ボツネタ経由で知りました。朝日新聞に出たのだそうです。今まで何度か書いたのですけど、もう一度まとめて反論したいと思います。
ボ - 出資法の上限金利の引下げに異論 by坂野友昭早大教授@昨日付朝日「きょうの論点」欄
広告特集:早稲田大学
(記事中に示されているのは、「上限金利規制が消費者金融市場と日本経済に与える影響」と題するワーキングペーパーによるものです)
図1に示された超過需要の問題は、現在の貸金市場や消費者金融市場全体(銀行やクレジット等の信用供与も含む)の市場構造の前提があります。それは「完全競争市場」、「貸出金利はリスクを正確に反映」、「審査は全て適正」ということです。
・以前にご紹介しましたが、「ふぉーりん・あとにーの憂鬱」の47thさんの記事(ふぉーりん・あとにーの憂鬱 上限金利規制の論拠を考える:市場支配力2)では、貸金市場の構造としては「独占的競争市場」の可能性が述べられています(茶野努氏の「消費者金融サービス市場の競争度」というペーパーが取り上げられています)。完全競争市場とは言えない可能性が高いと考えられます。
・審査に関しては、日本の貸金業者には信用情報機関の登録・利用を全く行っていない業者が多数存在しており、必ずしも「適正」とは言いがたいと思われます。更に、機関ごとに利用できる情報が違ったり、事故情報などの取扱が異なるという面があり、貸出業者側の審査が十分に行えない場合も想定されると思われます。特に自己破産や特定調停に至る債務者では、通常の貸出審査を経た融資ばかりが実行されている訳ではありません。
・貸出金利とリスクの関係ですけれども、必ずしもリスクの高くない層に対する貸出においても、よりハイリスクの層と同様の貸出金利が適用されています。リスクに連動した金利変更はあまり行われていないと思います(一部貸金業者では行われているかもしれませんが、実態はよく知りません)。例えば、貸金業者からの借入があってもなくても、クレジットカードのキャッシング金利は同じですよね。
・図1の超過需要(=信用供与額の減少)の発生は、均衡金利水準とそれよりも低い上限金利水準との乖離幅があることによって生じると考えられます。しかし、均衡金利水準は正確には推定できてないのではないかと思います。なのに、均衡金利水準がシミュレーションで想定される上限金利(例えば27%とか23%とか)よりも、必ず上(多分ペーパーでは27~29.2%の間の領域)に存在するということが必然という扱いになっています。仮に、均衡金利水準が20%よりも低い場合には、このような超過需要は発生しないと考えられます。よって、図1に基づく「超過需要の発生」を必然とすること、更に貸金業や消費者金融全体の信用供与の減少額を推定することは、実際の貸金市場や消費者金融市場を反映しているとは言えないと思います。またその額を、GDPの0.364%と推定してますが、「過大」なシミュレーションであると考えます。
・借入の困難な層というのは存在する可能性がありますが、厚生労働省の公的融資制度を利用することは検討に値すると思われます。少なくとも高利の貸金業者たちや闇金業者たちの餌食になるよりは、はるかにマシです。
・イギリスの例を挙げておりますが、日本とは違った法制度や社会環境があり、簡単に比較はできないと思います。イギリスでは5千~1万5千ポンドのローンのAPRで見れば、日本よりも低金利であり(例えば6.4%という商品も存在します。7.9~11.9%程度の複数業者が存在しています)、市場による競争は働いているということだと思われます。導入金利は更に低く、1%未満という場合もあります。クレジットカードのキャッシング金利にしても、3ヶ月間無料とかそれ以降14.9%といった水準であり、日本での実態(先日までのトヨタファイナンスは26.4%もの金利を取っていた)とは違います。
しかも、消費者信用法によって、暴利的信用取引であると裁判所が認めた場合には、”裁判所が契約を再締結させる権限”を有しています。広告規制も日本よりも厳しく、業者の免許制度も制限が設けられています。クレジットカウンセリングも充実しており、日本のような状況とは異なっていると考えられます。そういう環境が整えば、金利上限は必要なくなるかもしれませんが、日本ではそこまでの整備は進んでいないと思います。
参考記事:
貸金業の上限金利問題~その3
貸金業の上限金利問題~その8
貸金業の上限金利問題~その9
すみすさん、経済学院生さんへのお答え
貸金業の上限金利問題~その12
闇金が増加したワケ(追加あり)
貸金業の上限金利問題~その13
参考記事にも書いたが、上限金利のないイギリスは、破産者の人口比では95年約0.05%→03年約0.07%という推移だった。日本では同じ時期に0.03%→0.19%と約6倍以上に増加したのだ。00年の金利引下げ以前までに、約0.1%まで増加していた(特定調停件数は自己破産よりさらに多く、03年には約53万件で、自己破産と個人の民事再生を合わせれば約80万人の多重債務者問題が発生していたと考えられる。つまり自己破産件数の約3.3倍にも達することになり、人口比で言えば0.63%で、イギリスの自己破産+和議よりも約6倍くらい多いと推定される)。日本とは環境が全く異なっている。上限金利の議論をイギリスから部分的に「輸入」してきて、「イギリスには上限がないんだ」といくら言ってみても、日本で同じ効果を期待するのは、現状では到底無理だろう。
(※訂正:コメントで情報を頂戴しましたので、訂正させて頂きます。
特定調停は債権者ごとということだそうで、1人の債務者が複数の借入先があると、その債権者ごとに事件件数が発生するのだそうです。つまり事件件数が53万件であれば、「債務者数=53万人」ではなく、「債権先=53万件」ということです。債務者1人平均だと7件程度の債権先と思われ、53万/7=約7.6万人の債務者ということが推測されます。ということで、上記「約80万人の多重債務者問題」というのは誤りであり、約33万人程度ということになります。人口比では0.26%となります。お詫びして訂正いたします)
坂野先生はイギリスの標準的なAPRが20%未満(約15~16%くらい)である、ということを正確に言うべきだろうね。制度や上限金利のないことだけを取り上げてるが、バンク・オブ・イングランドのベースレートが4~5%くらいなのに(日本はとりあえずゼロ金利だ)、日本よりもはるかに低い金利で無担保の信用供与が行われている、ということもですよ。
それに00年の金利引下げ以前から、金利選好の謎というのは存在していた。日本では、低金利業者を必ずしも選ばない、ということだ。これは知識が不足しているとか、アクセスのしやすさとか、CMによるイメージなどに影響されているのではないか、と考えられている。借り手のアンケート調査でもそうした傾向がある。
勿論、上限金利引下げが妥当かどうか、ということは議論が必要だと思われます。上限金利だけでは「社会的弱者は保護できない」というのは、その通りかもしれませんが、市場が機能していくまでの間の暫間的な処置として無意味とまでは言えません。
(加筆修正してます。18時頃)
ボ - 出資法の上限金利の引下げに異論 by坂野友昭早大教授@昨日付朝日「きょうの論点」欄
広告特集:早稲田大学
(記事中に示されているのは、「上限金利規制が消費者金融市場と日本経済に与える影響」と題するワーキングペーパーによるものです)
図1に示された超過需要の問題は、現在の貸金市場や消費者金融市場全体(銀行やクレジット等の信用供与も含む)の市場構造の前提があります。それは「完全競争市場」、「貸出金利はリスクを正確に反映」、「審査は全て適正」ということです。
・以前にご紹介しましたが、「ふぉーりん・あとにーの憂鬱」の47thさんの記事(ふぉーりん・あとにーの憂鬱 上限金利規制の論拠を考える:市場支配力2)では、貸金市場の構造としては「独占的競争市場」の可能性が述べられています(茶野努氏の「消費者金融サービス市場の競争度」というペーパーが取り上げられています)。完全競争市場とは言えない可能性が高いと考えられます。
・審査に関しては、日本の貸金業者には信用情報機関の登録・利用を全く行っていない業者が多数存在しており、必ずしも「適正」とは言いがたいと思われます。更に、機関ごとに利用できる情報が違ったり、事故情報などの取扱が異なるという面があり、貸出業者側の審査が十分に行えない場合も想定されると思われます。特に自己破産や特定調停に至る債務者では、通常の貸出審査を経た融資ばかりが実行されている訳ではありません。
・貸出金利とリスクの関係ですけれども、必ずしもリスクの高くない層に対する貸出においても、よりハイリスクの層と同様の貸出金利が適用されています。リスクに連動した金利変更はあまり行われていないと思います(一部貸金業者では行われているかもしれませんが、実態はよく知りません)。例えば、貸金業者からの借入があってもなくても、クレジットカードのキャッシング金利は同じですよね。
・図1の超過需要(=信用供与額の減少)の発生は、均衡金利水準とそれよりも低い上限金利水準との乖離幅があることによって生じると考えられます。しかし、均衡金利水準は正確には推定できてないのではないかと思います。なのに、均衡金利水準がシミュレーションで想定される上限金利(例えば27%とか23%とか)よりも、必ず上(多分ペーパーでは27~29.2%の間の領域)に存在するということが必然という扱いになっています。仮に、均衡金利水準が20%よりも低い場合には、このような超過需要は発生しないと考えられます。よって、図1に基づく「超過需要の発生」を必然とすること、更に貸金業や消費者金融全体の信用供与の減少額を推定することは、実際の貸金市場や消費者金融市場を反映しているとは言えないと思います。またその額を、GDPの0.364%と推定してますが、「過大」なシミュレーションであると考えます。
・借入の困難な層というのは存在する可能性がありますが、厚生労働省の公的融資制度を利用することは検討に値すると思われます。少なくとも高利の貸金業者たちや闇金業者たちの餌食になるよりは、はるかにマシです。
・イギリスの例を挙げておりますが、日本とは違った法制度や社会環境があり、簡単に比較はできないと思います。イギリスでは5千~1万5千ポンドのローンのAPRで見れば、日本よりも低金利であり(例えば6.4%という商品も存在します。7.9~11.9%程度の複数業者が存在しています)、市場による競争は働いているということだと思われます。導入金利は更に低く、1%未満という場合もあります。クレジットカードのキャッシング金利にしても、3ヶ月間無料とかそれ以降14.9%といった水準であり、日本での実態(先日までのトヨタファイナンスは26.4%もの金利を取っていた)とは違います。
しかも、消費者信用法によって、暴利的信用取引であると裁判所が認めた場合には、”裁判所が契約を再締結させる権限”を有しています。広告規制も日本よりも厳しく、業者の免許制度も制限が設けられています。クレジットカウンセリングも充実しており、日本のような状況とは異なっていると考えられます。そういう環境が整えば、金利上限は必要なくなるかもしれませんが、日本ではそこまでの整備は進んでいないと思います。
参考記事:
貸金業の上限金利問題~その3
貸金業の上限金利問題~その8
貸金業の上限金利問題~その9
すみすさん、経済学院生さんへのお答え
貸金業の上限金利問題~その12
闇金が増加したワケ(追加あり)
貸金業の上限金利問題~その13
参考記事にも書いたが、上限金利のないイギリスは、破産者の人口比では95年約0.05%→03年約0.07%という推移だった。日本では同じ時期に0.03%→0.19%と約6倍以上に増加したのだ。00年の金利引下げ以前までに、約0.1%まで増加していた(特定調停件数は自己破産よりさらに多く、03年には約53万件で、自己破産と個人の民事再生を合わせれば約80万人の多重債務者問題が発生していたと考えられる。つまり自己破産件数の約3.3倍にも達することになり、人口比で言えば0.63%で、イギリスの自己破産+和議よりも約6倍くらい多いと推定される)。日本とは環境が全く異なっている。上限金利の議論をイギリスから部分的に「輸入」してきて、「イギリスには上限がないんだ」といくら言ってみても、日本で同じ効果を期待するのは、現状では到底無理だろう。
(※訂正:コメントで情報を頂戴しましたので、訂正させて頂きます。
特定調停は債権者ごとということだそうで、1人の債務者が複数の借入先があると、その債権者ごとに事件件数が発生するのだそうです。つまり事件件数が53万件であれば、「債務者数=53万人」ではなく、「債権先=53万件」ということです。債務者1人平均だと7件程度の債権先と思われ、53万/7=約7.6万人の債務者ということが推測されます。ということで、上記「約80万人の多重債務者問題」というのは誤りであり、約33万人程度ということになります。人口比では0.26%となります。お詫びして訂正いたします)
坂野先生はイギリスの標準的なAPRが20%未満(約15~16%くらい)である、ということを正確に言うべきだろうね。制度や上限金利のないことだけを取り上げてるが、バンク・オブ・イングランドのベースレートが4~5%くらいなのに(日本はとりあえずゼロ金利だ)、日本よりもはるかに低い金利で無担保の信用供与が行われている、ということもですよ。
それに00年の金利引下げ以前から、金利選好の謎というのは存在していた。日本では、低金利業者を必ずしも選ばない、ということだ。これは知識が不足しているとか、アクセスのしやすさとか、CMによるイメージなどに影響されているのではないか、と考えられている。借り手のアンケート調査でもそうした傾向がある。
勿論、上限金利引下げが妥当かどうか、ということは議論が必要だと思われます。上限金利だけでは「社会的弱者は保護できない」というのは、その通りかもしれませんが、市場が機能していくまでの間の暫間的な処置として無意味とまでは言えません。
(加筆修正してます。18時頃)
現在、金利規制をすれば、多重債務者はなくなり、自殺や犯罪者も減るという、金利性悪説が幅を利かせていますが、多面的な分析、本質論に言及されるコメント内容は大変参考になります。
今回のコメントの中で、数字の誤解があるようなので、一言申し上げたくて、コメントさせていただきました。
自己破産者の場合は、債権者が何人いても破産事件1件で対応しますから、最高裁の破産手続き開始件数=破産者数になりますが、特定調停は、債務者が各債権者ごとに申し立てますので、延べ件数になります。
特定調停に一人平均何件申し立てたとの統計はないようですので、正確にわかりませんが、裁判所等の話などを総合すると7,8件程度のようです。したがって、事件数53万件というのは、債務者数は、6万から7万人という程度だと思います。
特定調停件数は、債権者ごとなのですね。後ほど記事に訂正を入れたいと思います。
自己破産者の場合、平均の債務先が8件程度、調停では少し少なく、約7件程度ではなかったかと思います(カウンセリング協会の資料だったかな・・・?うろ覚えです)。うち、過払いとか違法金利などが一部に存在するので、特定調停から外れる件数が少しあるかもしれません。
それでも、1人平均6件として約9万人、7件だと7万人強ですので、大きく違いますね。すみませんでした。また、宜しくお願い申し上げます。
18%超過で借りる債務者とはどんなだろうか。じっさいのデータをみてみないと、こういう想定の思い込み議論は意味がないだろうが、多くの場合当てはまるのではないかと、(主観的に)信じる。
多くは、多分消費者金融専業者の利用者の過半数は、信販・クレジットで200万近く借りている。キャッシングの人もいるだろうが、半分は18%以内だろう。12~18%くらいか。そして割賦販売を超えてキャッシングしてカードで借りれば、信用リスクが増大するから、18%を超える金利が請求されることも多いだろう。さらに消費者金融にいって、18%ですむとは考えようがない。信用リスクはさらに大きくなっている。ここに、専業者借入件数別年貸倒率を想定してみる。
あなたは、どの程度の金利を適正とみるだろうか。
なおローン・ポートフォリオの組み合わせは、件数ごとに20%ずつ、1件から4件まで、10%ずつ、5-6件としたら、貸倒は、8.2%になってしまいます。
件数 想定貸倒率
1 4%
2 6.00%
3 8.00%
4 10.00%
5 12.00%
6 14.00%
7 16.00%
8 18.00%
9 20.00%
10 23.00%
大手業者のポートフォリオ・ミックは、以下のようだと、7.36%の年貸倒率になります。
件数 想定貸倒率 貸付金額割合 貸倒率
1 4% 20% 0.80%
2 6.00% 35% 2.10%
3 8.00% 20% 1.60%
4 10.00% 12% 1.20%
5 12.00% 8% 0.96%
6 14.00% 5% 0.70%
7 16.00% 0% 0.00%
8 18.00% 0% 0.00%
9 20.00% 0% 0.00%
10 23.00% 0% 0.00%
100% 7.36%
すなわち、借入件数2~3件でも、貸倒率が7%以上でているのです。これはあんまり、2005年のパフォーマンスデータとして、嘘でもない数字と信じて、これをベースに議論されたよいでしょう。数値は、毎日新たな債権が入ってくるポートフォリでなく、口座固定で見た場合で、真水が入ってくると、貸倒が薄まりますし、貸した後すぐに貸倒になりませんし、半年以上延滞しないと貸倒になりませんから、新規客を含めるのでなく、年末ベースで口座を固定してみた場合のデータ。出所を聞かれるなら、大手に聞いて御らんなさい。あってますから。件数に応じて、負債総額もわかります。当初の4件までは一件50万円、3件以内であれば、100万円まで可能でしょうし、場合により200万円も枠が取れます。そして5件以上になれば、30万円、20万円と小さくなる。6件借りれば、250万円、7件で300万円あっても不思議はありません。
さて、そんな債務者の信用費用を無視して、どうして18%で貸せるのでしょうか。
それを大手業者は、過去数年間に、100万円を超える残高の口座数を全体の1/3にもしてしまい、100万円超のポートフォリオの平均貸付額を175万円にもしている。すでに信販・カードで200万円あっても。
それであれば、上限金利15%が適用されたら、信用費用を差引き、どうやって15-7.5=7.5%でやっていかれるのか。皆さん金利が2%というが、今は5年スワップレートですら1.6%、+80ベーシスだと、2.3%。販売管理費が5%でおさまりますか?人件費だって2.5-3%はかかります。
だから大手でも25%請求するのですが、それは確かにとりすぎでしょう。27x94%(延滞を除く比率)-8%-2.5-7.5=6% x1.5兆円=1200億円の経常利益。
でもこういう債務者にだれも貸す人がいないから、25%になってしまうのです。貸倒するかどうかは、貸してみなければわからないので、高めになる。経済合理性も需給も適正な価格を作り出していると思います。だれも他にリスクをとらないのですから。
そもそもそういう債務者に需要を作り出すような金融態度が社会モラルとして許されず、金を貸しては為らないというなら、生活苦でこまっているひとたち、利用者700万人は、どこから借りるか。
救済のため、簡易の破産制度、韓国版個人ワークアウト制度でも導入するほかないでしょう。
12兆もある専業者貸付の半分くらいは、スウェーデン、ドイツやフランスなど消費者金融は認められ居ないけど、生活補助金をたんまり出して社会不安のない国のように、社会福祉のセーフティネットを豊かにしなければなりません。金融庁は、それをするといっているのですから、多分5兆円は、社会福祉資金として、国民は独仏スのような相互扶助助け合いの世界をよしとして金利下げにコンセンサスしたから、消費税を上げることに、同意したことになります。
そもそも生活苦の18%で借りれない債務者に、18%を超える金利で借りさせるのは、社会不安の元。ライフイベントで生活できない人には補助金をだしましょう。そして金利は18%にして、事実上消費者金融を廃止する。
私は、そうした夢のような世界を実現しようとする金融庁にも、自民党にも、後藤田にもエールを送ります。
社会経済政策についての立法議論するんであれば、データくらい開示すべきであろうに、枢密院の秘密主義のごとく、金融庁や議員らは数字を出さない。
予測するに、7件以上の債務者は、100万人プラスといったところか。いずれにしても数ヶ月以内に破産か支払不能の道を歩む。5-6件で300万人。このあたりは、金利引下げで確実に借りれなくなるから、400万人は、救済制度が同時に準備されていないと社会混乱となる。だって、破産者20-25万人。返せなくなったで債権者は許してくれません。過払いが発生する40ヶ月以上であれば、全部帳消命令でも、政府か、司法か、議会がだしますか。
金利18%超の信用の世界がどんな状況であるか、件数別貸倒表を参照されたし。
大手業者以外を推定
件数-想定年貸倒率-貸付金額割合-利用者数-市場全体
1-6%-9%-373,500-1,656,000
2-8%-12%-498,000-1,638,000
3-10%-15%-622,500-1,620,000
4-11%-17%-705,500-1,275,500
5-12%-20%-830,000-1,186,250
6-13%-15%-622,500-860,000
7-14%-7%-311,250-425,250
8-15%-3%-124,500-157,750
9-17%-1%-41,500-55,750
10-18%-0.5%-20,750-25,500
- 100%-4,150,000-8,900,000
平均借入件数4.27
市場全体は大手を加えた推定
債権の金額分布が上記のようなケースで、上記の貸倒率をそれぞれの件数に割り当てたときの年貸倒率は、中堅で11%となり、金利29%であれば、販売管理費用増額を10%、金利費用総額を5%、延滞利息を差引いた実質利回りを28%とすれば、2%の利益がでるから、27%が約定金利の分岐点となる。こうして2000年6月以降の29.2%への金利引下げで、急送くに多くの中堅業者(資産100-2000億円)が資本統廃合されていき、いずれかの系列に入り現在残っているのは、限られた数になったことから、大半が2%の利益もでなかったことになり、さらに想定貸倒率が高いか、借入件数に応じた金額のウエイトが上方にずれることになる。
現在消費者信用市場から借り入れる80%以上が壊滅的ダメージを受け、信用市場は収縮するどころか、政策的に否定させて消滅することを意味する。金利引下げの法規制の制定とともに、すでに現存し、返済しない限り消滅しない725万人もの債務者の救済支援プログラムを金融庁が準備しなければならない。その大半が返済だけを迫られれば、途上における貸付をどこからも得られない状態におかれる限り、数ヶ月から1年以内に息絶えるであろうことが予想される。返済比率区分で分布を作成すれば、その影響の規模がさらに明確に予測できるであろう。
行政監督機関は、いわゆるサラ金地獄と呼ばれる状況に陥った債務者に対する対応、救済をどのように考えるか。多重債務の不良債権処理するのであれば、韓国のように、簡易破産制度、個人ワークアウト制度を準備して、社会問題が続くより、早めに健全化する方法を検討すべきではないか(金融ビジネス4/25)
そもそもこの信用市場は、貸倒想定値からみれば、銀行が手が出せない29.2%でなんとか維持された信用リスク市場なのだ。もしそういう市場が経済政策上不要だと政策判断され、議会が承認するのであれば、社会福祉と生活補助支援がいきとどき、生活苦のために借り入れる消費者金融業の存在が必要とされないスウェーデンやドイツ、フランスのように、消費者信用市場の半分くらいの6兆円を予算を生活苦債務者に生活支援補助金として準備すべきことになる。自民党だけでなく、国民と経済界は、700万人の社会不安が増幅するよりは、金融庁主導の金利引下げをよしとしてコンセンサスを与えたのだから、韓国同様の多重債務者向け個人再生プログラムをつくり、政府ファンドで貸金ポートフォリオを買い取り、金利15~18%で運用し、発生する年間貸倒損失10%について、国民負担で毎年焼却することに反対すべきではない。こうした消費者金融ポートフォリオに18%金利を適用するのであれば、事業は政府によって承継されなければ、だれも受けてがいない資産になることは、金利引下げを立法提案する金融庁も十分承知であろう。こうした個人再生計画で、個人消費が急回復し、税収が増え、それにより個人の不良債権処理が可能となるシナリオを描いたか。もっとも金融庁という政府一部局に、立法提案権が法律で付託されているわけでなし、議会はそれに従う合憲性、合法性、法的強制力はない。事業再生のあとの金融庁の次なる目標は、個人再生なのだろう。
本稿で想定した貸倒率、借入件数別市場の規模は、著者の合理的根拠を欠くかもしれない推測に過ぎない。本稿の主張、説明、結論が将来を予測するものとして、正しいかどうかは、本稿で説明したパフォーマンス・データを用いて、検証、証明を待たなけれならない。立法提案を行った以上、行政監督機関としては、金利引下げの信用市場への影響については、慎重に研究されたであろうが、将来負担が発生するかもしれない政策だろうと予測されるが、国民には開示されていない。
推測データはやっぱり推測なので、その上で「何を主張するか」ということだと思います。コメントをたくさん頂いて恐縮なのですが、「何が主張なのか」ということが判りづらいので、できれば「一言で言うと~」という形が有り難いです(私には難しいすぎるので)。
貸金業について語るのであれば、思い込み主張でなく、仮設を立てたら、それをemperical studyして、原因を究明すべきでしょう。そうでなければ、みやまります。ただ守秘義務があり、だれも仮説を客観データで説明できません。
http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/bde4a8e424548a433ab336385ff05ede
答えを急いではなりません。仮説は思い込みですから、まずは事実を正しく認識し、確率的に何が起こりうるか分析をした上で、結論がでます。その上で、分析アプローチ、事象認識アプローチが正しいか検討するたたき台ができる。
上のブログの主張は、データがない主張ですが、発生した経済事象の特性を正しく認識している点があります。その原因が何かについては、仮説を立てていますが、それでおわっています。
1. 90年代の初め、金利引下げのあとの年代中盤から、業者数が急激に減った理由は? 同様に、2000年の引き下げ後も、登録業者が急減し、多くの利益がマイナスに転じて整理統合され消えていった理由は?
みなの思い込みでは、金利の引き下げで、対象多重債務者の数は増加するはず?とすれば、説明がつかない。
この現象を考えると、40%-54%で貸せた借り手も、29-40%で貸せた借り手も、引き下げ後の市場では、許容リスクを越えて借りれなくなるということになる。
金利が下がると、対象となる。餌食層が減るので、貸し出しが急に維持できなくなり、利益が維持できず、業者が減る。これは明らかに2000年引き下げ後の2年で起こった。
そして両時期ともに、引き下げ後に破産が急増している。1万人台から90年半ばに4万人に、その後90年代は安定していたが、2002年には、16-23万人に達し、現在もそのレベルにある。
これは利用できなくなった借り手の処理ということになる(仮説)。今回もまた破産の急増は避けられない(仮説)。確かに利用者750万人のうち、たまたま借り入れ件数1件の人以外は、8割に行き場はなさそうだ。
2. 金利引下げで、債務者信用市場の質が高まり、貸倒れ率が下がるはずだが、2000年以降、どうして大手を含め、業者の貸し倒れが、倍増、トリプル増しているのか。説明せよ。2.5-->7.5% 中堅では、7.5%-->12-14%
金利引下げで、与信が受けられなくなった債務者を数年間をかけて損失処理したと考えられる。
また29%以下には、あまりに餌食は少なかったということで、それを補うために、100万円を超える過剰貸付を生み、大手業者の1/3にも達している。その仮説の証明については、金融ビジネス4/25 吉行誠。
まずは、特筆すべき経済事象として何が起こっているかを認識すること。
29%以上の信用リスクの債務者750万の80%が借りれなくなり、破産市場のあふれ出る可能性の有無(仮説)を議論する必要がないか。
18%以下の市場では、現在業者の生きている餌食層10.5兆円とことなり、餌食は見つからないばかりか、その80%の債務者の処理をするから、貸し倒れ7.5%からかなり増加する。
モビット、キャッシュワン、アットローンなども、15-18%の世界ですら、借り手を見つけるのに、四苦八苦しており、その世界で専業者が競うにも、これまでの顧客層と異なり、ますます厳しくなる。
したがって、18%以上の信用リスクの債務者層は、破産市場=司法が相手し、業者はいなくなる。
業者はいなくなるのは、債務者にとってはかまわない。しかし750万人x8割の債務者が破産市場に流れこみ、多重債務を処理するのに、債務取り消しするような、韓国版の政府個人多重債務ワークアウト制度が必要になる。
そのための税金は、どの程度になるか、仮設や想定データでなく、業者にデータを出させて、研究すべきだろうといっているに過ぎません。
結論は、それを待って、出せる問題であって、思い込みで立法するものではないでしょう。
私の意見は大体記事に書いてきた通りです。上限引下げについては、現在のところ肯定的です。貸金市場の健全性が大幅に改善されれば、上限規制の撤廃ということも有り得るかもしれません。しかし、本当に競争が機能していくとすれば、APRは今よりも低下するのではないかと思っています。英国なみになるかもしれないですね。