福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

保隙装置の役割

2024-09-30 | 歯並び、矯正の話

小児歯科では、乳歯が虫歯や外傷で早くなくなった場合には、永久歯が出て来るまでそのスペースを保つ装置を入れます。
保隙装置と呼ばれていて、装着後永久歯が出て来るまでのメンテナンスも重要です。
装置的には欠損部位や数で、乳歯義歯、バンドループまたはクラウンループ、リンガルアーチまたはナンスホールディングアーチがあります。
歯並びが元来より悪化しないように補う装置で、歯並び改善するわけではありません。




この患者さんは犬歯や小臼歯が生え変わる時期がスタートしていますが、向かって左上第2乳臼歯が原因不明で早期に抜けています。
後に出る第2小臼歯は歯の形成から見ても、暫くは出て来ません。
ただし手前臼歯は近未来に生え変わりそうです。また、歯のサイズが大きく上の歯並びはいわゆる八重歯が予測されます。
ただし、下の歯並びは切歯が2本先天欠如で、ちょうど良い歯並びになりそうです。





不慣れなスタッフ撮影のため、位置や角度不良でご容赦下さい。



時期的に、上の歯並びにナンスホールディングアーチを入れて、第1大臼歯が前に移動しないようにします。
この患者さんは上の歯並びは必ずデコボコになり、多分上両側第1小臼歯抜歯の矯正治療が望ましくなります。
保隙しなくてもデコボコにはなりますが、矯正治療の時点で、左右の奥歯かみ合わせが対称的であることは重要です。
もちろんスペースは保ちますが、奥歯の噛み合わせの悪化も阻止する役割があります。


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先天欠如歯がある患者さんの歯列咬合

2024-09-26 | 歯並び、矯正の話

先天的に何らかの歯が欠如しているのは10人に1人程度で、珍しくはありません。
小児歯科矯正歯科分野では早めに発見しますので、将来的にどのような永久歯列が望ましいかを考えてフォローします。
単に歯並びのみではなく、噛み合わせも考慮するのはマストですが、成長発育による噛み合わせの変化もあり得るので、多要素ではあります。



この患者さんはほぼ永久歯に生え変わりつつありますが、噛み合わせがやや深めで出っ歯系です。



パノラマX線写真では、上両側犬歯が先天欠如です。
犬歯欠如例は珍しいと言えます。




向かって左上の乳犬歯は、永久歯がないにも関わらず、自然脱落しました。
そして、抜けたスペースが閉鎖傾向にあります。
将来的には出っ歯系が改善し、さらに第1小臼歯より後ろを前方移動して上下良好に噛むように計画しています。
近未来的に、向かって右上の乳犬歯を抜歯してスペース閉鎖を図りたいと思います。
第1ステージとしてプレオルソで出っ歯系を改善することで、前方から犬歯スペースが小さくなるでしょう。
まもなく第2大臼歯が出て来るので、後方から奥歯を前方に押す力が働きます。
その後第2ステージで、ワイヤー矯正でスペースをしっかり閉鎖すると、欠損歯があっても良好な歯並びかみ合わせが期待できます。

永久歯完成前に、できることがあれば適時に介入することで、ベターな結果が得られます。
ただし、早めほど予測性が低くなるので、タイムリーな介入は難しいところでもあります。

 

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噛み合わせの改善は優先で

2024-08-25 | 歯並び、矯正の話

噛み合わせは、それぞれの患者さんが持っている上下顎の骨格的バランスなどもあって、簡単にはコントロールできません。
しかしながら放置していると悪化して、後で全体矯正になる場合に厄介になることがあります。
なので小学校中頃までにアプローチして、永久歯との交換や骨格の発育を観察後、全体矯正の要否を検討するのが適切と考えています。



横の歯が交換時期ですが、上の歯並びはデコボコが予測されます。
この時期まで上下前歯が噛んでいないのは、出てくる途中だからという訳ではありません。
舌が突出しやすいという良くないバランスはありますが、指導や訓練で改善するのは稀です。
ワイヤー矯正を行う時期でもないので、小児用マウスピース装置(プレオルソ)で就寝時の舌突出を防止しつつ、上下前歯の傾斜を改善して効果を期待します。



こちらは永久歯の前歯が生え揃った患者さんです。
向かって左側の乳犬歯〜第1乳臼歯付近の噛み合わせ不良で、そのため下顎が同方向にずれて噛んでしまいます。
上の歯並びが若干小さめで、ずれは現時点では大きくはありませんが、このままだと悪化が予測されます。
一般的にズレた側で咀嚼する偏咀嚼が起こりやすいのが、悪化の原因です。
将来的に全体矯正が必要かどうかはまだ充分に予測されませんが、この患者さんも舌突出で、上下前歯とも前傾している印象があります。
こちらは裏側からの固定式ワイヤー装置で、上の歯並びを側方に拡大でズレは治癒すると思われます。
いずれも反対咬合系のバックグラウンドがあるパターンなので、第2期治療の必要性はさておいて、中学後半までの成長発育観察は必要と考えています。



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年齢による矯正アプローチの違い

2024-08-16 | 歯並び、矯正の話

上の前歯の出っ張りが気になるという2例で、矯正治療ご希望です。
まずは、奥歯部分が生え変わり時期の小学生の患者さん。






噛み合わせが深く上の前歯間に若干スペースがある典型例です。
間もなく上の犬歯が生えてきて、左右からスペースが閉じる時期です。
このタイミングでプレオルソ(小児用マウスピース矯正装置)スタートで、噛み合わせを浅くでき、上の前歯が内側移動します。
自然力+矯正力で良い結果が期待できます。
シンプルではありますが、外せる装置なので、患者さん本人の程々のモチベーションが必要です。



こちらは中学中ほどの患者さん。
やはり上の前歯の出っ張りとバラケが気になるとのこと。



上が前傾しているので、あまり噛み合わせは深く見えませんが、下から撮影すると、下の前歯は上の口蓋付近と噛み合っています。
現在患者さんの主訴はもちろんありますが、プレオルソが効果的な年齢は終わっており、かつ抜歯矯正になります。
最初の例が第1期矯正治療(第2期が必要な可能性は小さい)、2例目は全体的第2期矯正治療(第1期なし)です。
初診年齢や主訴の有無にもよりますが、出っ歯系の場合、永久歯前歯が出揃う時期までに受診いただければ、その後の適切な矯正治療計画が立案できます。



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骨格と噛み合わせ#2

2024-07-26 | 歯並び、矯正の話

前回ブログと違って、今度は出っ歯系の骨格と噛み合わせ例です。
当院初診は随分前ですが、定期的来院が出来ない環境で現在に至り、大学生になって矯正治療スタートとなりました。





上の前歯が出っ張っているのが主訴ですが、奥歯部分もデコボコがあります。



骨格的に上の歯並びが前方で、かつ上奥歯も前方移動して、しっかり噛み合わせがズレてます。



上の左右小臼歯1本ずつ抜歯の矯正治療になります。
下の歯並びもデコボコですが、抜かずに前の歯並びを前傾しないと、上の前歯と良好に噛みあいません。
このように、骨格の個人差が噛み合わせに反映されますので、その要素を考慮するのが基本でマストです。
全体的矯正の時期は顎を大きくしたり小さくしたりできないので、アンバランスがある場合、抜歯や歯の移動である種つじつまを合せているとも言えます。



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骨格と噛み合わせ

2024-07-26 | 歯並び、矯正の話

矯正治療で言う骨格とは、上下顎の大きさや、上下のバランスのことを意味しています。
いつも言っていますが、歯並び改善は簡単なので、噛み合わせ不良の場合はその処置が優先されます。
いわゆる機能的ズレがある場合、その改善を先に行います。
ただし、その人が持っている成長期の顎発育は矯正治療の及ぶところではありません。
なので、全体的治療は成長期の顎発育が落ち着いてからが望ましく、特に反対咬合系はそうです。



高校生になった女子の患者さんで、反対咬合系で開咬です。
反対咬合ではかみ合わせが浅いことが多く、さらに悪化すれば開咬になります。
上の前歯部がデコボコが強く、早期治療の希望がありましたので、数年前に上のみ部分矯正を行って若干後戻りしています。
下顎成長がほぼ終わったと判断し、全体矯正をスタートです。
この段階で、噛み合わせのズレや開咬が重症な場合、抜歯矯正になります。





何とか抜歯なしの矯正可能と判断されます。
通常であれば何もせずにこの時期まで経過観察しますが、この患者さんでは、上だけの矯正は、結果オーライ的に多少は役立ったと思います。



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歯並び治療のタイミング

2024-07-18 | 歯並び、矯正の話

小学校高学年の患者さんで、永久歯列に生え変わった段階です。



向かって左上の犬歯の位置不良で、出て来るのが遅れました。
上の犬歯位置不良例は少なくありませんが、若干遅れで出てきたのは軽症です。



遅れたゆえに、きちんと並ぶスペースが不足しています。
一方で前歯間にスペースがあって、上下真ん中が不一致の状況です。
間もなく後の奥歯、第2大臼歯が出て来る時期なので、放置しておくとさらに犬歯スペースが不足して来ます。
このような例では、犬歯が出ていて第2大臼歯が出る前が、歯並び治療のタイミングです。
上下の噛み合わせ良好で、下の歯並びOKなので、上だけの治療で大丈夫です。



ブラケット装着で7か月後に終了です。前歯スペースは閉じ、上下真ん中は一致して来ました。



上だけの治療の場合、歯並びだけの治療は簡単ですが、治療していない下との嚙み合わせをできるだけ良好にして終えることが重要です。
そのために、付加的治療期間が必要なのが通常です。
リテーナー装着でフォローとなりますが、現在は第2大臼歯が出始めているところです。
微妙な治療タイミングということになりますね。



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成長期による噛み合わせの変化

2024-07-17 | 歯並び、矯正の話

高校生になった女子の患者さんで、全体的矯正スタートです。
当院での管理歴は長く、以前から矯正相談はありましたが、数年前までは上下歯並びそれぞれ、そして上下噛み合わせはほぼOKでした。
ただし、成長期で下顎成長がみられれば矯正治療が望ましくなるかも、と予測してあえて経過を観ました。



現在も上下歯並びはほぼ問題なしですが、奥歯しかしっかり噛み合っておらず、開咬状態です。



ここ2年ほどの下顎の前方下方の成長によって、噛み合わせが悪化していると思われます。
反対咬合にはなっていませんが、上の前歯が前傾してさらに噛み合わず、結果上下前歯が出っ張った嚙み合わせになっています。
矯正治療後の後戻りや口唇とのバランスを含めて将来を考えると、抜歯矯正が望ましい例になります。
このような患者さんだと、デコボコ度だけ見ると抜歯矯正にはなりません。
矯正治療では、思春期の顎成長のコントロールはできませんので、早めに非抜歯で始めて、その後開咬の要素が出て来て結局抜歯というのでは問題です。
下顎成長の経過観察が適切と、再認識した1例です。



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アライナー矯正を小児期にどう取り入れるか?

2024-07-10 | 歯並び、矯正の話

透明なマウスピースを装着する、いわゆるアライナー矯正は、最初は永久歯列のみの適応でしたが、最近は小児の第1期矯正治療に適するタイプも出て来ています。
今日は、元祖とも言えるインビザラインファーストのWEBセミナーを診療合間で視聴しています。
夏休みモードで忙しくなるちょっと前で、今がタイミングですね。



このセミナーは小児歯科医が講師です。
私自身も歯列咬合は大学小児歯科時代の咬合誘導からスタートしています。
現在、普通に本格矯正も行っている状況で自分自身も振り返ってみると、小児歯科と矯正歯科は、同じ歯並びかみ合わせでも捉え方が異なる部分が割とあります。
小児歯科は、現状をみて、歯並びの予防矯正を早めに勧めがちと思います。
矯正歯科的立場だと、噛み合わせ改善がファーストで、歯並びは後でどうにでもなるという考え方がメジャーと思います。
早期のアライナー矯正は床矯正と同様な目的で使用されると思いますが、どちらも歯科医の技術力はあまり必要ないということです。
患者さんがその矯正法が適するか治癒可能か、そして永久歯列まで通して責任を負えるかという、歯科医側の診断力がポイントでしょう。
どちらもラボでの製作費用が高いので、歯科医サイドは、矯正料金をエコノミーにできないという部分もありますね。
永久歯前歯生え始めは、デコボコやハの字に開いているのが普通で、次第に改善することは分かっています。
アライナーで歯並び改善することは分かっていますが、ラボ料金も含め、果たして早期治療に適用すべきか?と迷うところではあります。



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リテーナーをサボるとこうなる

2024-06-28 | 歯並び、矯正の話

矯正治療直後は、綺麗な歯並びかみ合わせになるのは、当たり前です。
その状況をできるだけキープするために、治療後に使用マストなのがリテーナーです。
一般的には上は取り外せる透明マウスピースタイプ、下は左右犬歯間を裏側から固定して取り外せないタイプです。



この患者さんは、向かって右上の犬歯が出て来ず、結局抜歯を受けたようです。
その結果、上の前歯間に隙間が残り、上のみの矯正治療を行いました。
抜歯を行った歯科医師が、その後の矯正治療まで誘導するのが普通ですが、この患者さんは謎でした。
治療でスペースは閉じ、できるだけ上下真ん中が一致するように仕上げました。
ところが、治療後のメンテナンス来院が良くなかったので、リテーナーはある程度は装着していましたが、その後不使用だったようです。
久ぶりの来院で、治療前と比べるとまだ良いんですが、前歯間の隙間で審美的問題が再発しています。
今までの来院歴から、前歯の隙間はコンポジットレジン使用の形態修正でも可と説明しました。



因みに、前から見ると普通に揃っているように見えますが、下からの写真では、側切歯の隣は第1小臼歯です。
第1小臼歯を前方移動できれば、審美的には問題なくなります。
再矯正治療をご希望で、上の歯並び部分矯正で対応します。
治療はできますが、後戻りのリピータになりがちなので、少なくとも治療後のカウンセリング、メンテナンスの重要性は繰り返し伝える必要があります。


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