『Discovered Again』 Dave Grusin ☆☆☆☆☆
iTuneストアでデイヴ・グルーシンで検索したら出てきたので買ったアルバム。なんだか企画ものっぽいタイトルにあまり期待していなかったが、これが実に良い。名作『One of a Kind』『Mountain Dance』にまったくひけをとらない出来だ。参加メンバーはロン・カーター、リー・リトナー、ラリー・バンカー、ハーヴィー・メイソン。曲目は以下の通り。
1. A Child Is Born
2. Baretta: Keep Your Eye On the Sparrow
3. Sun Song
4. Captain Bacardi
5. 3 Cowboy Songs: No. 1. Git Along Little Dogies
6. 3 Cowboy Songs: No. 2. the Colorado Trail
7. 3 Cowboy Songs: No. 3. Cripple Creek Breakdown
8. Adeus a Papai
見ての通り、5曲目から7曲目は組曲になっている。本アルバムの特徴は、まずしっとりした叙情性である。一曲目の「A Child Is Born」とラストの「Adeus a Papai」がとても美しいピアノ曲で、この二曲がアルバム全体を額縁のように囲むことでその印象を決定づけている。「A Child Is Born」はピアノの独奏にベース、ヴァイヴ、ドラムが加わっていく、ゆったりと寛いだ美しさ。一方「Adeus a Papai」は完全なピアノ・ソロ曲で、哀愁を帯びたクラシカルな美しさ。組曲「3 Cowboy Songs」の第二楽章もやはり静かな抒情性を湛えた曲で、ロン・カーターのダブルベースとグルーシンのエレピがフィーチャーされている。デイヴ・グルーシンの抒情的で優しい面が強く出たアルバムだ。
ちなみにこのレコードは「ダイレクト・カッティング」という方法で録音されているが、これはプレイヤーが演奏すると同時にその音がレコード盤に刻まれていくという、つまり一旦テープに落として編集したりミキシングしたりしない方法である。当然ながら一発録りで、ミスったらレコード片面の演奏全部録り直しとなる。恐ろしい録音方法だ。しかしそのせいなのか何なのか、本作の音は非常に生々しく臨場感に溢れ、にもかかわらず演奏は完璧という信じがたいレコードになっている。
更にもう一つの特徴として、ロン・カーターのダブルベースの存在を挙げたい。このアルバムには「Baretta: Keep Your Eye On the Sparrow」のようなグルーシンらしい明るいフュージョン曲もあるけれども、ベースがダブルベースであることが『One of a Kind』『Mountain Dance』と異なるムードを醸し出している。この二作ではクリスプなエレクトリック・ベースの音が特徴的だったので尚更だ。ロン・カーターの艶やかなベースの音はしっとりした曲ではひときわしっとりと、明朗なフュージョン曲ではふくよかさと柔らかいニュアンスを曲に与えていて、実にいい。フォープレイのハーヴィー・メイソンのツボを押さえた的確なドラミングも最高だ。
3曲目の「Sun Song」はリラックスした明るい情景にグルーシンらしいピアノが映え、続く「Captain Bacardi」はラテンの軽快なノリ。組曲「3 Cowboy Songs」はやはりリラックスしたピアノが美しい第一楽章、エレピが抒情的な第二楽章、アップテンポで明朗闊達な第三楽章、で構成されている。
ダイレクト・カッティングということで、曲によってメンツが変わったりせず同じ五人で一気呵成にアルバム全体を作り上げているため統一感があり、かつ、テンションも美しく維持できていている。やはりこれは傑作だ。ジャズ・フュージョン・ファンは必聴。
iTuneストアでデイヴ・グルーシンで検索したら出てきたので買ったアルバム。なんだか企画ものっぽいタイトルにあまり期待していなかったが、これが実に良い。名作『One of a Kind』『Mountain Dance』にまったくひけをとらない出来だ。参加メンバーはロン・カーター、リー・リトナー、ラリー・バンカー、ハーヴィー・メイソン。曲目は以下の通り。
1. A Child Is Born
2. Baretta: Keep Your Eye On the Sparrow
3. Sun Song
4. Captain Bacardi
5. 3 Cowboy Songs: No. 1. Git Along Little Dogies
6. 3 Cowboy Songs: No. 2. the Colorado Trail
7. 3 Cowboy Songs: No. 3. Cripple Creek Breakdown
8. Adeus a Papai
見ての通り、5曲目から7曲目は組曲になっている。本アルバムの特徴は、まずしっとりした叙情性である。一曲目の「A Child Is Born」とラストの「Adeus a Papai」がとても美しいピアノ曲で、この二曲がアルバム全体を額縁のように囲むことでその印象を決定づけている。「A Child Is Born」はピアノの独奏にベース、ヴァイヴ、ドラムが加わっていく、ゆったりと寛いだ美しさ。一方「Adeus a Papai」は完全なピアノ・ソロ曲で、哀愁を帯びたクラシカルな美しさ。組曲「3 Cowboy Songs」の第二楽章もやはり静かな抒情性を湛えた曲で、ロン・カーターのダブルベースとグルーシンのエレピがフィーチャーされている。デイヴ・グルーシンの抒情的で優しい面が強く出たアルバムだ。
ちなみにこのレコードは「ダイレクト・カッティング」という方法で録音されているが、これはプレイヤーが演奏すると同時にその音がレコード盤に刻まれていくという、つまり一旦テープに落として編集したりミキシングしたりしない方法である。当然ながら一発録りで、ミスったらレコード片面の演奏全部録り直しとなる。恐ろしい録音方法だ。しかしそのせいなのか何なのか、本作の音は非常に生々しく臨場感に溢れ、にもかかわらず演奏は完璧という信じがたいレコードになっている。
更にもう一つの特徴として、ロン・カーターのダブルベースの存在を挙げたい。このアルバムには「Baretta: Keep Your Eye On the Sparrow」のようなグルーシンらしい明るいフュージョン曲もあるけれども、ベースがダブルベースであることが『One of a Kind』『Mountain Dance』と異なるムードを醸し出している。この二作ではクリスプなエレクトリック・ベースの音が特徴的だったので尚更だ。ロン・カーターの艶やかなベースの音はしっとりした曲ではひときわしっとりと、明朗なフュージョン曲ではふくよかさと柔らかいニュアンスを曲に与えていて、実にいい。フォープレイのハーヴィー・メイソンのツボを押さえた的確なドラミングも最高だ。
3曲目の「Sun Song」はリラックスした明るい情景にグルーシンらしいピアノが映え、続く「Captain Bacardi」はラテンの軽快なノリ。組曲「3 Cowboy Songs」はやはりリラックスしたピアノが美しい第一楽章、エレピが抒情的な第二楽章、アップテンポで明朗闊達な第三楽章、で構成されている。
ダイレクト・カッティングということで、曲によってメンツが変わったりせず同じ五人で一気呵成にアルバム全体を作り上げているため統一感があり、かつ、テンションも美しく維持できていている。やはりこれは傑作だ。ジャズ・フュージョン・ファンは必聴。
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