歌誌『塔』八月号より。
うつすらと電車の窓に映り込む顔のうしろを街が流れる/久岡貴子
一般に乗客の顔が電車の窓に映り込むようになるのは日が没して外が暗くなってから。うっすらと電車の窓に映り込む顔顔のうしろを、暗んだ街並みの影がすいすいと過ぎてゆくのを眺めている作中主体は、仕事場から退勤して帰宅する途中で、疲れ切っているけれども座席は満席で座れず、吊革につかまって立っているのかもしれない。そんな場面を想像させる巧い一首。
うつすらと電車の窓に映り込む顔のうしろを街が流れる/久岡貴子
一般に乗客の顔が電車の窓に映り込むようになるのは日が没して外が暗くなってから。うっすらと電車の窓に映り込む顔顔のうしろを、暗んだ街並みの影がすいすいと過ぎてゆくのを眺めている作中主体は、仕事場から退勤して帰宅する途中で、疲れ切っているけれども座席は満席で座れず、吊革につかまって立っているのかもしれない。そんな場面を想像させる巧い一首。