崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

「補身湯」文化の天敵は愛犬文化

2009年07月05日 06時17分30秒 | エッセイ
 昨日の形質人類学の鵜沢氏の講義を聞いてみた。日本には縄文時代では食べなかったが、弥生時代から犬を食べるようになったという。犬を食べる文化圏は意外に広い。主に中国など東アジア、東南アジア、太平洋、アフリカの一部などに広がっている。現在日本は「愛犬天国」のようになって、犬を食べるのは野蛮人視されている。西洋化によって日韓文化の極端に異なった食文化現象ともいえる。
 「補身湯」とは韓国語のボシンタンという犬肉を煮込んだ料理である。「補身」という言葉からも漢方的、準薬食のニュアンスがある。猛夏に夏バテ防止、また民間医療的な食べ物である。最近、韓国では何を食べようが他国から野蛮視される筋合いはないなど、そこに民族主義までもってきて正当化しようとする人もいる。
 中国には朝鮮族が200万人弱住んでいるが、彼らは日常食のように食べるし、朝鮮民族の「風味」と宣伝している。去年中国に行った時、長春の中心街には大きな建物に狗肉レストランの看板が見えた。狗肉文化の天敵は愛犬文化であろう。まだ中国や韓国には愛犬文化が広く普遍化されていないことを意味する。愛犬文化がどこまで広がるかを注視したい。