崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

読書会に佛教大学の鈴木文子教授参加

2014年06月19日 04時45分52秒 | 旅行

 昨日毎週行っている読書会に佛教大学の鈴木文子教授が参加した。彼女は現在一年間ソウル大学の研究教授としてソウルに滞在しており、福岡大学の研究会に参加、そして昨日は私たちの読書会に参加したのである。私の誕生祝に純綿のしゃれたシャツもいただいた(写真)。彼女は修士課程の時から一緒にフィールド調査に同行し、島根大学の時代には私が集中講義に行ったこと、科研の共同研究など数多く一緒の時間があった。昨日はその思い出を話す時間はなかった。
 読書会では鈴木氏が韓国に滞在しながら見て感じたことを聴いた。彼女はまず日本でメディアを通して知って感ずるほど韓国は「反日一色ではない」と言った。民主主義社会であり、多様な考え方、意見が存在するということである。たとえば西大門刑務所の展示も日本侵略時代以降の大韓民国時代のものも展示されており、一方的に日本時代だけを強調するものではないと指摘した。私は広島平和記念館が「被曝一色」であるのとは異なるのではと反応した。彼女が延世大学で行われた研究会に参加して慰安婦問題も多様であると知ったという。
 目下韓国で朴裕河教授の『帝国の慰安婦』が出版禁止の裁判所訟までなっても反対グループも多く強いと私も知っている。しかし学者が研究活動ではなく、社会運動家になるようなことは残念であると思う。社会運動になると一つの意見を単純化して強く貫徹させなければならない。そうなると多様な意見を聞くことも難しくなる。昔は自分の学説を守るために無理に主張を一貫した学者が多かった。学者は時には学説を修正、変更することもできる。朴裕河教授が世間からアカデミズムへ早く復帰することを祈る。それは弱くなるためではなく、真理を求める偉大な作業を続けて欲しいからである。