崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

たばこ文化

2009年07月11日 06時17分25秒 | エッセイ
 東亜大学の医療栄養学専攻の中野昭夫教授の講義に参観して意外な知識を得た。タバコを吸わない人より多く吸う人が肺がんに罹る想定値が6倍高いことや受動喫煙の被害が大きいということも関心ある内容であったが、私にもっとも関心のあったことはニコチンの中枢神経を興奮させる精神作用に関することである。私の専門であるシャーマンとの関連があるからである。
 シャーマニズムの中には麻薬性のある煙によって神懸かりになる文化圏が広い。南米の原住民のシャーマンたちは麻薬性のある植物やキノコを煎じて飲んで、またインドネシアでは煙を吸って神懸かる。それはその地域に限らず神に「献酒」「焼香」として広く普及している。身体に害物であるものでも文化的には機能するものとして酒とたばこがある。私は韓国で酒に弱く、タバコもすわないので社会生活においてはマイナスであったと常に感じている。