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モノ作り・自分作り

東横線 元住吉 にある 絵画教室 アトリエ・ミオス の授業をご紹介します。
美術スタッフが、徒然に日記を書いています。

期待を背に

2025-03-19 20:20:01 | 大人 水彩


松下 透明水彩

まだまだマスクが手放せません、ナツメです。今日は日曜クラスの松下さんの作品をご紹介します!

これまで油絵でご家族の姿を描かれていた松下さんですが、今回は水彩画で家族を描くことに挑戦されました。毎年元住吉で開催される『住吉神社の夏祭り』、息子さんが楽しげに屋台を巡る様子を描いた一枚です。  私も昨年このお祭りに訪れましたが、作品から伝わる臨場感に思わず「ああ、あの場所だ!」と懐かしさを覚えました。

金魚すくいにリンゴ飴、じゃがバタに焼きそば、ヨーヨー釣り……所狭しと並ぶ色とりどりの屋台は、小学生にとってまさに夢のような世界。次はどこへ行こうかと足早に進む息子さんの後ろ姿には、大冒険に胸を躍らせる子どもらしい無邪気さがありながら、どこか勇者のような凛々しさも漂います。

手前には落ち着いた無彩色に近い色を使い、奥に進むにつれて暖色を増やすことで、屋台の楽しそうな様子に加え、「向こうには何があるんだろう?」という息子さんの期待感やワクワクする気持ちが伝わってきますね!

画面の中の人や建物が非常に多く、描き込みすぎてもごちゃごちゃして見辛くしまう、でもそつなく描くと今度は雑多な雰囲気が出ない…という難しい画ですが、手前を緻密に描くことで情報量をしっかり持たせつつ、奥へ進むにつれてディテールを省略することで見やすさと臨場感が両立しています。さらに、主役である息子さんは、周囲よりも陰影のコントラストを強くして際立たせ、視線が自然と彼に向かうよう工夫されています。しっかりと存在感がありながらも背景が主役よりも主張しすぎない巧みなバランス加減です。

今までの油絵とはまた違った、水彩ならではの透明感やにじみを活かした画面。新しい技法にも果敢に挑戦しながら、ここまで完成度の高い作品を仕上げられる松下さんの表現の幅の広さを感じます。

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