都立総合芸術高校美術科、残念でした。倍率5倍。大学ですら、五美術大学と言われる美大以外では、倍率が5倍もある学部はほとんどありません。つまり美大受験より難易度が高いチャレンジと言えるかもしれません。また絵の試験時間が4時間という長丁場の高校も他にはありません。日本でトップ・最難関の美術高校です。(下のHINATAの絵のレベル以下の美術科の大学生なんて、ザラにいますよ。)
だから行きたかったよねー、HINATA。合格したかった。ポロポロと涙をこぼしながら報告するHINATAに、私も岩田先生も共感と慈しみの気持ちで珍しくテンション低くおりました。
HINATA アクリル
上の絵↑は、「時間を気にしなければどこまで完成度を上げられるか、まずは自分の実力を知ろう」と、4時間以上かけて描いた最初の頃(秋頃)の作品群。デッサンも狂わず、色も鮮やかで美しく、見ていてワクワクする絵です。
テクニックがついてからは、そのクオリティーを下げずに徐々に制作時間を短縮していきました。
下の絵↓は、試験に合わせきっかり4時間で描いた作品群。
こうして比べてみると、4時間の作品はモチーフによってムラがあり、安定した実力が伴っていませんでした。受験の時に100%の実力が出しきれなかったかもしれません。
制作中のHINATAは、いつも大変楽しそうでした。頑張っている感はなく、常に鼻歌を歌っているかのようなウキウキの筆さばきで、「ハ~、美味しかった!」のセリフのように「ハ~、今日のアトリエも面白かった!」と言うのです。純粋に制作を楽しむ姿勢は、全ての受験生の見本になります。私は大学受験勉強中の高校生に「受験用の絵なんか描くな!だからお前の絵はつまらないんだ!お前の好きが伝わらない。なんの魅力も感じない。」と罵ることもありますが、HINATAの爪の垢を煎じて飲ませたいくらいでした。
こういう人は強いです。生き方が輝いているから、絶対に挫折しません。彼女を見たたくさんの人まで幸せにできます。だから大丈夫。きっと行きたい美大に行けるでしょう。
美術高校なんてね、元々私は猛烈に反対してたんだから、行かなくていいんだよ。視野が狭まるし、むしろ受からなくて良かった。美術以外で興味が持てることを知り経験する機会に恵まれたんだ。それが肥やしになり、絵が輝くんだから。美術高校で絵ばっかり描いている人、課題に追われている人は、技術の向上はするけど惹きつけられる魅力は磨けない。HINATAは可能性をもらったと思って欲しい。ずっと応援してる!