読売社説批判

首相退陣表明 「ポスト菅」で強力政権を作れ(6月3日付・読売社説)
 ◆与野党連携で迅速な復興を◆
 首相退陣を引き延ばすことに一体何の意味があるのか。結局、菅政権の抱える問題を先送りしただけである。
 菅首相が、東日本大震災の復旧・復興と東京電力福島第一原子力発電所事故対応に一定のメドがついた段階で退陣する意向を明らかにした。
 内閣不信任決議案の採決を控え、民主党内から造反の動きが拡大し、否決されても党が分裂状態になる可能性が強まっていた。
 党の分裂や、可決による衆院解散・総選挙を懸念した鳩山前首相らに説得された末の“内向き”の退陣表明と言えるだろう。
 衆院で不信任案は否決されたが、民主党議員の造反は17人に上る。少ない数ではない。
 ◆明示すべき辞任の時期◆
 政府・与党が一丸となった機動的な震災対応ができないことの一義的な責任は無論、菅首相にある。猛省を求めたい。
 問題は、首相が退陣時期を明示しなかったことにある。
 菅首相と鳩山氏が交わした覚書の確認事項によると、退陣時期に関連する部分は、「第2次補正予算の早期編成のめどをつける」とされているだけだ。
 首相は退陣表明後の記者会見で、原発事故の収束に努力する考えを示し、辞任を大幅に先延ばしする可能性にまで言及した。これでは話が食い違う。民主党内からも強い反発が出ている。
こんな中途半端な形で政権を担い続けるのは、無責任である。
 震災の被災者は、今なお厳しい環境に置かれている。
 「何も決められない国会」が続き、国政が停滞する。政権弱体化を見透かされ、国際関係の再構築もおぼつかない。そうした事態は回避しなければならない。
 政治の機能不全を避けるため、退陣までの期間はできるだけ短くすべきである。
 ◆2次補正予算が急務だ◆
 ねじれ国会の下、震災関連の立法措置を迅速にとるためには野党との連携が欠かせない。
 首相は明確に期限を切り、自民党の谷垣総裁らに協力を直接要請すべきだろう。
 そのためには、まず、子ども手当や高速道路無料化などバラマキ政策を掲げた政権公約(マニフェスト)の大胆な見直しが要る。
 採決で欠席した小沢一郎元代表らは、すでに破綻した政権公約の順守を主張し、野党との連携を阻んできた。
 菅首相は、「マニフェスト至上主義」と言える小沢氏ら造反議員を厳しく処分し、それをテコに大胆に政策転換する必要がある。
 急ぐべきは、復興基本法案の成立はもとより、震災復興を目的とする第2次補正予算案の早期編成・成立である。そのためにも、編成の段階から野党側と緊密に協議することが望ましい。
 第2次補正予算案は、復旧中心の1次補正予算をはるかに上回る規模になる見通しだ。
 震災対策は長期にわたる。その財源の確保が課題だ。
 政府・与党内では、復興目的に使途を限定した復興債を発行する案が検討されている。
 何らかの増税は不可欠だ。国民が広く薄く負担するという観点からは、消費税率の引き上げが現実的だろう。
 こうした復興財源について、政府・与党は、野党と率直に話し合っていかねばならない。
 指導力や決断力の欠如を露呈した菅首相には、当面、多くは期待できない。だが、「ポスト菅」の新体制への移行だけはしっかりと道筋をつけてもらいたい。
 ◆政権公約の抜本改定を◆
 首相は、退陣表明の際、「若い世代に責任を引き継いでいきたい」と述べた。小沢、鳩山両氏には影響力を持たせまいとする気持ちの表れだろう。
 菅首相の後継を選ぶ党代表選では、「脱マニフェスト」を巡って活発に論争し、現実に沿った新たな政策を競ってはどうか。
 谷垣総裁は、菅首相さえ交代すれば、民主党と協力する用意があると主張してきた。菅首相の退陣に備え、民主党との協力関係を再構築するのが、責任政党としての務めである。
 民主、自民両党の中堅・若手議員は政策勉強会などを結成し、連携の機運が醸成されている。この動きを大事にしたい。
 「ポスト菅」政権は、大連立によって国難に立ち向かい、日本再生への具体像を提示すべきだ。

(2011年6月3日01時29分 読売新聞)




 民主党が始めて政権を握り、前鳩山首相が辞職して、管氏が首相になったが、菅首相になってからまだ一年も経過していない。それなのに、「首相退陣を引き延ばすことに一体何の意味があるのか」と述べている。社説は一年も経過していないのに首相を引き摺り下ろす状況になるのに疑問は生じないのか。一体首相の座はそんなころころ変わっていいものなのか。逆に一年足らずで首相を引き摺り下ろすのになんの意味があるのかと言いたい。
 初めて政権を握った民主党は政権を運営するには初心者であり、野党であったときには予想もしていなかった多くの壁にぶつかり、失態を犯すのも仕方がない面がある。
 政権運営で深刻な失態を繰り返したら、一年以内でも辞職しなければならないだろう。ところが管首相は首相を辞職しなければならないような大きな失態を連続して犯してはいない。なぜ管首相が辞職しなければならないのかの明確な理由がない。せめて首相は大きな失態を犯さない限り二年以上は続けたほうがいい。
 大震災、福島原発事故の対策においては管首相が辞職しなければならないほどの失態はない。復興対策が遅れているとか、福島原発の対応が遅いと非難するが、詳しく検討していくと、誰が首相でも管首相の対応とは大差がないのは明らかになっている。
 公明党は管首相がお盆までには避難民全員が仮説住宅に入れるようにすると発言しながら、約束が守れそうにないことを厳しく非難した。ところが公明党ならお盆までに避難民全員が仮説住宅に入れるようにできるとは一言もいわなかった。菅首相が実現できそうにないことを発言したのはほら吹きだと非難してもいいが、菅首相が辞めれば復興作業がスピーディーになるということを明言しながら、具体的なことを指摘できない公明党もほら吹きである
 
 社説は「政府・与党が一丸となった機動的な震災対応ができないことの一義的な責任は無論、菅首相にある。猛省を求めたい。 問題は、首相が退陣時期を明示しなかったことにある」と述べているが、それはとんでもない批判である。 大震災、福島原発事故の対策が大一義であり、政府・与党が一丸とならなければならないのに、小沢グループが野党が提出した不信任案に同調して管降ろしを狙ったことが民主党を混乱に落とし込めた原因である。小沢グループがなければ野党かにら出した不信任案は無風状態で否決されていのだ。小沢グループが無風を嵐にしたのだ。小沢氏は代表戦で敗北したのだから、大人しくして、次の代表戦を目指していけばいいのに、野党の不信任案に乗っかるというのは邪道だ。

 「何も決められない国会」が続き、国政が停滞すれば、原因がなんであっても管首相は退陣に追いこめられるだろう。それは管政権の責任である。

 管首相は事態を乗り切る方法として辞任の約束をした。小沢グループが仕掛けなければ辞任の約束をすることもなかった。これからこの問題でもめていきそうだが、つまらない問題が生じたものだ。小沢氏がやったことは民主党を混乱させ弱体化させていく以外はなにもない。

 自民党は菅氏が首相だから協力できないと述べているが、なぜ管首相だから協力できないかという説明はあやふやである。
 そもそも、協力するということは法案つくりの時に妥協できるところはお互いに妥協しながら法案の成立を目指すことであり、協力できるできないは法案の内容と民主党がどのような妥協をするかである。菅首相が頑固で法案の改定に一切妥協しないとか、民主党の提案が自民党には全然受け入れることができない内容であれば協力できない方針を取ることは当然であるが、管首相だから法案つくりに協力できないというのはおかしい。

 「ねじれ国会の下、震災関連の立法措置を迅速にとるためには野党との連携が欠かせない。首相は明確に期限を切り、自民党の谷垣総裁らに協力を直接要請すべきだろう」

 なんと気楽な評論であることよ。首相が期限を切れば野党が協力するのは絶対にありえない。逆に「辞める日が決まっている首相とは真剣に話し合うことはできない、即刻辞めろ」と主張するに決まっている。
 管首相が生き残るには、しっかりした法案を提出し、自民党との協議を積極的に仕掛けていき、法案成立を早期に成立させるためには妥協もどんどんやっていくことだ。「期限を切り、自民党の谷垣総裁らに協力を直接要請」すれば谷垣総裁が応じるなんて考えるのは甘い。社説を書いた人間は何年間日本政治をみてきたのだろう。

 管政権だからこそできるのは、原発、保安員。原子力安全委員会の根本的な改革だ。自然エネルギー発電が参入しやすいように発電・電送の分離の法案をつくるのは民主党にしかできないし、管政権で法案化して道筋をつくってほしい。
民主党支持の回復をさせて、自民党と五分五分の選挙戦ができるようにすることだ。

  「ポスト菅政権は、大連立によって国難に立ち向かい、日本再生への具体像を提示すべきだ」なんてできっこないことを書くなといいたい。ポスト管政権は二大政党を確立し、二大政党を確立した上で自民党と協力できることは協力し、妥協できることは妥協する政治をするべきである。

 大連立をすれば主導権争いが勃発し、ちりぢりになってしまう。
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中国、ベトナム・フィリピン領海に侵攻

中国監視船、ベトナム漁船に威嚇射撃…南シナ海
. 【バンコク=若山樹一郎】ベトナム国営メディアは、南シナ海のスプラトリー(南沙)諸島周辺で操業中のベトナム漁船4隻が5月31日、中国国家海洋局の監視船とみられる3隻から威嚇射撃を受けたと伝えた。
 けが人はなかったが、中国船は漁船が1日朝に同海域を離れるまで並走した。
 漁船の船長は同紙に「船の近くに発砲された。中国船は漁船前方で停船し、衝突しそうになった」と話した。南シナ海では5月26日、ベトナムの資源探査船が中国監視船に調査用ケーブルを切断されたとしてベトナムが中国政府に抗議した。
 一方、フィリピン外務省は1日、同諸島海域で5月下旬から中国海軍などが新たな建造物を構築し始めたとし、中国に「懸念」を表明した。同省によると、建造物はフィリピンが主張する排他的経済水域(EEZ)内にあり、フィリピンは中国による新たな油井建設を警戒している。

(2011年6月2日20時46分 読売新聞)










 地図からわかるように、南沙諸島はベトナムとフィリピンの間にあり、中国からはかなり離れている。南沙諸島を中国の領海とするのは無理がある。ところが中国は強引に南沙諸島は中国の領海であると主張して南沙諸島に進出した。アメリカ軍がフィリピンに駐留している間はフィリピンは強気の姿勢で中国に望み中国軍の南沙諸島への進出を許さなかった。しかし、アメリカ軍がフィリピンから引き上げると、軍事力に勝る中国軍が南沙諸島に強引に進出して、南沙諸島に軍事基地などを造った。同じように中国はベトナムの近海にも進出して領海の拡大をした。

 中国の監視船は今よりもベトナムに近い海域でベトナムの漁船に発砲したり、資源探査船のケーブルを切ったりして、ベトナムに脅威を与えている。
 一方フィリピンの南沙諸島海域では5月下旬から中国海軍などが新たな建造物を構築し始めているし、石油、天然ガスの探査もはじめようとしている。

 中国は相手国の軍事力が弱ければ強引に相手国の領海に進出して中国の領海としてしまう。沖縄の尖閣諸島の領海も中国漁船に占領されていた。沖縄の漁船は中国漁船に追い出された状態が続いていたが、中国漁船が巡視船に衝突したのをきっかけに、日本が強気に出たので尖閣諸島から中国漁船がいなくなった。
 
 現在、沖縄の漁船が尖閣諸島の領海で安心して漁ができる状況ではない。沖縄の漁船が安心して漁ができるためには巡視船の監視強化、自衛隊による尖閣諸島の防衛体制をしっかりさせることだ。
宮古、八重山の首長らは漁業者が安全操業をできるように警備強化を仲井間知事に申し込んだ。
 
 中国の強引なアジア進出を抑止するにはアメリカ軍は必要である。しかし、中国とベトナム、フィリピンの深刻な対立に沖縄の反基地平和運動家は関心を持たない。北朝鮮に拉致された人たちの家族の苦しみを理解しない。尖閣諸島が中国漁船占拠され、沖縄の漁師たちが漁ができなくても問題にしない。

 ただひたすら、沖縄の米軍基地を沖縄から撤去することだけに関心がある反基地平和運動家たちは、今度の管首相の退陣をせまった不信任案提出問題でも、辺野古移設問題の視点だけから管首相の進退を論じるだけである。この人たちは日本全体のことを考えることはない。アジアの国々のことを考えることもない。なんて心の狭い人たちであろう。

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