福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

これも気になる犬歯埋伏例

2024-06-12 | 口の中の問題

10歳の患者さんで、少し前に部分的反対咬合治療を行い、経過観察中です。
反対咬合系の骨格要素が大きいので、成長期終了後に全体矯正が必要と考えています。
その前に上の真ん中付近の埋伏過剰歯、向かって左上犬歯の位置異常と埋伏傾向があって、これらの解決が先です。



犬歯は中切歯側切歯間に斜めに傾斜して位置しており、自力で出て来ない可能性もあります。
この患者さんは先日紹介の患者さんとは異なり、外側に位置している典型です。
犬歯の位置によっては、隣接する永久歯根を吸収することも稀にあります。
犬歯の真下に位置して口腔内に出ている側切歯は、犬歯位置の異常の影響で捻れています。
側切歯は捻れて下の歯と外傷性咬合だったので、わずかに外側移動しました。
この時期に捻れを改善すると、側切歯根の吸収や犬歯位置の悪化につながるので、基本的には禁忌です。



最近のパノラマとデンタルX線では、さらに隣接する中切歯根の吸収が疑われます。
過剰歯も中切歯間に認めます。
犬歯は外側に位置しており、さらに中切歯の移動は行わなかったので大丈夫なはずですが、念のために近隣の医院でCT撮影をお願いしました。
CTで3Dでチェックした結果、問題なく当面は犬歯の動向を観察でOKです。
パノラマでは断層域の問題、デンタルでは犬歯の歯嚢像との2次元画像の重なりが影響しているようです。
しかしながら、いずれは開窓と矯正的牽引処置が必要かもしれません。
犬歯が出て来ても位置異常が大きいので、全体矯正の前に上の歯並び治療は必要になります。



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ちょっと難しそうな犬歯埋伏例

2024-06-10 | 口の中の問題

現在中学生になっている患者さんですが、上の前歯の歯並びの矯正治療を予定していました。
ところが、向かって左上の犬歯位置がズレていて、ズレていても出てくれば何とかなると、しばらく経過観察しました。
もちろん前歯の歯並びの問題はズレた犬歯の影響があるので、まずは犬歯の解決が先です。



パノラマX線では犬歯が深い位置に埋まった状況は分かりますが、断層写真のため、断層域からズレた位置だと不明瞭です。



デンタルX線だと、犬歯が中切歯側切歯の間の深い位置に、斜めにズレているのが分かります。
深い位置ということもあって、専門医に診断と外科的開窓処置をお願いしました。
CT撮影の結果、犬歯は前歯の内側で埋まっているとの診断で、通常は外側がほとんどなので位置的に稀な症例です。
やはり特殊な症例だったと、再認識です。
口腔外科専門家の処置後は当院での矯正処置になります。
患者さん側にとっては外科処置をスタートとして大変ですが、同じ犬歯埋伏でも典型ではないゆえに、治療に対するモチベーションは上がるところです。



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全身健康のための鼻呼吸

2024-05-10 | 口の中の問題

お口ポカンの弊害は、歯並びかみ合わせ、食べ方、虫歯歯肉炎などへの影響で、最近歯科分野で注目されています。
小児では口腔機能発達不全という病名もつけられ、歯科医院でのアプローチも一般化しつつあります。
当院は小児歯科&矯正歯科がメインなので、この分野を進化させることはマストと考えています。
あいうべ体操や口閉じテープの考案者&推奨者、今井先生は内科医で、むしろ全身健康の面からスタートされました。
その後、歯科との連携が進み現在に至っています。今井先生は福岡地元で、もちろん私は講演会に参加したことはあります。
下の著書は、2021年発刊で、今井先生&中島先生(歯科医師)著です。



当院では、プレオルソと言う成長期に使用するマウスピース矯正装置と関連して、口閉じテープを導入しました。
通常のサージカルテープでもOKですが、最近はむしろ全身健康のためのマウステーピングが知られるところになり、薬局でも専用の製品が置いてあります。
マウステーピングが不得意な場合、準ずるもので口マスクという方法(製品化もされています)もあります。
今更ながら、より広い観点で再評価する必要がありますね。
私も、口腔機能には問題ありませんが、就寝時に口呼吸傾向はあると思うので、あえて口テープや口マスクの効果を試したいと思います。



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小児口腔機能発達不全への具体的アプローチ

2024-05-01 | 口の中の問題

口呼吸を伴うお口ポカンや、舌の位置が低いことで、かみ合わせや滑舌に影響することは多々あります。
そのような場合、矯正治療を行いながら、舌も含めた口腔周囲筋のバランスを正常化できると理想です。
このバランスをマルチに改善できるシンプルな方法が、あいうべ体操です。
他にもMFTと呼ばれるトレーニング法は以前からあって、最近は再認識されているところです。
6月から改定される歯科医療保険でも、口唇圧や舌圧の測定が認められ、一般化しつつあります。



口唇圧の測定、舌圧アップのための製品です。
右のペコぱんだは、中途障害の成人の口腔機能リハビリで使用されて来ましたが、小児バージョンも発売されました。
自宅でのトレーニングをお願いするからには、持続するようなサポート、モニタリング、評価が必要になります。
さらにそのシステム作りや、医院スタッフとの共有化も重要です。
歯科医側としては、プロとして、言いっぱなしにならないように気を付けたいものです。



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中心結節感染の1例

2024-04-05 | 口の中の問題

小臼歯部噛み合わせ中心部の形態が細く尖っていることがあり、中心結節と呼ばれています。
小臼歯出始めは大丈夫ですが、対咬する歯と噛んでくると、結節が折れて神経の痛み、神経が壊死することがあります。
当院では、定期健診時に中心結節を発見した場合、折れないように周囲を歯科用セメント(グラスアイオノマー)でサポートします。
中心結節は、ゆっくりすり減っていけば、年齢とともに象牙質が厚くなったり、第2象牙質が形成されることで神経は守られます。



この患者さんは初診で、右下第2小臼歯の中心結節が折れて感染、痛みが出ています。
セカンドオピニオンで当院受診され、診査説明後に治療することになりました。
出て早々に折れることが多いので、根の部分は未完成で、象牙質が薄く神経部分が大きい状況です。
処置は、アペシフィキケーションとかリバスキュラリゼーションと呼ばれています。
感染の状況にもよりますが、根の先の部分のダメージが小さければ、部分的に神経が復活します。
逆の場合、根の部分は閉じますが、長くなることは期待できません。



水酸化カルシウム系ペーストで根の部分を満たします。
数か月おきに、ペーストを入れ替えながら、根の先や周囲骨の回復を観察します。



初診から1年2か月。
周囲骨が回復し、根の先が閉じて伸びも限界と判断しました。
右隣の第2小臼歯の根の長さとほぼ同じです。
最終的な根管充填と修復を行いました。
結果から判断するに、根の先部分のダメージは中程度だったと思われます。
根管が寸胴状ですが、最近一般的になってきたシングルポイント根管充填を選択すれば、良好に充填できます。
象牙質は厚くならないのは、形成途中の神経の処置なのでいたしかたありません。
当院で定期健診の患者さんでも、しばらく受診が途絶えている時期に、中心結節破折?という例があります。
小臼歯部出始めで中心結節を発見したら、上記のような例にならないため、早めに歯科受診をしましょう。



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永久歯に影響ある過剰歯の1例

2024-03-01 | 口の中の問題

5歳の患者さんで、上の前歯の虫歯診査のためにX線撮影をしました。
偶然ですが、中央付近に過剰歯を発見。
最近は上の前歯の虫歯も少なくなり、生え変わりの問題が疑われる場合のX線診査がほとんどで、過剰歯の発見は遅めになることも多いですね。



逆生埋伏過剰歯と呼ばれ、歯の頭部分が上です。
なので、根の形成とともに上方(実際は口蓋に沿って斜め後方)に移動すれば、永久歯から離れます。
そうなると、永久歯の出方や歯並びへの影響はほぼ無くなるので、過剰歯抜歯の必要性も無くなります。
この患者さんは、年齢の割に過剰歯の根形成は終了していて、上方移動はないでしょう。
また、根の先がほぼ中央部分にあるので、いずれ永久歯への影響は出るタイプと言えます。
向かって左側の永久歯側なので、萌出はするでしょうが、真ん中の隙間が大きいままとか、左右で前歯傾斜の違いが出て来るでしょう。
理屈的には早めの過剰歯抜歯が望ましいですが、5歳では年齢的な協力度が微妙です。
病院歯科とか大学病院で全身麻酔で行う手段はありますが、可能な地域は限られていますし、全身麻酔に対する保護者の方の意向も影響します。
年齢が上がって局所麻酔下で抜歯して、永久歯の出方を待つというのが、最も一般的かなと思います。
永久歯がそれなりに出てから過剰歯抜歯して、以降に部分的矯正でも問題はありませんので、あまり予防的に過剰歯抜歯が緊急と考えなくてOKでしょう。



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上の犬歯の萌出誘導

2024-02-18 | 口の中の問題

歯の生え変わり時期で、上の犬歯が正常に出てこれない例は珍しくありません。
現状でも数名の患者さんが、関連の矯正治療がオン・ゴーイングです。
予備軍とも言える患者さんは、さらに多く、その1例の紹介です。



現在小学校高学年の患者さんで、1年ほど前のパノラマX線では向かって右上の犬歯位置が不良です。
隣の側切歯側に傾斜していますが、出て来るまで時間があるので、今後どのようになるか経過観察です。



最近のX線写真です。
生え変わりがゆっくり目なので、今から生え変わる乳歯も多いようです。
それもあって犬歯位置の改善は見られませんが、犬歯の下付近にダークな像が見られ気になります。



虫歯の多い患者さんで、乳犬歯とその後ろの第1乳臼歯は神経の処置がされています。
多分乳犬歯の根の部分の炎症で、嚢胞状の炎症像が見られます。
永久犬歯はすぐには出て来る時期ではありませんが、この炎症像によって、犬歯方向はより悪化する可能性があります。
この部位の乳歯2本の抜歯をして、抜歯スペースを保つ装置(保隙装置)を装着して、犬歯の動向を経過観察します。
むしろ抜歯後に炎症部位の方向に犬歯が誘導されやすいので、皮肉なことに結果オーライになるかも知れません。



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出て来る過剰歯は分かりやすい

2024-02-10 | 口の中の問題

過剰歯は、発生率数%ですが、上の歯並び真ん中付近の発生がほとんどです。
横向きや上向きの場合の場合の方が多く、自然には出て来ず、上の前歯の歯並びに影響することもあります。
7歳頃に、前歯の出方に問題あったりして、X線撮影をして発見されることが多いようです。
正常な方向の場合、早い時は4歳頃、通常は前歯の生え変わり時期前後に出て来ることがあります。



この患者さんは7歳で、数か月前に出始めました。
その時期のX線写真から判断すると、もう少し出て来そうなので、3か月ほど先の次回健診時に抜歯予定としました。
位置的に後ろなので、永久歯前歯には通常は影響ないため、抜歯の緊急性はありません。



X線像で、前歯は正常に生え変わる所見です。
位置や方向によっては前歯の生え変わりに影響が出ますので、過剰歯はそれに応じて適時抜歯が望ましいことになります。
因みに、深い位置に埋まったままの場合、永久歯への影響はありませんので、そのままで良いこともあります。
親知らずでも完全に埋まって、痛みや腫れが無く、矯正治療後の歯並びへの悪影響がなければ、抜歯の必要性はないと考えています。



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歯の着色が気になる場合

2024-01-17 | 口の中の問題

上の前歯付近は、唾液の流れの関連もあると思いますが、黒っぽい着色が気になる場合もあるのでは。
口呼吸をしていると、さらに付きやすくなります。
着色は飲食物の影響が主ですが、ルイボスティーが付きやすい代表ですね。
虫歯とは全く別物ですが、前歯付近だと見た目は気になります。
歯のくすみは、いきなりホワイトニングではなく、歯科医院でのPMTCでステインを除去すれば、結構綺麗になることも多いと思います。



写真左下の製品、クリーニングジェルPMTCはプロ用で、歯の表面に殆どダメージを与えずステイン除去ができる優れた製品です。
いわゆる研磨剤で磨くというより、着色成分を浮かして除去し、さらにヒドロオキシアパタイトやフッ素でエナメル質を修復する効果も期待できます。
当院でも過去色々試用検討して、結局この製品に落ち着いています。
左上はクリーニングジェルソフトで家庭で使用できる製品です。
私も週1くらいで使用していて、おススメです。
価格が1500円以上(当院では税込み1640円)ですが、使用量と頻度を考えるとコスパは悪くないと思います。



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今話題の口腔機能発達不全症

2024-01-16 | 口の中の問題

近々TNCのTV番組でお話し予定の、口唇閉鎖不全症、広義では口腔機能発達不全症と呼ばれます。
お口ポカンと表現されたりしますが、平常時お口が開いていると感染症のリスクが高まる、特に前歯部分の虫歯や歯肉炎リスクが高まる、食べ方や滑舌が良くないなど、日常生活の上で多くの悪影響があります。
昨日は福岡のスタディグループ「月曜会」主催の講演会が開催され、参加しました。



この会も小児歯科医が中心に集う会で、メンバーは福岡小児歯科集談会の会員も程々います。
以前岡山大学小児歯科に勤務されていた岡崎先生の講演で、タイトルは「なぜ口腔機能発達不全症が増えるのか?」
この疾患に対して、様々な臨床的取り組みや研究をされていて、大いに役立ちます。
哺乳、離乳期からの生活環境も影響している部分もあるようで、不全症の処置より原因の改善にも目が向きます。
小児歯科医が虫歯の治療や予防でOKな時代は、20世紀で終わりました。
口腔機能の健全な発育をサポートできる、包括的な小児歯科医療に変革していく時期です。
最近皆さんもご存じの方が多い「あいうべ体操」も不全症に対処できる方策です。
岡崎先生は保育園や学校のような集団の場面で、不全症に対して様々な指導を行って、良い結果が出ています。
フッ素洗口もそうですが、集団では実行できても、個別ではなかなか長続きしないのが現実です。
個別指導では、単なる指導に終わらないように、患者さんが継続して実施できる工夫やプログラムが必要ですね。
スタッフと共有して取り組む必要性を感じました。



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