乳歯の外傷は1歳後半くらいから3歳くらいまでがもっとも多い年齢でしょう。
外傷に対する保護者の方の反応も差があって、ぶつけて歯ぐきから出血していたけど、その後痛がらないからそのまましていました、という場合もあります。
保護者の方には細かい部分は分かりにくいと思いますので、基本的には軽いと思われても外傷後早めに来院していただくのが、私達も安心です。なぜなら外傷直後の状態が把握できると、処置の要否、経過の見通しなどを判断しやすくなります。
先日は、ぶつけて歯が抜けたようだが飲んでしまったのか見つからない、という1歳の患者さんが来院しました。多分と思ってX線を撮影したら、案の定完全に埋まってしまっていました。乳歯の場合は歯の周囲の骨が柔らかいせいか、このようなケースは時々経験します。
埋まった歯は、周囲に麻酔してもとの位置まで引っ張り出して、隣り合った歯と繋げて固定するというのが以前は一般的で、現在もそのような処置をする歯科もあるかと思います。
しかしながら最近のデータによると埋まった歯は3か月ほどを目安に、徐々に元の位置に戻ってくるそうですので、この患者さんの場合も、消毒のみ行ってそのまま経過観察することにしました。埋まった程度が大きいのですっかり元に戻るとは保障できませんが、外傷直後に歯の位置を元に戻すことで一旦歯はほとんど抜けたような状態になりますので、歯をできるだけ保存するという観点でみても、処置に対する患者さんの負担を考えても、固定するよりもそのままの方が無難です。
この患者さんもどの程度歯が再度出てくるか、歯の神経血管への影響が起こらないか、まずは外傷後1か月、3か月、6か月くらいでのチェックが適切でしょう。
さらに外傷した場合、歯だけでなく、歯による舌や唇の外傷、例えばオトガイ部をぶつけた場合には顎関節の骨折、顔面をぶつけた場合には頬骨の骨折なども考えられます。歯以外のこのような場合の専門は? 多分小児科よりも小児歯科です。
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向かって右側の上の前歯が外傷で埋まってしまっています。埋まった乳歯の根の部分に重なって見えるのが、形成されつつある永久歯の頭部分です。この年齢(2歳未満)ですと乳歯より永久歯が内側(向こう側)に位置しますが、残念ながらこのタイプの外傷では永久歯の形成不全等が出る可能性があります。
ふたつき子ども歯科 http://www3.coara.or.jp/~futam/
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