福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

最近のフッ素の話題、アメリカ編その1

2006-06-19 | フッ素について

2005年11月に、アメリカ小児歯科学会が「小児および青少年の口腔疾患予防」に関するシンポジウムを開催しました。そのまとめが学会誌に掲載されましたので、順次紹介したいと思います。まずはむし歯予防としてのフッ素の使い方に関するガイドラインです。内容がそのまま日本に当てはまるわけではありませんが、フッ素先進国の話は参考になると思います。

フッ素のむし歯予防効果はフッ素イオンが何らかの形で歯に触れて歯の質を強くする局所効果と、フッ素錠剤などを毎日服用することで形成途中(永久歯は生まれてすぐ頃からエナメル質形成が始まります)のエナメル質が強くなる全身効果に分けられます。以前は、全身効果があるということで、特に水道水中にフッ素を入れていない地域ではフッ素錠剤などを処方されており、妊婦でも、胎内のこどもの歯(乳歯)が丈夫になるということで同様に処方されていた時期もあったそうです。最近、この全身効果は信頼性が低いことが分かってきています。

したがって、むし歯リスクが高くない小児では、基本として1日2回のフッ素入り歯みがき使用と、歯科医院での定期的な(高濃度)フッ素塗布でOKと述べています。ニューヨーク大学で小児歯科をやっていた時の話ですが、水道水にフッ素が入っており高いむし歯予防効果がありますので、小児でも半年に1回の健診とフッ素塗布がスタンダードでした。日本の場合、そこらへんのベースがありませんので、3~4か月おきの健診+フッ素が平均的です。リスクが高い人は、歯科医院でのフッ素塗布回数を増やすことに加えて、フッ素うがいや家庭でのフッ素ジェルの使用を奨めています。この辺は当院も同様のポリシーで予防計画を立てています。

アメリカではフッ素を歯の栄養剤のごとく考えているように思います。様々な手段で摂れば摂るほどいいみたいに考えている人が結構多いので、「リスクの高くない人は程々でいいよ」と、リスクに応じて過不足ないようなフッ素の使い方をさせなさいと述べてあります。

 

アメリカでのフッ素入り歯みがきの元祖はCrest(P&G)で1955年発売、それを追ってColgate だそうです。

コメント (4)
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