アブソリュート・エゴ・レビュー

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Knight and Day

2010-07-10 08:45:50 | 映画
『Knight and Day』 James Mangold監督   ☆☆☆★

 今週の月曜は独立記念日の振り替え休日だったので、映画館でトム・クルーズ主演の『ナイト・アンド・デイ』を観てきた。アクション・コメディである。アクションもいけてるし、結構笑えてなかなか楽しい映画だ。考えさせられるようなところはかけらもなく、デート・ムービーには最適である。まあ、おふざけのせいでアクション場面の緊張感がイマイチなのが欠点だろうか。

 トム・クルーズ演じるロイは凄腕のスパイで、彼と彼を追うCIAの争いにキャメロン・ディアスの普通の娘ジューンが巻き込まれる、というドタバタ劇だ。トム・クルーズのスパイ・アクションはさすがに手馴れたもので、『ミッション・インポシブル』を彷彿とさせる。ロイはまさにイーサン・ホークが脳天気になったようなキャラ。ものすごい身体能力で、どんな状況でも余裕をかましている。この映画はロイにトム・クルーズをキャスティングしたことが最大の勝因かも知れない。イーサン・ホークがアクション・コメディをやっているという贅沢感がある。これがどこかのコメディ俳優ではこうはいかないだろう。

 それからこの映画のポイントは、意図的にリアリズム無視の場面展開をしていること。機上、不時着、カーチェイス、南の島、豪華列車、高級ホテルと、まるでアクション映画のおいしい場面をサンプリングしたかのような展開だ。たとえば南の島で海パンで魚を獲っているところを爆撃されたと思うと、次の場面では雪景色の中を走る豪華列車の中にいる。「ありえねー!」となって笑えるが、コメディ映画なのでこれがギャグとして機能し、さらにおいしいアクション場面を脈絡なくてんこ盛りにできるという二重の効果がある。

 この手の映画では定番の、主人公が敵に捕まってピンチになる場面も一瞬だけあるが、あまりに一瞬で笑える。朦朧となったジューンの目に裸で吊るされているロイの姿が見え、「これがひどく悪い状況に見えることは分かってるけど、なんとかするからちょっと待っててくれないか」などと言っていると思ったら、次のカットではもう逃げ出す車の中、次のカットではヨットの上だ。ロイの服装がいちいち状況にぴったりなものに変わっている、なんてのも笑える。アクション映画としてはもちろん安直なのだが、これを意図的にギャグでやってるのが面白い。とはいってもあまりにわざとらしくはなく、ギャグとアクションのバランスがいい。

 残念だったのは、クライマックスがあまりにあっけなかったこと。ここまでやったんだから、ハリウッド製アクション映画のクライマックスをさらに大げさにしたような痛快な締めが欲しかった。あれで印象がいまひとつぼけてしまっている。が、まあ料金分は充分愉しめた。ひょっとして続編ができたりする?


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