生かされて

乳癌闘病記、エッセイ、詩、童話、小説を通して生かされている喜びを綴っていきます。 by土筆文香(つくしふみか)

悲しみで固まった心が・・・・・・

2012-09-29 11:35:11 | 読書
一昨日は日本クリスチャン・ペンクラブの60周年記念会の準備委員会で御茶ノ水へ行き、昨日は土浦で日本児童文学者協会茨城支部の例会でした。そして今日は教会で結婚式です。

児童文学の例会で推薦する本があったら持ってくるように言われていたので、一冊の児童書を選んで持っていきました。。
「トイレ間違えちゃった」ルイス・サッカー(講談社)です。

「トイレ間違えちゃった」は、ちょうど10年ぐらい前に初めて読みました。このたび、再読してまた号泣してしまいました。
感動してほろりと涙が出るというのではありません。子どものように泣きじゃくって、本を閉じた後もいつまでも引きずって悲しみに浸ってしまうという泣き方です。
内容を紹介しますね……

主人公のブラッドリーはクラスで嫌われ者で、隣の席に誰も座ろうとしません。授業も聞いてないし、宿題もやってきたことがないので、ブラッドリーだけ金のシールが一枚ももらえません。
平気で嘘をつくので、先生には問題児とみられています。

転校生ジェフと友達になれそうになったのに、どうしたらいいかわからなくて、1ドル巻き上げてみたり、女の子をいじめようとして反対に殴られてしまいます。
ブラッドリーは、嫌われる前に自分のほうから嫌うことで、傷つくことなく生きられると思っていたようです。

ブラッドリーの家族はごくふつうの家族です。厳格だけれども遊んでもくれる警官のお父さん、やさしいお母さん、ちょっと意地悪なお姉さん。
ブラッドリーは友達がいないので寂しくて、家ではぬいぐるみ相手に一人芝居をしています。
カーラというカウンセラーに出会い、最初は心閉ざしていたのですが、少しずつ心を開いていき、変えられていきます。

ブラッドリーは、自分が受け入れられたと知って変えられていきます。いままで学校では誰からも受け入れられず、モンスターだと思われていたのですから、ブラッドリーの心は悲しみで固まってしまっていたのです。カーラと会話を交わすことによって少しずつほぐされます。

カーラの言葉がすばらしいです。
「あたしは、だれでも心の中に、かならずいい部分を持ってると思うの。みんなが幸せだと感じたり、悲しいと思ったり、さびしさを味わったりするわよね。でもなかには、だれかのことをモンスターだって決めつけてしまう人もいるのよ。ただそれは、その人の中のいい部分が見えないからっていうだけなの。――」

読み進めているうちにいつの間にかブラッドリーになりきっていました。
カーラが突然転任することを知ったときのブラッドリーの気持ちが痛いほどわかって、それで号泣してしまったのです。

この本は、絶版になっていますが
There's A Boy in the Girl's Bathroom という題でペーパーバックで出ているようです。
今度、原文で読んでみたいと思いました。


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