崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

老いを生きる

2009年07月30日 05時47分32秒 | エッセイ
 私の先生は高齢ではあるがほんとうに元気な方である。先生は今も論文を書いておられ、意欲を持っている方である。この頃は視力や聴力、歩きなどに支障があり、娘の介護を受けている。先生は年をとっていることを、「産婦人科の病気以外はすべての病を持っている」と言われる。娘はどうしょうもない表情をしている。先生は若い時から社会に対して鋭い批判を語ったが、いまだにその態度は変わりはない。また老いの生活に不評も多い。
 先生の「老いを生きる」のをのぞいて見ながら私自身も老いを生きる歳になったのを覚った。老いの生活は病気に掛かり易く廃れたような惨めな生活かもしれないが、良い側面もあると思う。身心ともにいろいろな欲望から解放されて本当の自由な人間になるとも感ずる。また長い過去を持っていて、「歴史古い人」として若い者には経験豊かさを生かして助言もできる。老いを惨めに受け止めるか、世俗の欲望から解放された神仙(?)として生きるかはその人の生き方であろう。