福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

乳幼児の歯科治療はトラウマになるのか? その2

2006-06-06 | 子どもとの付合い
脳性まひや、知的障害、自閉症を持つ患者さんたちの歯科治療や予防指導などを経験してきましたが、これらの患者さんはある種のコミュニケーション障害を持っていますので、先日説明したTell-Show-Doテクニックを基本に歯科の環境に慣れてもらうことから始めます。脳性まひの場合、知的には問題ない人も多いのですが、緊張でどうしても思わぬ身体の動き(不随意運動)が出てしまいます。説明をして体験してもらう事で環境に慣れ、随分通常どおりの治療ができるようになる患者さんも多く経験しました。知的障害の患者さんも定期的に長期管理することで、徐々に慣れることが期待できます。典型的な自閉症の患者さんは、なかなか慣れというのが見えて来ず、トレーニング効果が見えないことが多々あります。視覚優位の場合が多いといわれていますので、絵や写真を使った説明が効果的なこともあります。
これらの患者さんに共通したことは、無理やり通常通りの治療をしようとすると、台無しになることです。すなわち歯科への恐怖感がより大きくなって、なかなか拭い去れなくなるということです。ですから、大学病院等では全身麻酔での治療という選択もありますが、通常の外来では多少妥協的治療が必要で、予防の重要性が大きいといえます。患者さんのために無理の無い治療選択は何か?現実的で簡単で効率的な予防法は何か?など、通常のロジックを一度壊して、患者さんや保護者のために何が良いのか(実はこれがすべての基本ですけどね)考えることが必要です。
歯科材料やカリオロジーの発展によって、随分治療選択も融通が出てきたように思います。乳幼児のむし歯治療も、虫歯=治療と考えるので身体拘束して治療せざるを得なくなります。
私の場合は、障害をもつ子ども達が、無理の無い治療選択と予防ということを教えてくれました。健常な子ども達は拘束しても成長すれば大丈夫とか逆差別をせずに、子ども達そして保護者の方の気持ちを分かりたいものです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする