福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

反対咬合治療の選択肢2

2024-06-01 | 歯並び、矯正の話

同様のタイトルで、リンガルアーチという装置を紹介しましたが、今回は当院でよく適応しているプレオルソの例です。



向かって左側の切歯が逆に噛んでいて、下の前歯間にはまり込んだようになっています。
外傷性咬合が疑われ、比較的早期の改善が望ましい例です。



プレオルソが適する例と診断して、スタートしました。



使用状況良好で3か月後。
もともとかみ合わせが浅めですが、上の切歯4本が前後的に下と噛まない位、外側移動しています。
オーバーコレクションと言って、後戻りを計算に入れて丁度良い治癒状態です。



装置使用終了としました。
保護者の方が、上の前歯間の隙間を気にされていましたが、外側傾斜した上の前歯が下の前歯と正常に噛み合うまで後戻りすれば閉鎖します。
また、この時期の上の前歯は若干ハの字傾斜があるのが普通で、その後犬歯が生え変わるころに自然改善するという要素もあります。


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反対咬合治療の選択肢

2024-05-31 | 歯並び、矯正の話

歯並びかみ合わせの問題は、まずは噛み合わせ改善が優先され、これは繰り返し述べていると思います。
反対咬合の改善では、上の前歯の前方移動が主ですが、プレオルソでは上の前歯を前方、下の前歯を後方、そして下顎を後方に誘導することを同時に行えます。
取り外せる装置なので、使用が良好であれば、数か月で治癒するのが普通です。



途中装置調整が不要なので、お互いに楽です。ただし、使用不良だと当然ですが治癒しません。
プレオルソは、使えそうかどうかを慎重にチェックしてスタートしますが、まれに予測に反して使用不良の患者さんがいます。
そのような場合、昔から使用されてきたいわゆるクラシックな装置を選択します。
上の歯並びに固定して前歯を前方に移動する装置で、慣れるまで数日はかかりますが、後は1か月間隔の調整で、数か月で治癒します。
さらに年齢が上がり、反対咬合に前歯のデコボコ等も伴う場合、ブラケットを付けるワイヤ矯正が選択肢になります。



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やっと矯正治療スタートできる患者さん

2024-05-28 | 歯並び、矯正の話

当院の来院歴は長く歯列咬合に問題はあり、主訴もある患者さんでしたが、諸々の理由できちんと対処できていませんでした。
今春、大学生になり、やっと定期的に来院できる環境になりました。







前歯が噛み合っておらず、かつお口も閉じにくい噛み合わせです。
上下前歯の凸凹もあって、審美的にも気になるところです。
歯科医としても、矯正治療が望ましい例です。
上の両側第1小臼歯抜歯が必要ですが、この患者さんは基礎疾患があって、内科主治医とやりとりして局所麻酔使用での抜歯OKとの返信をもらいました。
ある程度以上ハイリスクであれば大学病院への紹介もありますが、当院でモニター下の処置でO Kと判断しました。
アシストについたスタッフが、処置前後の血圧、脈拍、末梢血酸素濃度などを経時的に測定してくれ、数値的に安定したのを確認し、無事終了しました。
チームワークの有り難さを改めて実感する場面でした。



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噛み合わせの改善は優先で

2024-05-26 | 歯並び、矯正の話

反対咬合や上顎前突の噛み合わせの不具合がある場合、比較的早期の改善が優先されます。
歯並び改善は後ほど並べるのは簡単で、場合によっては永久歯抜歯が必要なので早期アプローチが無駄になります。
噛み合わせがほぼ良好であれば、歯並び改善がシンプルになるという関係があります。







乳歯列の安定期と永久歯前歯の生え始め時期にプレオルソ(マウスピースタイプ)使用を試みましたが、使用状況不良で治癒しませんでした。
噛み合わせが深いので、下顎前方誘導要素が大きく、一旦治癒すれば下顎後退して安定するタイプです。
プレオルソは乳歯列と永久歯生え始めでしたら同タイプ使用が可能で、患者さんにとってはエコノミーですが、残念でした。
次の一手として、リンガルアーチという裏側からの固定式ワイヤー装置で、上の前歯を前方移動予定です。
反対咬合の早期治療では以前から使われてきた装置で、入れて毎月調整すれば数か月で治癒しますので、治療予測性が高い装置と言えます。





こちらはセカンドオピニオンで上の前歯の出っ張りが気になるとのこと。
治療の要否や、必要な場合のスタート時期や装置についての相談です。
出っ歯ているためお口ポカン傾向があり、上下前歯間に下唇が入ってしまう咬唇癖を伴っています。
また噛み合わせが深く、下顎が後方誘導されている噛み合わせです。
このままだと悪化が予測されることを説明し、平均的な患者さんよりやや早めにプレオルソ(タイプ1)の使用を提案しました。
噛み合わせを上げながら突出を改善し、さらに咬唇癖のストップを図りますので、1年〜1年半の使用期間になるでしょう。
いずれも使用後に成長期がやって来て、反対咬合系、上顎前突系がどの程度になるか経過観察は必要です。
早期治療で、完璧でなくとも許容範囲になることもあるので、この時期のアプローチは重要と考えています。


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ワイヤー矯正の痛みが軽減したワケ

2024-05-15 | 歯並び、矯正の話

ワイヤー矯正治療は、一つ上の世代の患者さんだと、「痛い、時間がかかる、高価」というイメージが普通だと思います。
大学勤務時代は、スタンダードエッジワイズ法という、今振り返るとクラシックな方法で治療していました。
21世紀になると、ストレートワイヤー法のためのブラケット、そして形状記憶のニッケルチタンワイヤーが主流になりました。
さらに、よりワイヤーの滑りが良好なブラケット使用のシステムが開発されて来ました(フルパッシブ矯正)。


上は私の20世紀の症例で、抜歯矯正例です。
抜歯後のスペースを閉じるため、まず下の歯並びにクロージングループを組み込んで、奥歯を土台として、前歯をブロックで移動します。
上はこの後、側切歯~犬歯間に同様なループを曲げてスペース閉鎖を行っています。
このような処置は、特に前歯部分は痛みを伴うのと、1回調整での移動量はあまり多くはありませんが、時代的にはスタンダードです。

 

こちらは現在の抜歯矯正例。
前歯をブロックで移動するというより、やや細めのワイヤー(ニッケルチタン)が後方にスライドしながらスペースを閉じていきます。
加える力も、以前の半分ちょっとでOKと言われていますが、1回の移動量は大きいんです。
矯正費用はさておいて、治療期間が短く痛みも軽減しているのは、現代の矯正理論&材料を取り入れているからです。



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私の21世紀矯正治療の原点

2024-05-06 | 歯並び、矯正の話

大学小児歯科勤務時代は咬合誘導という範疇で、小児矯正を行っていました。
小児に限らず、少なくとも永久歯列での全体矯正もやりたいというのは必然で、先輩の開業医の先生方のところで勉強をしました。
いわゆる基本というかクラシックなワイヤー矯正法は取得したのが、開業前までです。



クラシックなブラケットだと、アーチワイヤーを曲げたり捩ったりする技術が非常に重要で、それを習得することに時間を費やしました。
もちろん、技術の前に診断が重要なのは言うまでもありません。
ワイヤー曲げがシンプルになるストレートワイヤー法のブラケットが普及し始め、さらにニッケルチタンに代表される形状記憶ワイヤーも普通になりました。
現在ではこれらが主流になっています。
その頃に出会ったのが、この2冊。ジェットシステムは第2版ですが、初版はいずれも21世紀初頭の出版です。
簡単に言えば、上記のブラケットやワイヤーを有効に生かせるシステムということになります。
弱い力で、痛みは少なく、早く移動できるという利点ばかりです。クラシック法とは、かなり歯を並べ移動する理論が異なります。
それまでクラシックな基本を学んで実行してきたからこそ、利点を実際に感じた次第です。
また、上記システムで不充分な部分は、クラッシック技術で補うようにしています。
現在はブラケット、ワイヤーともさらに高価な発展型が登場してきています。
当院で、ある程度エコノミー矯正が出来ているのは、エコノミーでもこの理論が最大限に発揮できる製品を選んでいるからと自認しています。



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口腔機能に影響ある噛み合わせ

2024-04-28 | 歯並び、矯正の話

小児口腔機能発達不全が最近の歯科界の話題の一つで、最近何かと登場していますね。
機能と形態が関連している要素は分かりやすく、歯科医としても取り組みやすいところです。
以下は最近、初期矯正治療スタートの2例です。





永久歯前歯が噛み合っていない開咬です。
反対咬合系の要素も伴っているのが通例ですが、この患者さんは乳歯列では有意の問題はありませんでした。
永久歯前歯の生え変わりや噛み合わせの経過を観て、なかなか噛み合ってこないので、何か積極的歯科的アプローチが必要と判断しました。
もちろん前歯でモノを噛めず、滑舌も不良、舌が前方突出するという悪循環です。
舌圧を強くしたり、舌を挙上する訓練も必要とは思いますが、形態の改善でより訓練が効果的に行えると予測しています。





こちらは逆パターンで、噛み合わせが深く、上の前歯が突出して口呼吸やお口ポカンの状況です。
口を開いたまま食べるという、食べこぼしやくちゃくちゃ食べの問題も伴います。
こちらも、初期矯正で形態改善します。
いずれもプレオルソ(両例で使用タイプは異なります)で、舌や口腔周囲筋のバランスを変えつつ歯の移動も行えます。
年齢が上がると、各人のこのようなアンバランスを改善する余地が無くなります。
元来持っている個人差はあって、変えられない部分もありますが、永久歯列になる前くらいのアプローチで将来に繋がる改善を期待したいところです。
形態改善とトレーニングを含めて、少なくとも1年半ほどは予定しています。



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長期間かかった抜歯矯正例

2024-04-23 | 歯並び、矯正の話

最近大学生になって矯正治療終了となりましたが、ほぼ高校3年間の矯正治療で、当院では例外的に長期間かかりました。



当院で予防など含め長期管理をしている患者さんでしたが、矯正治療のご希望が遅く高校生になってからでした。





上の歯並びが結構デコボコで上顎の方が小さい患者さんなので、全体矯正は高校生になってからが良いのでしょうが、上前歯部分は早期治療が望ましかったと言えます。
骨格要素は下顎前突系ですが、奥歯の噛み合わせ要素は上顎前突系の不一致の状況で、上の両側第1小臼歯の抜歯矯正です。
途中学校の都合で毎月来院できない時期もあって、結局終了まで長期間です。







通常この年齢では、矯正治療後の親知らず抜歯が必要になることも多々あります。
幸いこの患者さんは親知らずが無いので、患者さんにも歯科医師にとってもメンテナンスが楽になります。


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流行り(?)は、口腔機能発達不全症とアライナー矯正

2024-04-22 | 歯並び、矯正の話

特別支援学校の校医を任されていますので、自動的に学校歯科医会の会員になっています。
会誌が定期的に送付されてきますが、最新号には、口腔機能発達不全症のパンフが同封されていました。
学校歯科医としても、特に小学生では、この分野の知識も必要になってきたということですね。



虫歯や歯肉炎のチェックから、歯列咬合や顎関節、そして口腔機能と、よりコンプリヘンシブに観る目が必要になってきます。
小児歯科&矯正歯科がメインの当院では、矯正治療とからめてMFT(筋機能療法)は長年やってきています。
筋トレと一緒で、毎日かつ持続性が重要なので、実効性と客観的評価を考えると難しい分野です。
口腔機能発達不全症は、健康保険で指導が認められるようになったのをきっかけで、現在はある種の流行りではないかと感じます。
今さら新鮮味はないのですが、最近、より乳幼児からのアプローチ例も出て来ています。
低年齢はまだエビデンスが少ない状況なので、今後より確立していくことを期待していますが、いずれ流行りが終わって消滅するかも知れません。
もう一つは、アライナー矯正が業界内外で流行と感じます。
現在の発展速度を考えると、将来より大きい分野になりそうです。
床矯正もそうですが、歯型データがあればラボで製作してくれますので、誰でも一応取り入れることができます。
歯列咬合は治療前の診断が重要で、これは専門性が求められます。
一見同じ装置でも、歯科医側の力量が求められるわけで、やはり専門医またはそれに準じる歯科医に任せるのが良いと考えます。



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抜歯矯正の抜歯部位診断の根拠

2024-04-16 | 歯並び、矯正の話

当院での中高生の全体矯正治療では、抜歯が必要になる例が多く、矯正専門医でも同じです。



この患者さんは、大学進学したばかりで、上の前歯の出っ歯感が大きい状況です。



斜め横からだと程々出っ張っていますが、歯型で横から観察すると出っ張り度は重症です。
同じ出っ張っている状況でも、奥歯の前後的噛み合わせ状態は様々です。
①いわゆる出っ歯系の噛み合わせで、上下顎の前後的問題がある場合
②前後的噛み合わせはOKだが、歯のサイズが大きいまたは歯並び幅が小さく、前歯が外側傾斜して並んでいる場合
③反対咬合系の前後的噛み合わせで、下顎が前方だが、上の前歯が前傾して逆に噛んでいない場合
もちろん上記が軽度の場合は抜歯なしの計画で行けますが、それぞれ抜歯部位と本数が異なります。





上下とも歯並び幅が小さいタイプですが、特に下の歯並びは側方に拡大できません。
この患者さんは中程度の出っ歯系噛み合わせで、上記の①②のミックスです。
上の左右第1小臼歯抜歯で、そのスペースで上の奥歯部分は若干前方移動させ、多くは前歯を引っ込めるのに使います。
前後的噛み合わせと、上下顎の大きさはほぼシンクロしますので、この患者さんは下顎が相対的に小さい状況です。
なので下の歯並びは抜歯しませんが、綺麗に並ぶと、下前歯は若干外側傾斜して上の前歯と噛むことになります。



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