福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

歯周病予防での歯磨き剤

2023-12-26 | 歯周病の話

歯周病予防をターゲットにした歯磨き剤、オーラルリンスなど販売されていますね。



上の写真は、ライオンから送られてきたサンプルとチラシです。
様々な成分が含まれていて、一般的には、歯周病菌減少と歯肉自体への効果を狙った製品が多いように思います。



大阪大学、天野教授の研究から開発された、歯周病菌(特にPG菌)を有意に減少できるクルクミン配合の製品です。
他に、濃度にもよりますが、グルコン酸クロルヘキシジンを含有した製品は、歯周病菌減少に有意に効果があります。
これらの製品は虫歯予防のフッ素ほど効果的ではないので、過信せずに、やはり歯磨きやフロスなどの清掃をまめに行うことです。
加えて、歯科医院でのPMTCや歯石除去を定期的に受けることです。受診は歯周病の程度を評価してもらうためにも重要です。



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糖質制限は歯肉炎歯周炎でも重要

2023-05-15 | 歯周病の話

虫歯予防の一つのKEYは、皆さんご存じでしょうが、糖分の摂取を程々にすることですね。



この患者さんは、まだ小学生ですが、上の前歯の生え際が白濁して初期虫歯です。
もともと磨き残しやすい部位ですが、歯磨きのみ頑張っても食生活が乱れていると、このようなことが起こります。
永久歯虫歯発生が早い場合、歯磨きのみでなく、必ず食生活のバックグラウンドを問診します。
最近の日本歯科医師会雑誌の特集で、現代の食生活による口腔疾患、という記事がありました。
色んな論文の結果をもとに解説されていますが、糖質の摂りすぎは、若年者では歯肉炎、成人では歯周炎のリスクが高まるとの論文データが示されていました。
清涼飲料水の摂り過ぎで、歯周疾患の原因である歯石も多くなるそうです。



こちらは、上の前歯が中程度の歯肉炎です。
この患者さんは上の前歯が出っ張り、口呼吸もあるため、唾液の流れが悪くなります。
その結果歯垢が停滞しやすい環境になって、歯肉炎が発生しやすい要因はあります。
歯周疾患予防には歯磨きやフロスが最重要ですが、その他のリスクファクターを減らすのも必要ですね。
糖質摂りすぎ→肥満→歯周病リスクということも実証されています。
虫歯、歯周病、全身健康のために糖分接収は程々にということになります。



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青少年期の歯肉炎

2023-04-21 | 歯周病の話

診療時間の合間に、時々WEBで論文を読んでいますが、口腔衛生学雑誌2022年掲載の中学生の歯肉炎の臨床研究に関連した話題です。



これは小学生の患者さんで、前歯が永久歯に生え変わっています。
この時期よく見られるのが、永久歯前歯の磨き残しです。
いきなり虫歯は発生しませんが、前歯の歯間部の歯肉がぶよぶよしていて、歯肉炎です。
成人の歯周病と違って特定の細菌感染によるものではなく、歯垢が原因です。
なので、丁寧な歯磨きを実行すれば、長くて1週間で治癒します。
生え際を磨くのがポイントなので、最初は腫れた歯茎に当たって痛いとか出血があります。
通常の歯磨きもそうですが、軽い力で小さいストロークの横磨きが基本です。なので時間はかかります。



こちらは高校生の患者さん。
慢性的に歯磨きが不良で、特に上の前歯の歯肉は腫れて、さらに生え際に、一部白濁した初期虫歯も見られます。
研究に関してですが、中学生の集団で前歯のどこかに歯肉炎を認める割合が87.5%。
先日の中学校歯科健診でも、虫歯より歯肉炎が圧倒的に多いという印象がありました。
さらに前歯の歯肉炎は、平均3割~4割ほどの本数でみられています。
歯肉炎の程度に関わるのが、歯磨きの回数、そして定期健診の受診の有無という項目です。
虫歯予防と違って、歯肉炎&歯周病予防は毎日の丁寧なブラッシングなので、やはり上記項目が影響しているのは頷けます。



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洗口液の有効性

2023-04-09 | 歯周病の話

歯科用洗口液、すなわちマウスリンスには大きく分けて2種類あります。
最近はドラッグストアなどでも購入可能になったフッ素マウスリンス(現在市販は2製品)、それと従来からある口臭や歯周病予防を謳ったマウスリンスですね。
フッ素マウスリンスは、毎日欠かさず行えば虫歯予防に最も効果的です。
諸外国で行われている水道水にごく低濃度のフッ素(フッ化ナトリウム)を入れるフロリデーションと同程度の効果があります。
ただ価格的にコスパが良くなく、個人では毎日行う習慣づけが難しいいことがあるので、当院では歯磨き習慣の中でフッ素ジェルを使うことをお勧めしています。
使用後うがいをしないか控え目ということを守ればOKなので、実行しやすいと考えています。



この製品は歴史も長い製品で、いわゆるマウスリンス。
CPCというおなじみの成分が含まれています。
原因菌を殺菌できますが、効果は歯肉炎レベルで歯周病予防までは至らないという結果が随分前に出ています。
リステリンも歴史が長いですが、主成分は異なるものの、歯肉炎改善のレベルです



こちらは歯科医院専売のコンクール。当院でも販売しています。
左のジェルコートは虫歯予防がメインの歯磨きジェルです。
フッ素含有で、CPCも含まれており、青少年期の虫歯歯肉炎予防にはおススメですが、現在ではフッ素が1450ppmが望ましいので、若干不足です。
右のコンクールFは、日本では数少ない歯周病予防のマウスリンスです。
主成分のグルコン酸クロルヘキシジンは歴史も長く、諸外国の研究で虫歯菌歯周病菌とも減少できる成分です。
原液を薄めて使用するもので、厳密ではありませんが適切な濃度に薄めて使用すればOKです。
同様な主成分の製品にバトラーのCHX洗口液があって、これもおススメです。
ただし、これら従来のマウスリンスは補助的なもので、あまり効果を期待しない方が良いと考えます。
歯周病予防は、現在のところ地道なブラッシングとフロスです。また、虫歯予防はフッ素です。
虫歯予防のフッ素は口腔内に長く留まっていることがポイントなので、フッ素製品(フッ素マウスリンス含む)使用後すぐに、従来のマウスリンスを使用することは避けましょう。



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歯のクリーニング PMTC

2022-06-06 | 歯周病の話

最近は虫歯も歯周病も予防が大切ということが、随分普及してきたように思います。
かかりつけ歯科で定期健診やケアを受けている方も多いのでは。
専門家(歯科衛生士)が行う歯のクリーニングをPMTCと言いますが、この言葉も知られるようになってきていますね。
歯周病への対応では、歯石除去とPMTCを行うことで、治療&予防効果は高まります。
PMTCではステインや黄ばみ等も除去され、見た目も綺麗にすっきりして、さらに、歯の表面のバイオフィルムが除去されます。
その結果、一定期間は歯周病菌や虫歯菌の減少が期待できますので、もちろん見た目だけではありません。



当院で使用している、PMTC用のクリーニングジェルです。
プロ用でステイン除去効果は大きいのですが、歯へのダメージは少ないものです。
小児のステインですと、歯ブラシにつけて磨いただけで結構除去できます。
日頃のステインが気になる成人の人であれば、同じメーカーでホームケア用もありますので、お勧めです。
私自身も使用していますが1~2週間に1回程度です。
頻回に使用すれば、さすがに歯に傷がつく可能性があります。



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マウスウォッシュは予防効果あり?

2021-06-29 | 歯周病の話

市販のマウスウォッシュは多数販売されていますが、いわゆる虫歯や歯周病予防効果が実証されているのは限られています。
昔からあるリステリンはアルコール成分で若干の歯肉炎予防効果があるのと、コロナウイルス等を減らす効果があります。
コロナ禍の今、診療前にうがいしてもらうことで、感染対策の一つになります。



これは日本の製品で、結構歴史があるコンクールFという製品、
主成分はグルコン酸クロルヘキシジンです。
この成分は歯周病菌や虫歯菌を減らす効果があるのは随分前から実証されていますが、日本では薬事法の問題で諸外国と比べて低濃度でしか使用できません。
それでも、大阪大学等の研究で虫歯菌歯周病菌の減少、バイオフィルムの形成抑制効果も分かっています。
日本で意味のあるマウスウォッシュは、ほぼこの製品のみかと思います。
それでも、歯垢が溶けたり除去はできないので誤解の無いよう。
効果を期待するならば、毎日2回ほどの使用が必要と思いますが、フッ素や歯周病予防成分(例えばクルクミン)が入っている歯磨き剤使用後ですと、マウスウォッシュで有効成分が流れてしまいます。
違う時間帯の使用が良いと思いますが、現実的に習慣化するのは少し努力が必要でしょう。
歯科医院専売ですが、ネットや一部のドラッグストアでも購入できます。




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歯周病菌を減少させる

2021-05-28 | 歯周病の話

虫歯予防にはフッ素が効果的ですが、歯周病予防には効果的な薬剤がないために基本は毎日の丁寧な歯磨きやフロスと、時代は進んでもクラシックな対応が推奨されています。
少し前のブログで紹介しましたが、クルクミンが歯周病菌減少に有意に効果的ということが明らかになり、クルクミン含有の歯磨きジェルが発売されました。
市販品の方が歯科医院専売製品より若干早めに手に入りました。
私自身は、ほぼ歯周病傾向がないので治癒効果の実感は明らかではなく、使い勝手を試している状況です。




最近、当院にも歯科医院専売のPG STOP が入荷しました。
ジェルタイプで発泡剤研磨剤等が含まれていないので、歯磨き後にうがい控えめで、有効成分を残存されせるのが重要です。




Pg菌が、歯周病を悪化させる代表的な菌で、この歯磨きジェルは有意な抑制効果があります。
歯磨きが良くても、歯周病が進行する人は、免疫力や保有している歯周病菌の種類、量などとも関連しています。
逆に歯磨き程ほどでも歯周病が進行しにくい人もいて、歯周病菌が少ないというベースがあったりします。
当院では通常の患者さんの保護者、そして障害を持っている方は年齢制限なく、健診や予防処置指導を行っています。
成人の場合、むし歯よりも歯周病にフォーカスして管理していくことがマストです。
予防ケアには毎日の習慣がベースになりますので、このような歯磨きジェルの効果を期待したいところです。
因みに価格ですが、1500円ちょっとと、少し割高ではあります。



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永久歯前歯の歯肉炎

2021-03-05 | 歯周病の話

小学生以降の児童の歯肉炎は増加しているという話もありますが、比較した数値データは明らかではありません。
ただし、永久歯前歯が生え変わる時期以降、小学校前半くらいでは前歯の歯肉炎は多々見られます。




この患者さんは前歯6本が永久歯に生え変わっています。
歯の生え際部分に歯垢が残っていて、歯肉が腫れています。
テカテカ見えるのは腫れている証拠です。
この時期、小児自ら磨かせると、前歯部分を忘れている例をよく見ます。
元来、永久歯が充分出ておらず、歯周ポケットが深い状況で、さらに歯垢が付くと、歯茎が腫れるのは当たり前です。
時期的にも、歯肉炎の条件が揃っているわけです。
下の前歯ですと、歯垢が残っていても虫歯の発生は稀ですが、上の前歯だと小学校高学年くらいに、生え際や歯間に初期虫歯が発生しやすくなります。
歯茎の病気ですと、歯茎が下がるというイメージもあるかと思いますが、歯肉炎では歯茎が腫れるのが主症状なので、むしろ短く見えます。
歯肉炎レベルであれば、適切なブラッシングとフロスを行えば、あっという間に健康な歯肉に戻ります。




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歯周病予防歯磨き剤

2021-02-21 | 歯周病の話

大阪大学歯学部教授の天野先生とSARAYAとのコラボで開発された歯磨き剤が、最近発売されています。
天野教授は歯周病学では有名な先生で、私も過去には講演やWebセミナーを受けたことがあります。



クインテッセンス出版という歯科専門書の出版社から無料の雑誌が送ってきて、コンテンツの一部に天野教授の記事がありました。
歯周病には複数の菌が関与していますが、そのリーダー格がPG菌です。
この菌が優位になることで、歯垢の病原性が増加して歯周病の進行に関わることが解明されています。



このPG菌を有意に減少できるのがウコンの成分のクルクミン。
大阪大学の基礎研究で実証されています。クルクミンは水溶性ではないとのことですが、これを水溶性に加工できて、商品化にこぎつけたのがSARAYA。
水溶性になることで効果が高まるそうです。過去に歯周病予防薬剤は多々登場しましたが、本当に効果があるものはありませんでした。
しかし、データから見るとこの製品は信頼できそうです。
まだ市場では行き渡っていないようで、当院に隣接する大きなドラッグストアで探しましたが、置いてありませんでした。
当院の終礼で紹介したところ、パッケージの色が良くないねという感想。確かにインパクトはありますが他社のものと比較して爽やかさはないですね。
新発売のビールでもパッケージで売れ方が違うそうですので、考えるべきところかも。
WEBで注文して試用することにしています。ウコン茶のような風味ではないと思いますが。




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歯周病の知識リニューアル

2020-06-14 | 歯周病の話

歯周病の分野ではビッグネームの大阪大学、天野教授の最新刊が出ましたので早速購入。
天野教授は実は臨床系ではなく基礎研究系の教授ですが、誰が聴いても分かりやすく面白く解説されます。
数年前、福岡で日本歯科医学会が開催された折、当院スタッフと共に講演会に参加して、印象に残っています。



5年前に発刊された著書の、改訂増補版。
歯周病分野は虫歯分野と異なり、まだまだ未知の部分もあり、発展途上です。
この5年で、どのようなことが解明されたか興味があります。
当院は医院名は子ども歯科ですが、少なくとも高校卒業までは定期的に来院いただくようお勧めしています。
青少年期の歯周病早発やハイリスク傾向をキャッチして、予防を行えれば成人での健康な口腔環境に繋がると考えています。
実際予防処置や指導を行う、歯科衛生士との知識や方策の共有化が重要と思います。




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