カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

くりにつく・せみなりお

2009-11-24 17:34:29 | Weblog
(姫様が真つ青な携帯無線機をお持ちになつてお城を抜け出されてから1週間経つた。姫様が最後に爺やの携帯無線機に交信されてきたのは3日前のこと。姫様がどこで何をされてゐるのか、爺やには一切知らされてゐない。三日前の夜、仕事が終はつてベッドに横たはつた爺やの枕元で、携帯無線機が突然ガーガーピーピー鳴り出し、姫様の声が入つてきた。「ガーガーガー・・・・・爺や、爺や、感度は、如何かしら?・・・ガーガーガー・・・・・ピーピーピー・・・ガー・・・だから、おやすみな・・・ピーピー」爺やは跳ね起きて携帯無線機の前に正座し、姫様の次のことばを待つて耳を澄ませた。が、姫様の声はそれきり途絶えてしまつた。以来、連絡はさつぱり来ない。爺やは心配で心配で仕方がない。時間ができると姫様とお揃ひの真つ青な携帯無線機で何度もなんども姫様に交信を試みるけれども、けつしてつながらない。その頃、埼玉県警本部から王立警察本部へ出向中の秋原康三警部と春山英夫巡査長は、王立警察本部司令のコロネル中将から直々に秘密結社《王党派メロン》への潜入捜査を命ぜられ、中核アジトである「くりにつく・せみなりお」に仮病入院することとなつた)

「おやすみ」と切られたる青き無線機は「おはやう」の声つひに伝へず
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