今週の祈祷会で「ベテルの家」について学んだことを紹介します。
ベテルの家とは、北海道の浦河にある精神障がい者のコミュニテーィです。150名近くの精神障がい者と20名のスタッフが活動を行い、地域の人々の協力を得て商売を展開しているそうです。年間1億円近い売り上があるというのは、驚きです。
ベテルの家の理念は以下のようなものです
・三度の飯よりミーティング
・そのまんまがいいみたい
・安心してサボれる職場づくり
・弱さの情報公開
・偏見差別大歓迎
・公私混同大歓迎
・苦労を取り戻す
・昇る人生から降りる人生へ
・それで順調
・弱さを絆に
・べてるに来れば病気が出る
常識をくつがえすものばかりです。
向谷地生良(むかいやち いくよし)さんは、「ベテルの家の特徴は、管理の行き届かないところです」と言われます。ベテルの家には管理や規則がありません。
『ベテルの家の本』には、もし、管理上の規則があったら、すべてが「規則にこう書いてあるから」と片づけてしまい、ひとりひとりの自由闊達な意見や発想が埋もれていくような気がしたのです。と書かれています。
家庭が規則によって成り立っていないように、ひとりひとりが自由闊達な意見や発想をもち、問題があればそれを「ぶつかりあいと出会い」によって解決していく。というベテルのやりかたに新鮮なものを感じました。
実際規則を作らずにどうやって運営していっているのだろう? と不思議に思います。
しかし、現実に「ベテルの家」では、排除しないことと利益を上げるという矛盾する2つのことを両立させています。
一般社会では、規則や決まり事を作り、それを守れない人を排除していくという傾向があります。でも、障がいを持っている人たちは、規則を守れない方が多いのです。「管理の行き届かないところ」は理屈ではなく、障がい者が生きていくうえでの死活問題でもあると本に書かれています。
あえて、規則を作らない。問題が起こらないようにするのではなく、問題が起きるのは当然で、問題が起きたときにひとりひとりがどう対処するか、問題をどう生きるかが問われているという考えに深く共感しました。
つづく