乳幼児の歯科健診でむし歯以外の事柄で時々チェックされるのが、写真のような癒合歯です。元来ある乳歯2本が発生・形成過程でくっついたもので、いちばん発生確率が高いのが下の前歯2本(1番目と2番目)がくっついたものです。永久歯ではこのような歯は非常に少ないのですが、乳歯ではそこまで珍しいものではありません。親としては後の永久歯も同じような形?とか、永久歯の数は大丈夫?とか、永久歯への影響が心配になるところです。
癒合歯は通常前歯にしか発生しません。歯数が少なくなる傾向の1表現形ですので、よりくっついた形で、反対側の歯と比べて大きめの歯になるパターンもあります。またさらに進んだ形では、完全に1本の歯が無くなる「先天欠如」という形になります。永久歯数への影響ですが、発生場所によって違います。下の1番目&2番目の癒合歯では、後の永久歯が通常通り揃っている確率8割、下の2番目&3番目の癒合歯ではそれが2割(2番目の永久歯が欠如する確率8割)。上の1番目&2番目癒合歯ではほぼすべて2番目の永久歯が欠如します。
癒合歯があった場合の時期的対応は
1. 癒合している境目からむし歯が発生しやすいので、歯磨きに気をつけるとともに、歯科で積極的な予防を行ってもらう(シーラント、フッ素など)。
2. 5歳近くなったら、X線で永久歯数を確認してもらう。
3. 癒合歯は幅が大きいことが多く、永久歯との生え変わりが自然に行かないことがあるので、状況によってはその時期に歯科での乳歯抜歯が必要になる。
このパターンでは通常永久歯数は揃っているが、生え変わりの問題が出てくることもよくある。癒合歯の裏側から永久歯が出てきている。
2番目&3番目の乳歯が癒合していると、後の2番目の永久歯が無いことが多い。