カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

しごと帰りに。

2016-07-11 21:48:07 | Weblog
今朝、しごと場に向かう途中、あるお寺前に葬儀看板が出ているのを見つけた。その看板の珍しいお名前から、そこのすぐ近所の通り沿いにある、美味しいお弁当で有名な総菜屋さんのお婆さんがお亡くなりになったのだなと思った。お婆さんと面識はなかったけれども総菜屋さんのことはよく知っていた。しごとが終わって自転車で帰ろうと、件の惣菜屋さんそばのバス停近くを通り掛かった。〈そうだ、あの惣菜屋さんのお婆さんが亡くなられたのだな、お気の毒に〉と横目でその惣菜屋さんの方に意識が向いたそのとき、バス停で待っていた見知らぬご高齢の老婦人が私に「いま何時でしょうか?時計を忘れてきてしまって、バスが来るまでどれぐらい掛かるか知りたくて」と訊ねられた。〈はい、今は〉と時間を答えて、どちらまで行かれますか、とお聞きすると、小石川商店街にある大変評判のよい順天堂の先生の個人病院に行きたいのです、と言われる。あ、その病院知ってます、次のバスまで30分ぐらいありますし、いまから歩いて行かれたらバスよりも先に着けますよ、と言うと、じゃあ、健康のために歩いて行こうかしら、と老婦人、ガラガラの車輪付きのカバンを押して、ゆっくり歩き始められた。私も自転車を引いて老婦人の歩調に合わせて病院入口までご一緒することにした。道みち、老婦人は、順天堂の先生がいかに優秀か、嬉しそうに私に語られた。病院入口に着くと、いまから病院に入ろうという人たちが何人もいた。老婦人は〈お時間をわたしのためにありがとうございました。〉と笑顔で私に頭を下げられ、私も〈ではお気をつけて。〉と別れた。二三歩進んで、お婆さんが無事に病院に入られているかなと振り返ると、不思議なことに老婦人の姿はまったく見えなくなっていた。
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合掌。

2016-07-11 18:07:44 | Weblog

〈去る7月7日午後1時57分に永六輔さんがお亡くなりになった〉という号外ニュースを、今日のしごと帰り、偶々開いたNetNewsから思いがけず知りました。永さん、お疲れさまでした。長い間、ありがとうございました!


雨の後の美しく晴れた朝だった。飛行男爵のお城では、弔鐘を鳴らす東塔礼拝堂の大扉が侍従たちによって開かれ、ラッパ隊とパイプオルガンが壮重な葬楽を奏でる中、眼差しに温和な光をたたえた初老の司祭と喪服のアスフィータ王女のふたりがブルネグロ公国旗に包まれた棺を先導してゆっくりと出てきた。

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