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生かされて

乳癌闘病記、エッセイ、詩、童話、小説を通して生かされている喜びを綴っていきます。 by土筆文香(つくしふみか)

グリーン・ジョイフル(その2)

2009-06-01 16:30:01 | 日本クリスチャン・ペンクラブ

JCP研修会のグリーンジョイフルで「わたしの文章作法」としてお話をさせていただいたことの一部を紹介します。 


わたしは中学生のころ、むなしさを感じて死にたいと思っていた時期がありました。自分の存在価値、生きる意味がわからず、気力を失っていました。
もし創造主である神様のことを知っていて、神様の愛を伝えられていたら、ずいぶん違っていたでしょう。

現代を生きる子どもたちの中にもわたしと同じような思いを抱き、死を望んでいる子どもがいるのではないかと思います。その子どもたちに何とか神様の愛を伝えたいと願い、児童伝道に重荷をもつようになりました。
そのためにわたしができることとして考えたのが、童話や児童小説を書くことでした。

映画や物語が子どもたちの心にどれほどの影響を与えているかご存知でしょうか。
大人は物語の世界と現実を区別して考えます。でも、子どもは強烈な印象を受けた物語を頭の中で何度も繰り返すのです。

12年前、娘が小学生のとき、宮崎駿監督の映画『もののけ姫』が公開されました。
「隣の席の男子が授業中に『もののけ姫』のテーマ曲をずっと口ずさんでいて、うるさくてしょうがない」と娘が言いました。その男子はテーマ曲を口ずさみながら映像やストーリーを頭の中で何度も繰り返していたのでしょう。

また、子ども家庭集会で訪れた家の子どもは「千と千尋の神隠し」の絵本を持ってきて、その内容を一生懸命説明してくれました。「千と千尋」は八百万(やおよろず)の神を描き、「もののけ姫」は自然のものに精霊が宿るという思想です。

子どもに観せてはいけないと言っているわけではありません。聖書物語を聞いて育った子どもたちは、大丈夫だと思います。でも、聖書の神様を知らない子どもたちは、間違った神観が植えつけられてしまいます。

アニメではありませんが、去年公開された「ライラの冒険」を観にいって驚きました。原作はフィリップ・プルマンの「黄金の羅針盤」というファンタジー小説です。そのテーマは神に対する反抗で、神に反抗するサタンが正しいという見解で書かれています。

子どもたちはエキサイティングな物語展開、映像に惹きつけられて観ます。テーマはわからなくても伝わってしまいます。そのような物語を繰り返し頭の中でシミレーションしている子どもたちのことを思って心が痛みました。

CSルイス原作の「ナルニア国物語」が映画化されたときは嬉しくて2作とも映画館で観ました。強調する場面は原作と異なっていましたが、しっかりテーマは伝えられていました。

子どもたちに植えつけられた間違った神観、価値観を覆すには、聖書信仰に基づいた子ども向け小説や映画がどんどん作られることです。

聖書信仰を土台とし、子どもの心を惹きつけるストーリーで、文学的にもすぐれた作品が書きたい……と願いますが、説明は簡単にできても実際に書くとなると、とてつもなく大変なことだのだと最近思い知らされました。

わたしは、童話を書き始めて15年になりますが、まだまだ暗中模索の段階です。
2年ほど前からファンタジーの長編に取り組んでいます。昨年秋のオータムジョイフルで「書くことの原動力」と題して書いたエッセイに


【「神の国とその義とをまず第一に求めなさい」のみ言葉から小説の書き方を学ぶより、まず神様のことを第一に求めるべきなのだと考えて、御茶ノ水聖書学院通信科で旧約聖書の学びを始めました。学びを通して神様がどれだけわたしのこと愛しておられるかがわかって、胸が熱くなりました。この思いの高まりが書くことの原動力となって、書き上げることができたのです】
と書きました。

その後、書き上げた小説を娘に読んでもらいました。
「信仰という縦糸はしっかりしているけど、技術的な横糸がヘロヘロだから、作品としてはまだまだね」と手厳しい批評を受け、がっかりしていると、

「でもね、お母さん。ひとつだけ成功したことは、いつもキリストを示す登場人物を前面に出していたので、読んでいるとテーマを押しつけられているように感じたけど、今回はそれを感じなかったよ。うまく隠されていて、神様の愛が伝えられているよ」
と、娘が励ますようにいいました。その言葉を聞いてとても嬉しく思いました。

その後、児童文学者協会の講師の先生に小説を見ていただきました。「ストーリーはいいが、技術的にまだまだ……。説明が多すぎる。説明でなく臨在感のあるものとして書くように」と言われました。

それから4か月かけて推敲をしました。大がかりな全体的推敲は3回目です。原稿用紙200枚弱だったのが248枚に増えていました。
そして再びこれを児童文学者協会へ持っていくと、一生懸命書き直した努力は認めてもらったものの構成の面で問題があって、またまた書き直しになりました。

少し時間を置いて寝かせてから書き直したいと思っています。完成まで何年かかるかわかりませんが神様が書きあげる力を与えて下さると信じて……。

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