駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

心に残る外国旅行

2013年05月13日 | 

                 

 日本の感覚が通じない外国を旅行するといつも目が開かれる思いがする。数週間もするとその感動は心の奥に仕舞い込まれ、いつもの日本の日常感覚に戻ってしまうのだが、忘れがたいかけがえのない体験であるのには違いない。

 恐らく誰しも、ロンドン、パリ、ニューイングランド、西域、・・・と聞き慣れた都市や地域名に自分なりのイメージと持っていると思う。テレビ、映画、小説あるいは知人に聞いた話から、いつの間にかこんな所だろうなと思い描き、その名を聞く度あるいは口にする度、頭のどこかにイメージが浮かんでいるだろう。

 そして実際にその地を踏めば、えーこんな所だったのかと(思った通りという人は少ないと思う)驚きながら、体験から新たなイメージが形作られる。

 誰にも、最初の外国の印象は心に深く刻まれているだろう。私の初めての外国はアンカレッジ経由のニューヨークで、空から見た自由の女神が忘れられない。今から思えば若く夢があったから出来たことだと思う。まあ大都会というのは、ある程度共通点があり、思っていたのと違いびっくりということは少ないのだが、目を凝らし耳を澄ませば、明らかで微妙な差違がわかってきて、味わい深い世界が広がってくる。 

 イスタンブールのボスポラス海峡は思い描いていたのとさほど違わなかったが、市街地はもっとイスラム的で赤茶けて埃っぽいような印象を持っていた。実際には石造りの家と石畳の坂道の多い街だった。古いモスクや宮廷の周りには観光客が群がり、異教徒禁制だったモスクも祈りの時間の合い間に見学できるようになっていた。古都のせいか、街の佇まいと生業はどこか京都に似ていると思ったことだ。

 写真はグランバザール。テントでトルコ帽に民族衣装の人が座っているかと思ったら、洒落たアーケードの下にぎっしりと垢抜けた売店が並らび背広のお兄さんが佇んでいた。なんだか私は一世紀前のイメージを持っていたようである。

 

コメント (4)
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