カームラサンの奥之院興廃記

好きな音楽のこと、惹かれる短歌のことなどを、気の向くままに綴っていきます。

自作解題など

2006-04-03 22:08:43 | Weblog
 自作解題を少々。

 一首目。

ベートーヴェンの手帖に鼻低き人の絵あり ナポレオンの名前と乾いた鼻糞  河村壽仁

 これは、ベートーヴェンの有名な逸話から材料をもらいました。つまり、交響曲第三番〈英雄〉を作曲したベートーヴェンが、自筆スコアの最初の頁に「この曲をナポレオン・ボナパルトに捧ぐ」と献辞を書きかけたとき、ちょうどナポレオンが皇帝に即位したというニュースがフランスから聞こえてきて、ベートーヴェンが怒ってナポレオンへの献辞を取り消したという話です。ベートーヴェンは、ナポレオンに対して、王権とか皇帝とか権力に執着する姿勢を見せることなく、純粋に民衆の味方として戦っているところが好ましいと思っていたようです。なんとなく、現代の社会にも通じるような話だと思います。。。風刺の気持ちもちょっと込めて詠んでみましたが、やや(?)表現力足らずだったかもしれません。


 二首目。

甘容院饅頭沙華団子居士墓(かんようゐんまんじゆしやげだんごこじばか)に五丁目の陽(ひ)は蕩(とろ)けてゐたり  河村壽仁

 来月横浜歌会の題詠「和菓子」の練習として詠んでみました。生前お菓子が大好きだったひとの墓石に日が差している情景です。「五丁目の陽」は映画「三丁目の夕陽」をちょっと捻ってみました。。。普通、太陽の日差しがものを蕩けさせると言われますが、お菓子が好きだった人の墓石の糖分があまりに濃かったら、きっと太陽の光が墓石の成分によって蕩けているというシチュエイションがうまれるだろうと思い、「墓に五丁目の陽は蕩けてゐたり」としてみました。いわゆるシュール表現狙いです。。。


 これらのうたをいま読み返してみると、表現としてまだまだ、だと感じます。もっともっと精進しなければいけません。
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昨日

2006-04-03 09:22:21 | Weblog
 昨日は、塔短歌会の横浜歌会が、町田の成瀬駅近くの市民センターの会議室であり、行ってきました。参加者は十六名でした。

 私が提出した詠草はつぎの二首です。

ベートーヴェンの手帖に鼻低き人の絵あり ナポレオンの名前と乾いた鼻糞  河村壽仁

甘容院饅頭沙華団子居士墓(かんようゐんまんじゆしやげだんごこじばか)に五丁目の陽(ひ)は蕩(とろ)けてゐたり  河村壽仁

 今回、思わずほっぺたをつねってしまったくらいにうれしかったことは、二首目の歌が、なんと昨日の歌会での最高得票歌になったことです。

 二首目に対して頂いた批評は次のとおりです。


(票を下さった方から)

・上句の戒名の言葉遊びが効いている。

・共通して「易」のつくりを持っている「陽(ひ)」「蕩(とろ)」という漢字を並べているところや、「だんご」の「ご」、「こじ」の「こ」と来て「五(ご)丁目」と来る辺りの芸が細かい。よく考えられている。


(票を下さらなかった方から)

・この歌のどこがいいのかさっぱりわからない。

などなど。



 いつもながらに、すごく楽しい歌会でした。
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