置田 岩絵具/和紙・パネル
岩田です。小学生のパワフルな日本画紹介が続いていますが、本日は大人クラスの日本画の作品です。期間限定、大人クラス、学生クラスで日本画を描く方々の作品100枚以上が壁を席巻し、実に様々な画風があって、いつも面白く拝見しています。今回は、先陣を切って完成に至った置田さんの日本画をご紹介します。
皆さんもここにきて、アトリエにある日本画の作家達の図録を見て、油絵同様、本当に多種多様なアプローチがあることに驚いているかもしれません。私の作品を所蔵して頂いている信濃町にある佐藤美術館は、国立、私立問わず日本画の学生へ積極的に奨学金の支援をしている国内でも数少ない美術館ですが、しばしば開催される学生達の作品を見ても、日本画界に若い世代が常に新しい息吹を吹き込んでいることが分かります。今回、日本画というジャンルに興味を持った方々も、時々訪れてみると如何でしょう。
さて、置田さんのモチーフは女性像ですが、これまで一貫して人物画を描き続けていらっしゃいます。ぜひこちらの油彩もご覧ください。今回は、和服を着てかんざしに手をやるクラシカルな日本女性の姿を描きました。
鉱物やガラスの粒子を膠に溶き、絵の具として描く日本画。聡先生曰く「日本画で最も難しいのは美人画です。」とのこと。前述したように、水彩や油彩の絵の具のような粉体の顔料と比べ、粒子が荒いので、ムラになり易く、均一に塗ったり、グラデーションを作ることが難しく、きめ細やかな女性の肌を描きずらいというのがその理由のようです。
とはいえ、置田さん、そうしたアゲンストの状況をはねのけ、何度も塗り直しを重ね、何とか頑張ってムラのない美しい肌を描こうと奮闘しました。光を受けているところと影の色を繊細に塗分けるのは、さぞ困難を極めたことでしょう。また細い線で目鼻を描く事も練習を重ねました。線は最終的に黒では強すぎる為こげ茶にするなど工夫を重ねこの繊細な表現に行きつきました。着物の微妙な濃淡も美しく描かれていますね。
岩絵の具や水干絵の具を使って描く独特な技法に慣れない中で、ここまで描き上げたこと、それだけで立派です。今回の貴重な経験が、他の画材を扱う際にも、何かしらのプラスの影響を与えることができたら良いなぁと感じます。