![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2a/5d/265922f242c0bd62361c6ede235eb6cb.jpg)
『Photographs』 カシオペア ☆☆☆☆
カシオペアのスタジオ盤は二、三枚しか持っていないが、その中から『Photographs』をご紹介したい。1983年発表、当然ながらオリジナル・ラインナップ、神保・櫻井の鉄壁のリズムセクションである。一般にカシオペア全盛期と認知されている時期だ。私はリアルタイムでは聴いていなかったが、このアルバムも相当売れたらしい。
初期の『Make Up City』あたりと比べるとロック色が後退し、音がオシャレに、きれいになっている。鍵盤は全部デジタル音になっているし、ギターのディストーションも軽くなり、透明感のあるキラキラした音になっている。個々の楽器の音だけでなく、全体のサウンド・メイキングもより爽快感が増している。要するに、いかにも「80年代のフュージョン」といった音なのである。好みは分かれるかも知れないが、ともあれそうした究極の心地よさがカシオペア人気に拍車をかけたことは間違いないだろう。曲のメロディも実にポップで、キャッチーだ。耳に残る曲が多い。
その一方で、タイトで緻密な演奏の快感は初期から何も変わっていない。なんといってもこれこそがカシオペア最大の魅力で、どちらかといえば初期の音の方が好きな私も、それがあるから納得させられてしまう。結果的に、やはり大したアルバムである。
アルバム一曲目は「Looking Up」で、この曲の目が覚めるような鮮やかな印象がアルバムのイメージを決定づけている。つまり、ポップ、メロディアス、明朗、爽快、そしてドラマティック。これはカシオペア初のエイトビート曲として有名で、え、これまでエイトビートの曲はなかったの、と驚いた記憶があるが、確かにそれまでのカシオペアの曲にはなかったストレートなノリが新鮮である。あまりにもカッコいいイントロに続いて、あの印象的なべースのリフが畳み掛けて来る。更に、キラキラしたDX9の音がキャッチーなメロディを奏でる。
ところでさっきリアルタイムでは聴いていなかったと書いたが、この「Looking Up」だけは当時からよく知っていた。あの頃大学の軽音でフュージョンをやってたバンドは、みんなこれをコピーしたんじゃないだろうか。私はプログレ者だったのでやらなかったが友達のバンドがやっていたし、他の大学の学祭に行ってもこの曲をやっているバンドは多かった。それに私自身、実はこのベースラインはこっそりコピーした。この動き回るフレーズをスラップでやっているのがミソだ。
で、ベーシストとして「Looking Up」に並ぶ注目曲は、もちろん「Misty Lady」である。これも櫻井の強力なスラップをフィーチャーした曲で、カシオペアの中でも相当難易度が高い。後任ベーシストの鳴瀬はこれを「かなりキツイ」と言っていたし、実際にライヴでもこの通りには演奏していない。このスタジオ・バージョンのスラップは緻密でジャストなグルーヴがとてつもなく気持ちよく、ブレークで入る短いソロも見事にキマる。もちろんベースのテクだけでなく、曲のまとまりもいいしサビのコード進行も美しい。
それから神保が書いた「Fruit Salad Sunday」はアコースティック・ピアノがとても爽やかな、メロディが美しい曲で、個人的なフェイバリット曲の一つ。他にもスキャットが入る「Dazzling」や「Love You Day By Day」は軽快で爽やかだし、野呂がフレットレス・ギターを聴かせる「Long Term Memory」は泣かせるバラード。初期の曲を思わせる「Strasse」はちょっとジャジーで渋く、ナベサダの曲「Out Drive」はシャッフルのリズムに面白いシンセサイザーの音が乗っかる。「Spice Road」は「Space Road」と似たタイトルだが曲調は全然違って、スローでけだるい。ラストの「From Over The Sky」は爽快感と重厚感が同居し、渋い中にもドラマティックな展開を見せる佳曲だ。
まあそんな具合に実にバラエティに富んでいて、リスナーを飽きさせない工夫が凝らされているアルバムだ。メロディやアレンジのアイデアが次々と浮かんでくるといった絶好調のケミストリーを感じさせる。カシオペアのおいしさが凝縮された一枚です。
カシオペアのスタジオ盤は二、三枚しか持っていないが、その中から『Photographs』をご紹介したい。1983年発表、当然ながらオリジナル・ラインナップ、神保・櫻井の鉄壁のリズムセクションである。一般にカシオペア全盛期と認知されている時期だ。私はリアルタイムでは聴いていなかったが、このアルバムも相当売れたらしい。
初期の『Make Up City』あたりと比べるとロック色が後退し、音がオシャレに、きれいになっている。鍵盤は全部デジタル音になっているし、ギターのディストーションも軽くなり、透明感のあるキラキラした音になっている。個々の楽器の音だけでなく、全体のサウンド・メイキングもより爽快感が増している。要するに、いかにも「80年代のフュージョン」といった音なのである。好みは分かれるかも知れないが、ともあれそうした究極の心地よさがカシオペア人気に拍車をかけたことは間違いないだろう。曲のメロディも実にポップで、キャッチーだ。耳に残る曲が多い。
その一方で、タイトで緻密な演奏の快感は初期から何も変わっていない。なんといってもこれこそがカシオペア最大の魅力で、どちらかといえば初期の音の方が好きな私も、それがあるから納得させられてしまう。結果的に、やはり大したアルバムである。
アルバム一曲目は「Looking Up」で、この曲の目が覚めるような鮮やかな印象がアルバムのイメージを決定づけている。つまり、ポップ、メロディアス、明朗、爽快、そしてドラマティック。これはカシオペア初のエイトビート曲として有名で、え、これまでエイトビートの曲はなかったの、と驚いた記憶があるが、確かにそれまでのカシオペアの曲にはなかったストレートなノリが新鮮である。あまりにもカッコいいイントロに続いて、あの印象的なべースのリフが畳み掛けて来る。更に、キラキラしたDX9の音がキャッチーなメロディを奏でる。
ところでさっきリアルタイムでは聴いていなかったと書いたが、この「Looking Up」だけは当時からよく知っていた。あの頃大学の軽音でフュージョンをやってたバンドは、みんなこれをコピーしたんじゃないだろうか。私はプログレ者だったのでやらなかったが友達のバンドがやっていたし、他の大学の学祭に行ってもこの曲をやっているバンドは多かった。それに私自身、実はこのベースラインはこっそりコピーした。この動き回るフレーズをスラップでやっているのがミソだ。
で、ベーシストとして「Looking Up」に並ぶ注目曲は、もちろん「Misty Lady」である。これも櫻井の強力なスラップをフィーチャーした曲で、カシオペアの中でも相当難易度が高い。後任ベーシストの鳴瀬はこれを「かなりキツイ」と言っていたし、実際にライヴでもこの通りには演奏していない。このスタジオ・バージョンのスラップは緻密でジャストなグルーヴがとてつもなく気持ちよく、ブレークで入る短いソロも見事にキマる。もちろんベースのテクだけでなく、曲のまとまりもいいしサビのコード進行も美しい。
それから神保が書いた「Fruit Salad Sunday」はアコースティック・ピアノがとても爽やかな、メロディが美しい曲で、個人的なフェイバリット曲の一つ。他にもスキャットが入る「Dazzling」や「Love You Day By Day」は軽快で爽やかだし、野呂がフレットレス・ギターを聴かせる「Long Term Memory」は泣かせるバラード。初期の曲を思わせる「Strasse」はちょっとジャジーで渋く、ナベサダの曲「Out Drive」はシャッフルのリズムに面白いシンセサイザーの音が乗っかる。「Spice Road」は「Space Road」と似たタイトルだが曲調は全然違って、スローでけだるい。ラストの「From Over The Sky」は爽快感と重厚感が同居し、渋い中にもドラマティックな展開を見せる佳曲だ。
まあそんな具合に実にバラエティに富んでいて、リスナーを飽きさせない工夫が凝らされているアルバムだ。メロディやアレンジのアイデアが次々と浮かんでくるといった絶好調のケミストリーを感じさせる。カシオペアのおいしさが凝縮された一枚です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます