崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

南京大虐殺記念館

2014年06月09日 05時29分22秒 | エッセイ

昨日は念願の南京大虐殺記念館と抗日運動記念館を見た。大虐殺記念館内は暗かった。それは展示の方式でもあり見る人の心も暗くなる。展示は中国がやっていても中身は日本であった。日本の資料による展示と言える。中国による資料は戦後の発掘現場のものが主であった。映像、道具、新聞記事などあくまでも日本が主役、100%悪役である。日本軍慰安所には「支那美人」と書かれており日本軍を呼びよせ、日本軍が列を成して順番を待っている写真、復元された慰安所の室内にも入ってみた。見て体験できるような記念館である。飲食できるところはない。私は映像を見、イヤーフォンで解説を聞き、キャプションを読みながら許される範囲内で映像や写真をとり、録音もしながら、3時間半時間をかけて見た。
 南京では日本語は使わない方が良いと言われたので注意した。タクシーの運転さんは韓国人か日本人か気になるらしい。案内してくれた李美淑氏と李月順氏は韓国語を使っていて、ある運転手からは日本人であれば乗せないとも言われた。南京では日本人については非常に悪い感情を持っているという。日本式の店が潰されたとか日本人はほぼいないという。今一番友好的な国は韓国である。
 日本軍による虐殺記念館、「30万人虐殺」という標題の下に絶対的に悪い、残酷な日本軍という展示であり、心痛い心情である。そして最後に平和都市の南京を訴えている。結局日本人嫌いであり心から平和になることの難しさも分かった。広島の記念館も残酷だけの展示で平和都市を訴えている。全く同じ展示法である。大国の中国は日中戦争で被害を受け、今は浙江省よりも若干小さく、人口も少ない韓国が世界的に評価されており、その隣国によって中国が変わっていく。
 南京の空は青空がない。美淑氏になぜ曇っているのかと質問、「汚染だ」という。汚染を悪く言ったり気にする人は少ない。中国は豊かな経済国を何より優先しているのが目に見える。上海への高速電車の窓から見える汚染空を見ながら息苦しさを感じ四日間の旅程も長すぎるような気持ちになった。