モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

光を感じさせる描写

2023-06-02 15:11:44 | 大人 油絵・アクリル


吉村 アクリル

大竹です。今回ご紹介させて頂くのは、吉村さんのアクリル作品です。
こうした花を描く際、最も難しいのは花びらの向こう側が透けるような薄さを表現する事でしょう。絵具の性質上、不透明度が高いアクリル絵具では光が透ける薄さを描くのが難しいのですが、吉村さんの作品は色を細かく変化させて見事に表現しています。目に見えない陽光の温度まで感じさせてくれるようですね。奥の方の花びらは青味がかった紫色が使われており、その色の移り変わりもまた美しいです。花びらの輪郭をハッキリ描く事で、花びらを触った時の厚みや、握りしめたらクシャッと潰れてしまうような脆さもよく伝わってきます。
また、薄く柔らかい花びらに対して、葉っぱは少し硬さのある質感である事も分かりますね。葉脈に沿って面の角度が違っている部分まで、よく観察されています。アクリル絵具は乾燥が早く、塗っている内にパレットの絵具が固まってしまい、再び同じ色を作るのが大変な事もあります。しかし、吉村さんの作品は必要な場所に必要な色が、まるでパズルのピースがきれいにハマる様に置かれています。混色についても色々試されて描かれたのでしょう。
この作品の美しさは花そのものだけではなく、花の影も大きな魅力となっていますね。花弁の淡く青い影は、薄い花びらを通過した僅かな光が当たってほんのり明るく塗られているのに対し、光を透過しない葉の影は深い青で塗られています。柔らかなピンクの花びらと、影の鮮やかな青色の対比が印象的な1枚となっていますね。

絵の上達には手だけでなく、目を鍛える事でもありますが、吉村さんの観察力を目の当たりにすると正にその通りであると思えますね。吉村さんのこれからの作品も楽しみにしております。


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