崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

『日本軍慰安所管理人の日記』

2014年06月26日 05時28分21秒 | 旅行
 半年以上かけて読んだ。いわば『日本軍慰安所管理人の日記』(安秉直氏訳本)を読了した。すでに韓国語や日本語で訳された文(木村幹本)があるが、カタカナ入りの韓国語の日記をもって、議論しながら確認や修正を行い、倉光氏が訳した。本題から「日本軍」を外すべきであると思う。
 日記を書いた人は3万9千円(現在4千万円ほど)韓国に送金して帰国する。この日記はそこで終わっている。おそらく戦況が緊迫状況になり帰国することとなったと思われる。本文にはこの日記以外に「稼高日記帳」とか「稼業日記」ということばがあり、他に当時の日記が残っているかもしれない。この日記ですべての慰安所の状況が分かるとは言えないが、少なくとも軍との関係は直接的な関係ではなかったことは分かった。戦争とセックス、軍とは何だろうと深く考えさせられた。
 私は戦争自体が大きい「犯罪」と思うので、「正しい戦争」論を否定している。特に日本が内地や外地(朝鮮、台湾、満州など)を含め中国、東南アジアの諸国、南洋群島そしてインドとモンゴルなどまで海上ではアリュサン列島から太平洋まで世界一の帝国を作ろうとしていたことに驚く。戦争は内外に大きく、多くの犠牲者を出す。戦争が犯罪というならそれを防ぐための「正義軍」といえるのだろうか、生命保険的な存在であろうか。中国や韓国は強い軍隊を持っていながら日本のことを非難する。
 私は30年近く韓国の国民として兵役義務を果たしてきた。昨日は朝鮮戦争の勃発の記念日であった。悲しく複雑な気持ちであった。目下日本も軍の存在について議論している。軍が侵略者か、生命保険的存在かは永遠の疑問である。