アブソリュート・エゴ・レビュー

書籍、映画、音楽、その他もろもろの極私的レビュー。未見の人の参考になればいいなあ。

ALL THE BEST

2008-02-03 12:02:12 | 音楽
『ALL THE BEST』 CHEMISTRY   ☆☆☆

 スガシカオに続き、今度はCHEMISTRYのベストを購入。CHEMISTRYはデビューアルバムの『The Way We Are』を持っていて、例の『PIECES OF A DREAM』とか『合鍵』なんて曲は結構好きだったのである。その後どんな曲を歌っているのか全然フォローしていなかったので、最近出たというベスト盤でも聴いてみようと思ったわけだ。

 まあこうして聴くとだんだん変遷していってるのが分かる。私は初期の方が好きだな。曲に哀愁があり、ヴォーカリスト・デュオの曲だぞ、という主張がある。曲でいうと『PIECES OF A DREAM』『Point of No Return』あたり、それからファーストアルバムでは『合鍵』『愛しすぎて』など、リードヴォーカルだけでなくバックコーラスもこの二人の声を重ねて渋く作り込んであった。この二人の「声」「歌」の魅力を最大限に聴かせるというコンセプトがかっこ良かった。アルバムの最初に二人のアカペラでイントロが入っていたり。ところがこのベストを聴く限り、その後こういうアプローチはすみやかになくなり、単に華美なバックの前で主旋律を二人に歌わせるというきわめてJ-POP的なアプローチに変わってしまったようだ。

 おまけに、バラードが受けるからと言って似たようなバラード曲が連発されている。きわめて当たり前の曲調で、歌はうまいもののあんまり面白くない。それにしても、この『君をさがしてた ~New Jersey United~』は何じゃい? ファーストアルバムにも入っていた曲だが、この『~New Jersey United~』というバージョンではゴスペル合唱団のコーラスがバックに入っていて、うるさいことうるさいこと。こんな大甘のバラードをこうまで大げさに盛り上げるとダサいってことが分からんのか? 

 それからやはり歌を提供してもらわないといけない受け身の悲しさ、曲によって打ち込みダンス系、大甘バラード系、爽やかポップス系など試行錯誤しているのが伺われ、散漫な印象を受ける。一貫した音楽性とか、発展性というものが見えてこないのである。最近のシングル『約束の場所』は槇原敬之の曲だが、もう曲調がもろ槇原で、川畑の歌い方まで槇原にそっくりなのが笑える。

 しかし堂珍は確かに歌がうまいが、川畑は実際のところどうなんだろう? いや、確かに素人さんやそのへんの若い歌手と比べればうまいんだけど、今ひとつ危なっかしい。特にデビュー当時。声もよく出てるしとても一生懸命なんだけど、聴いていて陶酔するというより「よし、うまく歌えてるぞ!」みたいな感じが先に立ってしまうのである。ただこのベストを聴くとだんだんうまくなって、声域も広がっているようだ。

 それともう一つ、私はオフコース・ファンなのだが、川畑の声って四人オフコース時代の清水仁(ベース)の声に似てる気がする。高い声は似てないが、低めの声が。『君住む街へ』の清水が歌っているところとか。実は昔っから思ってたんだけど、公表するのは初めてだ。いや、もちろん川畑の方が全然うまいんだけどね。清水仁なんて言っても普通の人は知らないだろうが、オフコース・ファンの人、そう思いませんか?


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