崔吉城との対話

日々考えていること、感じていることを書きます。

純粋なる敗北主義

2009年07月27日 05時47分48秒 | エッセイ
 今日は1953年7月27日朝鮮戦争の休戦記念日である。日本ではその日のことを覚え、記念する人はいないであろう。しかし私にとっては忘れられない日である。その年、私は中学校に入学した。1950年6月25日に朝鮮戦争が勃発して丸3年過ぎたこの日に休戦か停戦になった。日本の植民地、大東亜戦争から解放と終戦によって独立したと思ったら朝鮮半島が38度線で分断された。そして朝鮮戦争が3年間も続いたのである。
 朝鮮半島の悲劇は「休戦」「停戦」によって続く。それらに比して「終戦」は勝利と敗北がはっきりする。戦後、韓国と北朝鮮の政府はそれぞれ朝鮮戦争を「勝利」だと宣言した。つまり敗北ではない。韓国は民主国家を守るのに、北朝鮮は社会主義を守るのに勝利したということであろう。しかし戦争を起こしたことや統一できなかったことへの失敗は認めなければならないのに純粋なる敗北主義は存在しなかった。そして今も南北は互いに脅威である。
 日本では「終戦」とは言っても「敗戦」とは言いたくない人もいる。しかし戦後の日本は敗北を認め、復興へ、そして「戦争をしない」ことを憲法で守っている。しかしアメリカでは「正当な戦争論」(Michael Walzer)が論じられている。私は強く脅威として感じている。