福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

コンポジットレジンの最新トレンド

2023-08-29 | 虫歯治療の話

コンポジットレジンは、主として虫歯治療で使用する白い修復材です。
近年、益々金属修復から白い材料に移行しつつありますが、そのメインがコンポジットレジンで、材料や歯との接着の向上で多用されるようになりました。
歯を削る量も減少し、1回治療で終了でき、麻酔不要例も増えました。



歯科材料メーカーのユーザー会に入会していると、新製品の送付や、関連する臨床セミナーを受講できます。
写真は新発売のコンポジットレジンですが、他社メーカーも競って同様の製品が発売されます。
最近の流れは、歯の色に合わせて色んなシェードを購入する必要がなく、1製品で広い範囲のシェードをカバーする製品です。
部位によっては、思ったほどの結果は得られないので、やはり過信せず、症例を選ぶべきという感想です。
小児歯科分野では、永久歯前歯の外傷破折例などで工夫して使用すれば、シンプルな手順でかつ審美的な結果が期待できます。



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コンポジットレジンの新製品

2023-05-11 | 虫歯治療の話

コンポジットレジンとは歯の詰め物の材料です。
歯の色に近く、以前は前歯の虫歯修復のみが対象でしたが、最近は適応範囲が拡大して、銀歯の割合が随分減少しました。
歯型を採ったり仮歯をつくるというステップがなく、1回の処置で終わって審美的なので、患者さんにとっても良いですね。
小児歯科の虫歯治療では、ほとんどがコンポジットレジン使用で、一部の大きい虫歯での銀歯を除き、銀歯の小児はほぼ見なくなりました。
ベースには、虫歯とその重症度が減少した影響も大きいですね。





最近届いた、コンポジットレジンシステムのメイドインジャパンの新製品です。
レジンが多用されるのは、まずは歯(エナメル質と象牙質)との接着、材料自体の耐久性、そして歯の色との調和などが改善された結果です。
その結果、使える部位、虫歯の大きさの適応範囲が拡大してきて、現在に至っています。
最近は、虫歯で削る範囲も最小限でOKになってきて、小さく削って小さく詰めるという方針です。
その方針に適合するのが、流動性の高いフロアブルレジンで、現在ではこのタイプがむしろ主流になりました。
レジンはもちろん審美性が重要なので、様々な色調(シェード)の製品があります。
ところが、最近のトレンドでは一つの製品で周囲の歯の色に馴染むという製品が登場で、これもその流れの製品。
永久歯の前歯など、複数のシェードを部位によって使い分けるのも普通なので、治療ステップがシンプルになることが期待できます。
当院では、乳歯と永久歯でコンポジットレジンのメーカーが異なりますが、接着システムは単一です。
レジン材の色調や透明度のメーカーによる違いが理由なので、この問題もカバーしてくれれば、材料の種類も減ってウエルカムということになります。
ア・ウーノという製品名も、WEBでの製品紹介画像も微妙にダサいんですが、一つのシェードでOKということで英語+スペイン語らしいです。


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痛くない虫歯治療

2022-11-01 | 虫歯治療の話

痛くない虫歯治療と言えば、歯科麻酔が痛くないとか、麻酔しなくて歯を削っても痛くないという、両方の意味があるかと思います。
両方の意味で、以前より改善されています。
麻酔は、表面麻酔を使用して、使用する針が最近は極細の製品(35G)を使用することで、痛みゼロまではありませんが随分軽減されています。
麻酔無しで痛くないケースが増えてきているのは、歯科材料の進歩による治療法の変化が大きいと思います。
以前は通常サイズの奥歯虫歯でしたら、インレーという金属修復が一般的でした。
削って歯型をとり、鋳造したインレーを歯科用セメントで合着します。
外れないような維持形態というものが必要で、そのためには虫歯でない歯質も削る必要があるのが普通です。



これは乳歯奥歯間の虫歯治療で、20世紀の形成法です。
コンポジットレジン修復では現在はこれまで削りませんが、この時期はインレー形成がベースなので虫歯のないかみ合わせ溝部分も削っています。
実は、虫歯部分よりも健全な歯質を削るときが、痛みが発生しやすいんです。
現代のコンポジットレジンシステムは材料が丈夫で、歯との接着も向上したため、歯間の虫歯部分+αくらいの切削でOKです。
できるだけ歯の切削を減らすというミニマル・インターベンションの概念が、21世紀は実行できるようになったわけです。



これは現在当院で使用している、切削バーのセットです。
神経を取る場合、乳歯冠適応の場合など、切削が多くなる場合は別のセットを用意していますが、通常の虫歯治療は、削る部分が小さいタイプがほとんどです。
小児の場合は長さが短い、ショートシャンク使用もあります。
一般的虫歯は球状に広がるので、バーもラウンド形態が適してます。
同じバーでも急激に削ると痛いので、5倍速というハンドピースで力を加減しながら削ります。
また、虫歯部分は柔らかいので、元来は修復物研磨用のバーも使用して、できるだけ虫歯部分のみ除けるよう工夫します。
このように材料の進歩で削り方が変わり、さらに若干の工夫を加えることで、麻酔無しで終われる例が増えています。



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乳歯の虫歯治療#3 保隙装置

2022-09-06 | 虫歯治療の話

ある種の乳歯治療ですが、虫歯が重症で根の炎症が永久歯まで及ぶくらいですと、抜歯の適応になります。
あとに永久歯が控えていて、間もなく出て来る年齢であれば、ある種リセットがかかって、結果オーライです。
永久歯が出るまで時間がかかる部位の場合、抜歯部位のスペースを保つ装置(保隙装置)を入れて、出るまで待つということになります。



これは1本のみの場合の保隙装置で、クラウンループと呼ばれています。
銀歯部分の虫歯がないか小さい場合は、クラウンにせず、矯正用バンドを適合するバンドループになります。
複数歯や前歯の欠損の場合は、小児用の入れ歯をつくって、永久歯が出て来るまで管理することになります。
また全体的に歯並びの大きさを保つ、リンガルアーチと言う装置もあり、欠損部位や年齢によって使い分けます。


抜いたままで年限が経つと、特に奥歯は前方移動しやすく、歯並びかみ合わせに影響が出ます。
後程矯正治療が必要な例でも、奥歯(特に第1大臼歯)の噛み合わせがズレるとやっかいになりますので、保隙は重要です。
その前に、抜歯適応になるような虫歯をつくらないように、日常家庭での予防ケアが重要なのはもちろんですね。

次は番外編で、小児の虫歯治療の基本のき、です。


治療や予防で機械を使うときなど、前もって説明して、見せて、実際行って、上手に出来たら褒める、というトレーニング法です。
TELL SHOW DO 法と呼ばれ、不安な小児への効果が大きく、小児歯科のコミュニケーションの基本です。
歯科麻酔注射なども、前もって見せて説明し、行う場合も鏡で見せた方がベターな小児は多いですね。




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乳歯の虫歯治療#2

2022-09-05 | 虫歯治療の話

乳歯の虫歯治療について、引き続き自作のスライドシリーズから紹介します。
乳歯の虫歯が大きい場合は、神経まで至れば、永久歯同様に根の治療になります。
後に永久歯があるので、生え変わりに支障がないような材料を根に詰めます。





いわゆるC3では、もともと虫歯の欠損も大きいですが、神経を取る処置ではさらに歯を削らないと神経によくアクセスできません。
そのため、残った歯質は薄く脆くなります。



奥歯では既成の銀歯(ステンレス製)で、色んなサイズから選んで、さらに形態やサイズを調整して修復します。
直接法なので、歯型を採る必要はありません。



前歯ですと、コンポジットレジンで虫歯の歯を覆うようなレジンジャケット冠が原則です。
こちらも直接法で、既製のプラスチック状のキャップのサイズ形態を調整後、コンポジットレジンを入れて作製します。
既製乳歯冠もレジンジャケット冠も、小児歯科特有の治療法です。
乳歯冠は審美的に好まれない時代になり、かつコンポジットレジンの物性の進歩もあって、レジンの頻度が増えています。




さらに虫歯が進むと、乳歯の根の先や周囲の炎症が発生し、痛みや歯茎の腫れも出て来ます。
初期であれば根の治療も可能ですが、後の永久歯まで及ぶような炎症があれば、残念ながら乳歯抜歯の適応になります。



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乳歯の虫歯治療#1

2022-08-31 | 虫歯治療の話

乳歯はいずれ永久歯に生え変わりますが、生え変わりまでの食生活が正常にできるように、また永久歯の歯並びかみ合わせが乱れないように乳歯虫歯治療は必要です。



スライドではC1となっていますが、前歯の生え変わりが近い時期や低年齢で治療に非協力な場合、予防指導をして経過を観ることもあります。
C2(象牙質まで至る虫歯)の場合、治療が望ましくなります。
虫歯部分を最小限に除いて、歯の色のコンポジットレジンで修復します。



こちらは乳歯奥歯間の虫歯治療です。もっとも予防が難しい部位ですね。
C2になると切削で痛みを伴うことが多いので、局所麻酔が必要になることも多くなります。
上のスライドは削り方がクラシックで範囲が広いのですが、現在は虫歯部分+α のみの削合でOKです。
これもコンポジットレジン修復です。
前歯奥歯とも型を採るとかのステップがないので、1回で終わります。




小児歯科では、上の写真のようにラバーダムをすることで安全で確実な治療ができるので、使用頻度は高いです。
治療時の、機械からの水やエアーも遮断されるので、刺激の軽減効果もあります。
加えて鏡で治療を見せることで、小児の安心感が増すことも多いですね。
ラバーダムシートはいくつか色があって、真ん中の奥歯の写真ではグリーン、下の写真ではベージュです。



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コンポジットレジンの進化

2022-07-08 | 虫歯治療の話

昨日は夕方2時間ほど、WEBセミナーを受講しました。



コンポジットレジン修復の分野ではメジャーな大谷先生登場です。
上の写真に示されている、コンポジットレジンイヤーブックは私も参考にしていますが、これらの分担執筆者でもあります。



コンポジットレジンとは歯の色の詰め物の材料で、専用の接着材を使用して直接修復します。
歯の型を採ったり、技工に出す必要が無いので、即日終了します。
もちろん本数が多い場合は、来院が数回になることもあります。
材料自体の耐久性の向上もありますが、接着剤の進化で、コンポジットレジンシステムの適用範囲は広がっています。
小児歯科分野では比較的早期から、前歯奥歯に関わらずコンポジットレジンを適用してきたという歴史があります。
私も大学勤務時代はこの分野の研究を行っていました。
特に永久歯では、いっぱい削って銀歯とかセラミックという過去のスタンダードがありました。
しかしながら、コンポジットレジンでは虫歯部分プラスアルファくらいの歯の切削でOKなので、削るボリュームは格段に減少しました。
その分、麻酔使用の頻度も減少しています。



最新の日本歯科医師会雑誌にもコンポジットレジンの記事がありましたが、タイトルのMIとはミニマル・インターベンション、つまり最小限の介入の略です。
MIは国際的には、21世紀初頭にFDI(国際歯科連盟)が推奨をスタートしましたので、歴史的には20年ほどです。
私自身、乳歯治療ではほぼコンポジットレジンですが、やはり削る量や麻酔の頻度は減っています。
永久歯では、外傷で折れた前歯、歯の形態や歯数欠如で前歯間にスペースがある場合などの応用もあって、より色調や形態を考慮した修復が必要となります。
成人対象のセミナーや記事は、このような永久歯修復ではより参考になります。



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歯科麻酔前の表面麻酔

2022-05-10 | 虫歯治療の話

歯科で、神経が生きている歯で大きい虫歯を削る場合、抜歯や切開などの口腔外科的処置などでは局所麻酔を使用します。
最近では注射針が細くなったのと、基本的に局所麻酔のジェルを塗布して数分後に注射麻酔をするため、随分痛みが軽減しています。



日本でも数種類の表面麻酔剤が販売されています。
上はいろんなフレーバーがあって、小児向きかもしれません。




麻酔効果の主成分は同じですが、実は上の製品は濃度が下の半分。
上の製品は、臨床的に局所麻酔効果が低いと言われますが、なるほどそうだったか。
どの製品を使うかは、フレーバーやジェルの粘度など歯科医の好みにはよりますが、やはり効果がある方が良いのでは。



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歯科麻酔が痛くない工夫

2022-01-31 | 虫歯治療の話

虫歯が大きい時や、抜歯や切開など口腔外科的治療には歯科麻酔が必要で、大人子どもに関わらずいやなモノだと思います。
小児の歯科でのマネジメントでTSD(tell-show-do)という技法があって、見せて説明してから行うことで、むしろ恐怖や不安を軽減できます。
当院でも麻酔も含め見たいときには見ていいよと声掛けして、鏡を見ながら麻酔を上手に出来る患者さんも多くいます。
針で、かつ痛いというのがイヤの原因ですが、痛みを軽減するような工夫は行っています。
刺入や麻酔液注入をゆっくり行うのは基本です。
加えて、テクニックに関わらず、事前に表面麻酔を塗布する、使用する注射針を細いものにすることで痛みは軽減します。





ゼリー状の表面麻酔を塗って2分ほど待ち、細い注射針を使用することで、患者さんの反応かあら、あまり痛みは与えないことが多いようです。
現在歯科用で最も細い35Gの注射針、長さも短く針のブレがないのも痛み軽減に繋がります。
製品技術の進歩で、こんなに細い針が製造されるようになったわけです。
以前は一番細くとも30Gでしたから、それから33G、現在は35Gも登場です。



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歯科治療時の笑気の適応

2022-01-18 | 虫歯治療の話

歯科治療に伴う、麻酔注射や切削器具の感覚がどうしても怖いという人はいると思います。
小児では怖がるのはむしろ普通ですが、治療のステップを説明したり見てもらうことで、むしろ上手に出来るようになります。
ところがある程度成長して、分かっているけどどうしても怖い場合、なかなか払拭できません。
さらに進めば、歯科恐怖症とも言える状況になる人もいます。むしろ成人ですね。
このような場合、手助けになるのが治療時の笑気使用です。
酸素と混合して、通常は30%までの濃度で効果ありです。緊張感が取れ気が楽になります。
麻酔ではないので、コミュニケーションは出来る状況です。





当院でも、個室に笑気吸入装置を設置しています。
笑気ボンベと酸素ボンベがありますので、緊急時の酸素吸入装置も兼ねています。
分かっているけど怖いという年齢を考えると、小学生以上ほどが適応ではないかと思います。
ただし小児学童の患者さんでは、きちんとステップを追って説明しながら処置を進めることで、ほとんどの患者さんはOKになります。
そのあたり、小児歯科医の腕の見せどころかも知れませんね。



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