沖縄自治州基本法は沖縄的自己中心

構想案 『憲法第95条に基づく沖縄自治州基本法』
【前文起草案】



 沖縄に関するさまざまな事項について、この沖縄に生きる私たち住民が、最終的に決定する権利を有する。沖縄の自治と自立をめざした私たち住民の営為は、沖縄のことは沖縄で決めるという、沖縄住民による自己決定権を最大の基盤とする。
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私の反論
 アメリカの軍事基地を沖縄に駐留させるか否かも沖縄の住民が決定するということか。果たして沖縄の住民に国際政治に関する問題を決定する権利を完全にゆだねることは正しいことなのか。
 アメリカ軍事基地は中国、北朝鮮など日本の国際的な状況を考慮して判断しなければならない。沖縄の住民に日本全体の立場を考えて政治判断する能力があるだろうか。そもそも国際情報を入手してそれを分析することが沖縄の住民に可能なのか。結論を言えば可能ではない。
中央政府と地方とは担う政治を分担するべきであって沖縄に関するさまざまな事項を全て沖縄の住民が決定するというのは無理がある。

 現在でも「沖縄に関するさまざまな事項について、この沖縄に生きる私たち住民が、最終的に決定する権利を」有している。辺野古にヘリコプター基地を建設することに関しても国は名護市と県の同意がないと建設はできない。沖縄にぜんぜん決定権がないように発言するのは間違っている。
 沖縄の政治的権利の拡大はそれにふさわしい実力が必要である。アメリカ軍の縮小は理論でアメリカに勝たなければならない。アジアでは戦争が起こる可能性がないことを論理化し、アメリカを論理で負かすのだ。北朝鮮だって戦争をする気はぜんぜんないことを理論的に証明すればいい。アメリカ軍事専門家と真っ向から論争をして勝つくらいの実力を持たなければならない。




私たちは、沖縄の住民の命を守ることを何よりも最優先することを宣言し、非暴力と反軍事力を基本にした平和な国際社会の構築をめざし、その方策に積極的に参画する。
 平和への希求は、これまでの琉球・沖縄の歴史に深く根ざしている。信義を重んじる国際交流で築いた琉球の歴史文化を壊滅させ、多くの住民を犠牲にした沖縄戦の体験は、その後の沖縄住民に、つつましくも平和を望む小国寡民として生きる道をはぐくんだ。
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私の反論
 平和主義に反対する人間はいない。しかし、この宣言はいたずらに戦争恐怖を煽っている。
 戦後60年余になるが沖縄が戦争に巻き込まれたことは一度もない。世界情勢を見ても沖縄が戦争に巻き込まれる可能性は低い。命を守ることを最優先すると声高に宣言しても大した意味はない。

 世界情勢を正確に把握できない組織に平和な国際社会の構築の方法を見つけることはできない。
 「平和への希求」は琉球・沖縄の歴史に深く根ざしてはいない。太平洋戦争での沖縄戦と日本の敗戦の体験が原因である。注意しないといけないのは敗戦するまでの沖縄は富国強兵主義の日本に従属して、戦争で活躍することを誇りとしていたことだ。アメリカに宣戦布告した真珠湾攻撃には拍手喝采している。
 アメリカ軍が沖縄上陸をし、多くの県民が死に、日本が敗戦したことで戦争謳歌が180度転換して平和主義になっただけのことである。つまり、戦争に負けたから方向転換したのである。人間愛を根本とした平和主義ではない。
 それゆえに単純に戦争反対を唱えているだけであり、「沖縄に軍事基地があるからテロに狙われる」と理屈にならない理屈でテロの恐怖を煽った。テロは軍事基地は狙わない。民間や政府施設を狙う。その方がアピールできるからだ。
 そもそも戦争反対運動が戦争を無くすというのは荒唐無稽の理屈だ。民主主義と経済の発展が戦争を無くすのである。




 しかし、人間としての基本的権利と自由を制限された戦後の米軍占領下の経験と、戦後60年を経てもいまだ占有する巨大な米軍基地の存在は、いまなお満たされない沖縄における平和的生存権の真の獲得を切実な課題としている。

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私の反論
 実際の沖縄での米軍基地の影響は小さい。騒音被害は普天間基地と嘉手納基地に金武くらいで浦添以南は米軍基地がない。基地被害を無くす運等はやらなければならないが、基地被害が沖縄全体を 覆っているような大袈裟な表現は止めたほうがいい。





  その意味で、沖縄戦後史は沖縄に生きる住民の平和と生存を希求し、それを獲得しようとする営為だったのである。しかし、いま、その基盤である平和憲法さえ改悪されようとしている。私たちは、その平和憲法の改悪に反対して、沖縄自治州では平和憲法の理念をより徹底して活かす道を目指す。

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私の反論
 戦後沖縄ではじまったのは祖国復帰運動だった。各家庭には正月には日の丸を掲揚し、君が代を斉唱した。日の丸、君が代、共通語励行が戦後沖縄の三点セット運動だった。この運動の根底は日本は沖縄の祖国であるという思想に支えられていた。
 異民族アメリカに支配されているという屈辱感が祖国復帰運動をやっている人間にはあった。「ヤンキーゴーホーム」がデモでシュプレヒコールされた。アメリカ人はアメリカに帰れである。祖国復帰運動は自治運動でも平和運動でもなかった。異民族支配から脱却して祖国日本に帰りたいという運動であった。祖国復帰運動の主体となったのが教員や公務員である。つまり戦前の沖縄で沖縄の日本化を推進していた階層が祖国復帰運動の原動力であった。
 「祖国復帰すれば生活が豊かになる」というのが祖国復帰運動の宣伝文句だった。教員や公務員の場合はそれが事実であったし、本土に研修に行った教諭の実感であった。祖国復帰すれば生活が豊かになる」というのは教員や公務員にとっては確実実現することであった。だから熱心に運動をやったのである。

 改憲の国民投票を「改悪」と見る人間がどうして民主主義思想家と言えようか。軍隊に賛成する者は平和主義者ではないと断定するのは間違いである。平和論はひとつではない。
 「沖縄住民による自己決定権を最大の基盤とする。」と宣言しながら「平和憲法の理念をより徹底して活かす」と言うのは矛盾している。沖縄住民の過半数が平和憲法の理念を否定することもありうるのだ。

 平和憲法を絶対視するのは独裁者と同じである。憲法は住民の過半数の意思で決定するものだ。沖縄自治州基本法は明らかに民主主義に即した法ではない。





 そのような琉球・沖縄の歴史をふまえて、この沖縄自治州基本法では、中央政府が主導する一元的な道州制の導入ではなく、個々の島や地域の個性を大事にする琉球列島内の緩やかで多元多層的な、沖縄独自の自治・分権構想の枠組みを提示する。その沖縄独自の自治・分権構想は、特有の自然環境と生熊系に根ざし、独自の地理的特性を生かした沖縄自治州の政治的自律と経済的自立を志向する。

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私の反論
抽象的でいいどこ取りの案である。中央政府の経済援助もアメリカ軍基地も全て撤去して沖縄の経済は繁栄するだろうか。中央政府の援助とアメリカ軍事基地経済がありながらも沖縄は貧困を脱していない。貧困克服は非常に困難な道である。この案では沖縄の貧困を脱出できそうもない。
 沖縄の経済自立は大きな課題である。その課題は沖縄人だけで解決できるほど簡単なものではない。現在でも中央政府の経済と知恵の援助、本土企業の資本進出と知恵の提供が沖縄の経済発展を支えている。現実は正確に見るべきであるし認めるべきである。さの上で沖縄の自立経済と発展について追求するべきである。
 中央政府は特区を提唱し地方独自の発展を促している。この案は政府と対立する提案ではない。





 その際、日本の中の沖縄という視点だけでなく、東アジアの中の沖縄という視点を重要視したい。日本の中で例外であった地上戦としての沖縄戦は、アジアに座標軸を広げると地上戦であった地域の方がより一般的であり、むしろ地上戦を経験していない日本の他地域の方がアジアでは例外な地域だといえる。今後、アジアとの信頼関係を築いていくために、日本の他地域にはない、アジアの歴史認識に通底する沖縄の歴史的視点を大事にする。

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私の反論
 60年以上も前の沖縄戦が「日本の他地域にはない、アジアの歴史認識に通底する」とは笑わせる。この体験至上主義はどうにかしてほしいものだ。地上戦があったことを重宝しても仕方がないのだよ。
 アジアは中国が資本主義を導入して経済発展をした。インドも高度経済成長のレールに乗った。ネパールは王制が倒れ、毛沢東派が武装闘争を放棄して議会制民主主義に移行している。
 アジアは戦争の可能性が低くなった。経済復興と民主化がアジアの最大の課題なである。それなのに60年以上も前の沖縄戦の悲惨さにこだわり、平和主義を振りかざす。人々は過去の悲惨を振り返るより明日の幸せ、豊かな生活を目指すのだ。それが人間の本能なのだ。
 平和主義者に政治はできない。





  米軍基地の存在は、沖縄の自立経済や経済発展を阻害しており、安全保障上の問題においても、沖縄住民に対して多くの負担を強いている。この沖縄自治州基本法では、沖縄からの米軍基地の完全撤去を目指して、沖縄の歴史的・地理的特性を生かして国際機関を誘致し、沖縄から東アジアの平和構築ためのイニシアティブを発揮する。

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私の反論
 米軍基地が沖縄の自立経済や経済発展を阻害しているというのは責任転嫁である。むしろ、戦後廃墟になった沖縄の経済復興に大きく尽力したのがアメリカである。アメリカの方が経済の法則を熟知している。沖縄の伝統工芸を復興させたのはアメリカであるし、軍雇用、軍用地料等で沖縄の経済は救われた。
 軍用地料の十年一括払いで家が建ち、銀行預金が増えることによって事業への貸し出しができるようになり沖縄の経済は復興したのである。
 戦前までは沖縄は半植民地であり沖縄の政治と事業は鹿児島や本土の人間に牛耳られていた。だから沖縄の人間が事業をするようになったのは戦後である。その事実をないがしろにしている。
 沖縄経済の復興が遅かったのは戦前は半植民地状態であり沖縄の企業家が少なかったことや沖縄が島国であったためである。



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