福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

歯の外傷予防の矯正治療

2024-03-16 | 歯のけが

歯をぶつける外傷は、上の前歯が出っ張っている上顎前突の嚙み合わせで多いと思います。







この患者さんは少し前に、向かって右上の前歯を外傷しています。
外傷自体は比較的軽度でしたので、数か月間経過観察でして問題なくなりました。
しかしながら、このままだと外傷のリピーターになりそうです。
奥歯の噛み合わせ的にも出っ歯系ですが、まずは上の前歯付近の歯並びを改善する必要があると判断しました。
数年後には再評価して、全体的矯正が望ましくなるかも知れません。
もちろん審美的にも良くなりますので、上の前歯+αにブラケットを付けて、第1期治療を開始することとしました。



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乳歯外傷の永久歯への影響

2023-07-03 | 歯のけが

乳歯のケガの永久歯への影響ですが、低年齢程出やすいと言えます。
永久歯の表面に白濁した形成不全が発生したり、形成中の永久歯の位置異常が発生することがあります。
外傷は、上の前歯部分が圧倒的に多いんですが、上の永久切歯の歯冠部分は3歳ころ形成が終了します。
なので、それ以降の年齢であれば、影響の確率は小さくなります。



この患者さんは、非常に低年齢の1歳過ぎに上の前歯を外傷して、神経の処置まで必要でした。
まだ、乳歯の根は完成していない時期です。
永久歯前歯は生まれてすぐ頃から形成が始まるので、うっすらと見えます。




その後、乳歯自体はサバイバルして生え変わりが近くなりました。
後の永久歯は、まだ根が形成途中ですが、左右で形態が違って見えますね。
低年齢での外傷の影響で、まだ形成始まったばかりの永久歯の位置がズレて、このX線撮影時では根の形成途中です。
例えば歯冠が外側に傾斜しても、根は上方に形成されるので、歯冠歯根が屈曲したようになります。
正常に生え変わりにくい状況が明らかになって、その後乳歯は抜歯しましたが、現在9歳で、やはり永久歯は微妙に出にくい状況が続いています。





歯の先が透けて見えていますが、現時点では自力で出て来ません。




歯冠歯根の屈曲の可能性が大きいですね。歯根の形成がほぼ終了しているので、歯が自力で出るパワーも無くなってきます。
形成初期の乳歯外傷なので、永久歯の歯冠形態の異常も発生しているかもしれません。
CTで診査すればより3Dで明らかになりますが、多分、近未来に矯正的に歯を誘導することになるでしょう。
このような異常は、歯が骨の中に位置する時点で発生するため、改善する方策が無いのが現実で、悩ましいところです。


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上の前歯の外傷

2023-06-09 | 歯のけが

乳歯永久歯に関わらず、歯をぶつける外傷は、上の前歯がほとんどです。
永久歯では歯冠が欠けたり折れたりする例がほとんどです。
一部、根の途中まで割れている例もありますが、グラグラしたり抜けたりする例は少ないですね。

   

高校生の患者さんで、歯の先から外側の歯質が剝がれるように欠けて来院しました。
露髄と言って、神経まで至っていましたので、直ちに神経を取る処置をしました。
根が出来ているので、次回で、通常の成人と同様の根管充填をしています。



その後、コンポジットレジンで一応歯の形を回復。
最近はレジンが進歩して、以前のように大量に歯を削って被せモノでなくてもOKです。
神経の処置で内部は少し切削しましたが、欠けた部分の歯はほぼ削っていません。
歯の色がマッチしやすいと言われる新製品を使用しましたが、いくら保険診療と言っても、結果は色調がイマイチ。
いずれかでやり直しかな?



こちらは2歳児の乳歯前歯の外傷。
グラグラや埋まりこむ例がほとんどですが、この患者さんは歯冠歯根破折といって、根まで斜めに折れています(X線は2次元なので分かりにくいですが)ので、稀な例ではあります。
破折の場合、残った乳歯根はしっかりしているので、低年齢での抜歯は、患者さんの負担が大きいと考えます。
また、破折部分が歯肉の中なので、根の治療や修復もままなりません。因みに、永久歯では矯正的に歯を若干引き出しての治療も可です。
当面経過観察せざるを得ませんが、乳歯では良くも悪くも、炎症で自然に根が溶けていくこともあるので要経過観察です。
今後、永久歯が出てくるまでの4年近くは、経過観察してやはり抜歯になるかも知れません。
欠損部は、保隙装置と言って乳歯の入れ歯状の装置を入れるのが原則ではあります。
装置を使えるか否かとか、長期間のマネジメントが必要なことを考えると、生え変わり前までの期間限定で、乳歯のダイレクトブリッジで審美回復する選択もあります。




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乳歯の外傷歴にご注意

2023-04-23 | 歯のけが

2、3歳頃に、乳歯で上の前歯をぶつける事故は結構あると思います。
外傷パターンとしては、歯が欠けるよりもグラグラになることが多く、中程度以上だと2週間ほど固定すればOKです。
ただし固定の有無に関わらず、外傷後数か月〜半年で変色してくることがあります。
変色は神経が悪くなりつつある所見ですが、元に戻ることもあります。
変色が定着しても、X線的に根の先に炎症像がなく、相当部位が腫れたりなければ経過観察でOKです。
一部根の治療が必要になる例もありますが、処置の有無に関わらず永久歯との交換時期に問題が出ることがあります。
なので、上の前歯が交換する7歳前後では適時にX線で評価するのが重要です。



乳歯では外傷後の炎症の影響で、根が短くなったりします。
その結果、まだ永久歯が降りて来ないのに早めにグラグラが始まったりします。
その割には、最終段階で乳歯根の吸収がスムーズに進まず、生え変わりが遅くなります。
上の写真では、向かって右は正常に乳歯が脱落していますが、左は乳歯の根が長いままです。
永久中切歯は、もともと乳歯の後ろ側に位置していて、乳歯根を吸収しつつ前方に移動します。
なので、このような場合では永久歯が前方に移動しにくく、後方にあることが多いようです。


   

こちらも左側が、乳歯外傷歴ありです。
左の写真の9か月ほど前の評価では、左右の永久歯の出具合に左右差はないので、経過観察です。
先日の定期健診でのX線で明らかに根の吸収の左右差が出てきています。
視診でも、乳歯の内側から永久歯が出始めています。
この時点で経過観察は終わりで、向かって左側の乳歯は抜歯です。
下の前歯は通常でも永久歯が内側から出てきて並ぶこともよくあって、一部を除き、そのままでも通常に生え変わり歯並びにも影響は出ません。
上の場合は、外傷歴と関連することが殆どで、内側から出てきたままだと、前歯の噛み合わせに影響が出てくることもあります。
それ故、抜歯になる例は多いと言えます。
日曜朝のお家カフェタイム、ブログアップ中のBGMは80年代のシティポッププレイリスト。
大滝詠一とかピッタシです。


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乳歯外傷の永久歯への影響

2022-12-03 | 歯のけが

1歳の頃、上の前歯を外傷して破折。根の治療が必要になった患者さんのその後です。




根の治療をして根管充填していますが、乳歯の根は形成途中の年齢です。
基本的にその後の根の成長はストップします。



上の前歯が生え変わり時期になって、良い意味ではこの時期までよくサバイバルしました。
ところが今度は、正常側と比較して乳歯の根が吸収していない状況が見られます。



その後、外傷した側の乳歯は抜歯しましたが、永久歯はスムーズに出てきません。





もう少しで出てきそうですが、位置不良で前傾しています。
結局、歯肉切除(開窓)と部分矯正治療が必要になりそうです。
乳歯外傷で神経が生きていない場合、乳歯根の吸収がスムーズに進まず、生え変わりにくいことは少なくありません。
この患者さんは、永久歯でき始めの年齢での外傷なので、外傷力で永久歯位置のズレが加わった可能性があります。
その場合、永久歯根は上方に形成されるので、歯冠と歯根が曲がって自力で出にくい可能性もあります。
さらには、X線的に永久歯冠形態への大きな影響はなさそうですが、マイナーな形成不全も考えられます。
外傷はなかなか予防は難しいのですが、より低年齢のほど、後の永久歯への影響は大きくなります。




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永久歯の外傷 破折例

2022-10-18 | 歯のけが

永久歯の外傷では、少し前のブログで述べていますが、歯が欠けたり折れたりする例が増えます。
完全に神経部分が露出している場合、神経を取るいわゆる根管治療が必要となります。
軽度の場合、そのまま形態回復をコンポジットレジンで行えば、処置は終了します。
神経に近接していたり若干露出傾向の場合、まずは覆髄処置をして神経保護を試みます。



この患者さんは、若干の神経露出がありましたが、受傷後時間も経っていなかったので、直接覆髄処置を行っています。
神経露出部分にMTA系の薬剤、周囲の露出象牙質はグラスアイオノマーセメントでカバーします。
この写真は最初の受診で、カバーまでしたところです。
数日経過を観て、とりあえず自覚症状がなければ、コンポジットレジンで一旦形態回復です。
奥歯の虫歯等で神経に近接した場合も同様な処置は行いますが、数か月間は仮の蓋で経過を観ます。
前歯では審美的問題があるので、とりあえず問題がないレベルでコンポジットレジン修復を行います。
半年ほど経過観察後、問題なければさらに丁寧な審美的回復を行う予定です。
以前はこの程度の破折や、神経の処置を行った場合は、原則的にはいわゆる差し歯でしたが、最近はコンポジットレジン修復が多くなりました。
欠けてはいますが、それ以上の歯の切削が少なく、長期で考えると歯の寿命を長くできます。



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乳歯の外傷と生え変わりの問題

2021-11-02 | 歯のけが

転倒したりして乳歯をぶつける外傷は、3歳までくらいが多いですね。
1回外傷で来院した患者さんは、その後2回3回とぶつけることも多々あります。





この患者さんは、最初は1歳前に1回目の外傷で来院しました。
真ん中、右側の歯が欠けて神経部分が露出していたため、根の治療を行いました。
年齢的に歯は出ていますが、根の形成が完成しておらず神経部分も大きく象牙質が薄い状態です。
神経をとってしまうと、その後の歯の形成はストップします。
その後もこの患者さんは数回外傷して、炎症も繰り返しています。
そのため、根に充填していたペーストが上の写真のように消失しています。
再度、根の治療をして経過観察です。




7歳近くになって、上の前歯も生え変わる時期です。
外傷歯の上の永久歯は、高さ的には左右差はありませんが、永久歯が外側に傾斜していて、かつ乳歯根の吸収不全があるようです。






それから半年後、左側は正常に永久歯になりましたが、右はほぼ出方がストップしています。
これ以上待っても正常な交換は期待できませんので、乳歯抜歯としました。
経過観察は必要ですが、抜歯で永久歯の方向が改善されて出て来るものと思われます。
若干外側から出てきても、通常時間とともに改善していきます。
乳歯外傷後の生え変わりの問題は、想定内として管理する必要があります。
タイミングが遅くなれば、その後の歯並びかみ合わせの問題も出て来やすくなりますので、定期的な経過観察と適時の処置が重要です。




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常に進化したい

2020-12-13 | 歯のけが

古くからの知人で、東京医科歯科大学勤務だったM先生が、最近歯の外傷の本を出版しましたので購入しました。
小児歯科分野の先生ですから、乳歯や生えて間もない永久歯(幼若永久歯)の外傷について詳説されています。
随分前ですが、M先生が学会で特別講演をされ、その時に学んだことが今でも私の臨床に生かされています。




早速、休日の今日パラパラと読んでいるところです。大学ベースですから、内容的に、エビデンスも含めしっかりしている集大成という印象です。
歯の外傷に対する処置も、私たちが研修医の頃に先輩から教わったことから変化があります。
考え方や、処置に使用する材料も変化してきました。
外傷に関わらず、常に知識や技術を進化させることが必要と、肝に銘じています。
クラシックな考え方や方法でも無難かとは思いますが、新しいものにはシンプルで効果が高いという場合が多いと思います。
歯科医師、患者さん双方にとってベターですね。
私が何かと新し物好きということもありますが、できるだけ客観的に評価比較して、場合によってはトライアルだけで終わることもあります。
常に進化を意識することが、日々臨床を楽しむということに繋がっていると感じています。





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乳歯外傷の影響が大きい例

2020-07-15 | 歯のけが

3歳頃に上の乳歯前歯の外傷があって、その後症状なしでしたが、その部分の歯茎が腫れてきたということで、1年ほど前に初診来院されました。
X線検査で、外傷を受けた乳歯の根が残存して嚢胞化、永久歯が出にくく上方にズレている像を認めました。
乳歯を抜歯した後、嚢胞が縮小化して永久歯が出れるように誘導する、オブチュレーターという装置を装着して経過を観察しました。
半年ほど装着後、埋まった永久歯が出てくる傾向がみられ、ある時期からオブチュレーターを外して経過を観ました。




向かって右側の中切歯は、側切歯とほぼ同時で遅れて出てきました。
X線でも分かっていましたが、中切歯が捻れて出てきています。
ちなみに、向かって左側の永久歯前歯は正常に生え変わって、出て来ている途中です。

出ては来ましたが、上の向かって右側の2本の前歯は下の歯との噛み合わせが悪く、降りてこれない状況です。
歯が出てくれば、コントロールはできますので、部分矯正治療のスタートとなります。
まずは、裏側からの装置で上下の歯がロックされた状態を改善します。
捩れや傾斜の改善は、前歯4本にブラケット装着すれば治癒しますが、前歯4本がしっかり出てきて、根の部分もほぼ完成するまで、暫く待ちます。
未成熟な歯を、あまり早めにブラケットで動かすと、根の部分の形成に悪影響がでることがあるからです。
この患者さん矯正治療で治癒はしますが、外傷後の定期的なフォローが出来ていたら、ややこしくはならなかったと思います。
例えば左右の生え変わり非対称であれば、適時に生え変わりにくい側の乳歯抜歯で永久歯は誘導できます。
乳歯外傷後は一旦落ち着いても、基本的に生え変わり時期の評価が重要になります。



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乳歯外傷の特徴

2020-02-05 | 歯のけが

乳幼児の歯の外傷は、圧倒的に上の前歯が多く、歯が欠けるよりもグラグラする例が大多数です。
一見欠けた、抜けた、歯が折れたように見える例でも、実は埋入といって、押し込まれてそのように見えることの方が多いんです。



2歳前の乳幼児です。
保護者の方は歯が折れたようだ、ということで来院され、お口の中を見ると前歯の1本は抜けたか折れたように見えます。
X線を撮影してみると、埋入しています。
外傷後10数時間たって、外傷部位の歯肉が腫れていることもあって、歯が見えなくなっています(X線写真ではそのように見えませんが)。
このような場合、そのまま放置しておいてOKです。数か月単位で次第に出て来ます。
出方に限界があることはありますが、元の位置に戻して固定処置を行うより歯の寿命は良好です。
過去の外傷関連のブログでも書いていますが、永久歯との生え変わりまではフォローが必要です。
乳歯の神経が壊死したり、永久歯との交換時期に乳歯根の吸収がスムーズにいかないことがあるからです。
また、この患者さんでは、3歳未満で後の永久歯が形成途中なので、永久歯のエナメル質形成に影響が出る可能性もあります。




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