「国家の品格」批判その2

「風が吹けば桶屋が儲ける」のことわざを論理として見て、その理論を一刀両断する藤原正彦氏がいる。藤原氏によれば「風が吹けば桶屋が儲ける」確立は一兆分の一以下だそうである。この藤原氏が導き出した確立をなるほどと関心する人の確率はどのくらいだろうか。一兆分の一以下とまではいかないだろうがかなり低いはずである。

 「サルも木から落ちる」「犬もあるけば棒に当たる」「油断大敵」等のように「風が吹けば桶屋が儲ける」は昔から伝わることわざである。ことわざは論理と見るよりいましめと見るものである。サルが木から落ちる確率とか犬が棒にあたる確立というのはことわざに関係のない話である。
 「サルも木から落ちる」はどんなに上手であっても失敗はするもであり、気の緩みを戒めている。「犬もあるけば棒に当たる」は災難はいつなんどきやってくるかわからないといういましめである。

 「風が吹けば桶屋が儲ける」ということわざの意味は関係のないものと思われるものもめぐりめぐって影響してしまうことが世間にはあることを教えているのである。それを大真面目に正当な論理として考え「風が吹けば桶屋が儲ける」確立を出すというのは大人げないように思われます。

 「風が吹けば桶屋が儲ける」ということわざのような現象が最近起こりました。「石油の値段が上がれば菓子屋が倒産する。」です。
 最近はバイオエタノールが注目されています。バイオエタノールは石油の代わりの燃料になり、環境にもいいと言われています。石油が一バーレル七十ドルまで上昇しました。
 ここまで値があがるとバイオエタノールの方が安くなります。それでサトウキビが燃料用に売られ品薄になりサトウキビの値段が上がります。サトウキビの値段が上がると砂糖の値段が上がります。砂糖の高騰は砂糖を大量に使う菓子屋の経営を圧迫します。砂糖が高騰すれば菓子の値段をあげなければなりません。すると菓子が売れなくなる。菓子屋が倒産するという結果になる。

 菓子屋が倒産するというのは大げさであり、確立もぐんと低いです。しかし、石油が高騰するとめぐりめぐって菓子屋の経営を圧迫するというのは事実です。菓子屋が砂糖の高騰に悲鳴を上げたのは事実であり倒産しなのは企業努力で砂糖高騰のリスクをカバーしたからです。

 「風が吹けば桶屋が儲ける」は関係ないように見えるものがめぐりめぐって関係しているということを教えることわざなのです。「風が吹けば桶屋が儲ける」を確立の問題にして一兆分の一以下の確立であると言い放って、このことわざのテーマを軽視する藤原氏にはあきれます。

 「風が吹けば桶屋が儲ける」を批判して、だから論理はだめだと藤原氏は言います。しかし、「風が吹けば桶屋が儲ける」を論理と見るほうがおかしい。
 もっとましな論理、世間が論理としてみとめている論理を例に出して、その論理の矛盾をついて、だから論理はだめだと筋の通った説明をしなければ論理はだめだといったことにはならない。
 
 論理はだめだと論理的に説明しなければならないいうのも変な話だ。
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