崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

VHS時代は過ぎた

2009年07月10日 06時09分31秒 | エッセイ
 アメリカの未来学者のトフラー(Alvin Toffler)は『未来ショック』(Future Shock、1970)、『第三の波』(The Third Wave、 1980)、『戦争と反戦』(War and Anti-War 1995)など数多くの話題作を妻と共著で発表している。特に世界的に話題を呼んだのが『第三の波』である。人類歴史を大きく三つの波として、第一が農業、第二が産業革命、第三がグローバル化と多様化の波であるという主張であり、それに対応するようなことに触れている。このようなマクロな変化は目下私たちが側面している。ミクロな私自身の人生においては今どんな波にいるのだろうか。
 小学校の時糸線を利用して通話しながらそれがよくできればと未来を考えたが今はその遊びが世界的に実現されている。私もいち早くから携帯電話を持っている。しかし私はそれの機能をを十分に使いこなせず、単純に通話のみに使用している。ある人はそれを使わず固定電話やファックスを使う人がいる。コンピューターのEメールも使えない人がまだ多い。またある人は電話も使わず直接対面する生活をする人もいる。まるで原始と現代が共存している。
 私は今、研究用のVHSビデオの資料をDVD化するのに時間をかけている。内容を確認しながら簡単に編集もしてDVDに移している。20年ほどで画質が相当に薄くなったことに驚く。特にカーラーは色褪せている。自分がTVなどに出演したものは見たくない。自分の「人生の色」が薄くなったことに失望する。VHSという機械的なものが今の時代にはすでに過ぎてしまった感があるが、まだ過去の記憶をたどるには頼りになるので保存している。しかし自分の記憶はこの機材よりうんと薄れて忘却されていることに気がつく。入れ替えた資料がまた薄れた時はこの世にいないかもしれない。その後は誰が入れ替えてくれるのだろうか。