崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「お金万能主義」

2009年07月03日 06時01分31秒 | エッセイ
 台湾のある大学の教授が来校したので数人の同僚と昼食を一緒にとった。彼は台湾人として筑波大学で私と同日に博士号を取ったということで二人は大きい奇縁のように話ている内に、次々と私の知人とつながっているので話は一段盛り上がった。しかしびっくりしたことはそれだけではない。彼は中国を旅行中、スパイ容疑で捕まえられ、北京の刑務所で11年間も刑を受けたという。彼は台湾が大陸と融和政策を取るのにも脅威を感じているという。その際は日本に亡命しなさいと私が言い、皆が笑った。
 一般の官吏の腐敗はもちろんのこと、刑務所の看守も例外ではないという。私はその体験記を書くように彼に勧めた。中国は唯物主義の社会主義国家としてつい最近まで続いていたが、最近の中国には資本主義が入って「お金万能主義」の中国の現象が象徴的に現れているようである。儒教の本家ともいえる国においてて私は儒教倫理は全く感ずることができなかった話をしたら、いま中国の小学校で「論語」を教えているという。それよりは魯迅の作品でも読ませるべきだと言いながら私は思わず溜息をもらしてしまった。