上田電鉄から上田市に変更する「上下分離」を実施。復旧費のうち97.5%が国費負担となることで、復旧にこぎ着けた。

その熱気が冷めないうちに、話題の鉄橋を見ておきたかった。上田発車後、すぐに現れた。地元の人の言葉通り、穏やかな川で、荒れ狂う姿は想像もできなかった。

日本一の長さを誇る信濃川は、長野県内では千曲川と呼ばれ、信濃川とは呼ばれない。信濃川と呼ぶのは新潟県側だ。「下流側の地域が、豊かな水の恵みを与えてくれる上流地域に対する謝意を込めて、上流地域の地域名を当てて信濃川と呼ぶ」(根津東六・元新潟県十日町市議会議員)のだと教えられた。

その話を直接、根津さんから聞いたのは、もう10年も前に開催された「千曲川・信濃川エコツアー」(報告記事)でのことだった。このツアー参加中に、根津さんらとともに参加した新潟県津南町でのシンポジウム「3・11以後の地域づくりの課題―自然との包括的な関係を築くために―」で、20代の若手ながら物怖じせず熱弁を振るっていたパネリストの1人、桑原悠さんが、今、津南町長2期目を務めている。桑原さんの初当選のニュースも、当ブログ2018年7月9日付記事で取り上げている。大半の読者はもうお忘れかもしれないので、再度、述べておきたい。

夜の帳が降りる頃、列車は別所温泉に到着(17:34)。温泉地にベストの時間に着き、もちろんここで1泊……としたかったのだが、観光シーズンまっただ中の土曜日のためか、この日、残念ながら別所温泉の旅館・ホテルはまったく取れなかった。明日、都内で迎える「本来の所要」の準備もあり、仕方なく確保している都内のホテルに戻ることにする。

別所温泉駅は、温泉観光地の玄関口となる駅だけに、歴史を感じさせる木造ながらもきちんと手入れが行き届き、暖かみが感じられた。このあたりが、災害でも復旧する鉄道と、廃線になってしまう鉄道の違いなのではないだろうか。

<写真>別所温泉駅


宿泊がかなわなかった魅惑の温泉地、別所温泉を後ろ髪引かれる思いで後にする。駅舎撮影後、17:39別所温泉発の列車で慌ただしく折り返す。18:08、定刻に上田着。

本来ならここで夕食とする予定だったが、駅前はいわゆる典型的な「飲み屋」ばかり。病気をきっかけに断酒した自分には合わないと思ったので、19:20上田発の「あさま630号」に乗る予定だったのを、急遽、18:35上田発「はくたか572号」に変更する。「あさま630号」に乗る予定で、自由席でもまぁ座れるだろうと想い、ここで指定席の発券はしていなかったが、「はくたか」は金沢発で乗車率が高い。通路側の自由席に何とか座れた。

東京に20時ちょうどに着く。東京駅地下街で購入した駅弁「八ヶ岳高原の鶏めし」を夕食とする。それでも菓子パンしか食べられなかった昨夜と比べれば恵まれている。京急蒲田駅前の「アイホテル京急蒲田駅前」に投宿。



<完乗達成>仙石東北ライン(東北本線)松島~高城町、仙石線〔奪還〕、石巻線〔奪還〕、上田電鉄別所線

奪還とは、過去に一度、全線完乗した路線に延長や線路付け替え等の理由で再び未乗車区間が発生した場合に、当該未乗車区間の全部に乗車し、全線完乗の記録を取り戻すことを指す当ブログ独特の表現である。前述の通り、仙石線・陸前大塚~陸前小野、石巻線・浦宿~女川は震災からの復旧過程で線路が付け替えられ、営業キロが変更となったため、乗り直しの必要が生じていた。

上田電鉄別所線は、廃線にならず復旧でき、本当に良かったと思う。この上下分離による災害復旧が、今後しばらくは災害復旧のモデルケースになるに違いない。

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「鉄道開業150年記念東日本フリーきっぷ」の旅(第1日目)

2022-10-21 23:53:48 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
一般人はもちろん、鉄道ファンもほとんどの人は、北海道から東京への移動は通常、飛行機を使っていることだろう。当ブログ管理人もご多分に漏れず普段はそうしているが、10月23日、都内での所用だけは「鉄道開業150年記念東日本フリーきっぷ」が発売されるとのリリースがあり、これを使って陸路で行こうと思う。

何しろ、3日間、東日本エリア全線で新幹線を含む自由席が22,150円で乗り放題という格安ぶりだ。通用期間は2022年10月14~27日のうち3日間ということで、都内で所用のある日が含まれる。これは使わない手はない。フリー区間の入口となる新青森までは別に切符を買う必要があるが、これを含めても飛行機往復よりかなり安くなる。

えきねっと限定発売ということで、早々と指定席券(有効期間内で4列車まで)を含め押さえたものの、問題は東日本エリアでしか発券できないこと。道内の駅で知らずに発券しようとしたがかなわず、発券は新青森到着までお預けである。

乗り放題型きっぷをフル活用するには、通用開始初日の朝一番からフリーエリア内で動いたほうが得に決まっている。そういうわけで、フリー区間の入口である新青森には今日のうちに向かうことにする。ただし、「鉄道開業150年記念東日本フリーきっぷ」の通用期間は明日から開始とした関係で、今日は新青森までの移動で終わりである。

10月21日夕方、南千歳駅17:26発の「北斗40号」で出発。4日間の長旅の始まりで心がときめく。今年のGWに四国3泊4日の旅をしたばかりで、久しぶりというほどでもないのだが……

全国的にJRグループのサービスは低下の一途をたどり、車販は影も形もない。せめて出発前、千歳空港あたりで夕食を調達しておけば良かったと悔やんだが後の祭りだった。20:23、新函館北斗着。新幹線開業直後の2016年に来たとき、周辺に何もないことは調査済みだったが、さすがにそれから6年経ち、少しくらい変わって何かできているだろうと甘く考えていた。だがやはり現地に着いてみるとコンビニも徒歩圏にはない。夕食を考え、21:57新函館北斗発「はやて100号」まで1時間半も時間を作ったのに、手持ちぶさたに終わる。夕食も結局、摂れずじまいだ。

「はやて100号」で新青森に22:59着。23:07発奥羽本線4641Mでそのまま青森へ。コロナ禍もあり、当然、こんな時間まで営業している飲食店はない。まさか、初日から夕食抜きとは……

しかも、ここで鉄道開業150年記念東日本フリーきっぷの発券をする計画だったのに、みどりの窓口は22:00までで営業終了。指定席券売機すら23:00で取扱を終了している。明日は6:36青森発の奥羽本線632Mで出発予定だが、この調子だと早朝すぎて窓口も券売機もまだ営業開始前という可能性が頭をよぎる。

途方に暮れたが、切符を購入し、代金も払っている以上、自分には乗車する権利がある。こんなこともあろうかと、えきねっとの発券記録を印刷した紙を持ってきて正解だったと思う。購入の事実はこれで証明できるので、もし明日の朝一番でも切符の発券が不可能な場合は、入場券で改札を通って「強行乗車」し、車内改札が来たら事情を説明、発券記録を見せて押し切る決意を固めた。

せっかくいい切符を発売しているのに発券できないのでは意味がない。JRはいったいどこまでサービスを下げれば気が済むのか。利用者・国民の気持ちが鉄道から離れた原因は、こんなところにもあると思う。鉄道開業150年というこの大切なメモリアルイヤーに、ローカル線がかつてない危機を迎えているのに、こんな調子では鉄道を助けようという国民意識も芽生えないだろう。やはり、利用者不在、国民不在のJRの企業体制は変えなければならないとの思いを強くする。

青森駅から15分ほど歩き、日付も変わる直前の23時半過ぎ、ようやく初日の宿泊先の「ホテルセレクトイン青森」に到着。チェックイン時に「菓子パンをサービスしております」とフロントから案内があり、ありがたくいただく。結局この菓子パンと、駅前のコンビニで何とか残っていたサンドイッチがこの日唯一の夕食となった。当ブログ管理人は長く全線乗車活動を続けているが、ホテルのフロントで宿泊客に菓子パンのサービスというのは初めてだ。もともとこの地域の特性もあり、さらにコロナ禍も加わって、私のように夕食を食べられないままやってくる宿泊客が多いのかもしれない。

正直、このサービスはありがたかった。地元メーカーが製造している普通の菓子パンだが、空腹でのチェックイン直後で、おいしく感じられた。

明日は早いので、早々に入浴し、床に入る。今回の旅も初日からこんな調子では、半年前の四国と同様、先行き波乱は必至だ。果たして、予定通りこの旅を終えることができるのだろうか……?

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阪神・近鉄中心に3社6路線に乗る

2022-08-30 00:53:13 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
8月27~29日にかけて、所用で関西方面に出かけた。この際、未乗車だった以下の路線に乗車したのでお知らせする。

8月27日 阪神武庫川線
8月29日 近鉄南大阪線、吉野線、御所線、道明寺線

なお、29日は、吉野山ケーブル(吉野大峯ケーブル自動車が運行)にも乗車した。ケーブルカーも鉄道事業法に基づく「索道事業」に分類されており、法律上は立派な鉄道である。現在のところ、当サイトのルール上、鉄道線・軌道線以外は参考記録扱いだが、ここに記しておきたい。

今年はGWにも5路線に乗車している。8月がまだ終わっておらず、2022年がまだ3分の1も残っているのに、全線完乗達成路線が早くも10となり、久々に2桁の大台に乗った。

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2022年上半期 鉄道全線完乗達成状況まとめ

2022-06-30 22:24:55 | 鉄道・公共交通/趣味の話題
最近はすっかり目的が変わってしまった感もあるが、当ブログの元々の開設目的は鉄道全線完全乗車活動の記録のためだった。ここ数年はローカル線問題に加え、コロナ禍でほとんど外出できない日々が続いたこともあり、全線完乗活動は停滞しているが、目標を捨ててしまったわけではない。

そんな中、活発に活動をしていた頃は、上半期・下半期に分けて全線完乗活動の報告を行うのが常だったが、こちらもここ数年の活動停滞に併せ、年末に1回だけの報告で済ませてきた。

今年は、2年ぶりにアフターコロナムードが漂い始め、リアル活動が復活してきたこともあって、遅れを取り戻すかのような積極的完乗活動を久しぶりに行った。このあたりで上半期分をまとめておかないと忘れてしまいそうなので、ここで2022年上半期鉄道全線完乗達成状況をまとめる。

上半期、下半期に分けて全線完乗まとめを発表するのは、2017年以来、5年ぶりである。

【4月】予讃線、内子線
【5月】とさでん交通、東急池上線
【6月】小田急江ノ島線

4月~5月は、関西~四国3泊4日の一連の行程で達成したものだが、月をまたがっているため分けて計上している。なお、予讃線、内子線の完乗達成により、JR四国は会社としても完乗となった。JRでは北海道、東海に次ぐ。東日本、西日本も一度は完乗を達成したが、北陸新幹線開業や東日本大震災による線路付け替えのため、未乗区間、乗り直しが必要な区間が新たに発生している。

本日の時点で、JR6社の未乗車区間は以下のとおり。肥薩線は、大雨災害から復旧できるか厳しい情勢が続いている。乗らないまま廃線という事態だけは、避けられるよう願っている。

【北海道】なし(完乗達成)
【東日本】北陸新幹線(長野~上越妙高)、仙石線(松島~高城町、陸前大塚~陸前小野)、吾妻線(岩島~長野原草津口)、中央本線(岡谷~塩尻(みどり湖経由))
【東海】なし(完乗達成)
【西日本】北陸新幹線(上越妙高~金沢)
【四国】なし(完乗達成)
【九州】肥薩線(人吉~隼人)、吉都線、日南線、指宿枕崎線

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