崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「多敵国家」

2014年06月30日 05時24分02秒 | 旅行
先週のある講義で「喧嘩」をテーマにした。文化人類学者の末成道男氏論文を参考にして日韓の例をもって`講義を進めた。彼は1980年代韓国調査期間中の1年間で47件の喧嘩を見聞きしたが、実際8件の喧嘩を見たことをもって日韓の喧嘩を比較した。韓国人は感情が激昂して、一対一、素手、裁定者や味方はなく喧嘩をしても、後を引かないなどの特徴を述べている。日本人の男子学生はグループで喧嘩、和解しても仲間にはなれなかったといった。日本人は喧嘩はなるべくせず、我慢強いがグループで行い、後を引くということが気になった。喧嘩が拡張すると紛争、戦争になるといえる。
 今日本では「集団的自衛権」をめぐる議論が活発に行われている。軍隊は韓国、北朝鮮、中国などにはあるもので兵役は国民の神聖なる義務とされているが日本が軍など云々すると脅威になる。なぜであろうか。日本は戦前世界一の帝国を目指して太平洋戦争を起こした国、いわば前科者的な意識構造があるからであろう。昨日教会で会った在日の方は戦争になったら在日は本国へ帰って参戦することになるだろう、日本が戦争をすると在日は日本の敵になるということだろうかと私に聞いた。国際時代であり、グローバリズムを叫び、無意識的に多民族国家を理想のように考えたのが「多敵国家」のようになりつつあるのではないだろうか。本当の世界市民を作る国民普遍的な教育が必要である。