ご趣味はと聞かれて、人に言いにくいものもあるかもしれないが、特にないと言われる男性も多い。こうした男性が定年退職となると、家でゴロゴロ、そして一時間くらい散歩に出されるというパターンになりやすい。七、八年もするとまだ若いのに物忘れが出てきたり、なんだか憂鬱でよく眠れないという、認知だか鬱だかすっきりしない症状が出てきたりする。
趣味というのは趣味なのだろうかと思うことがある。人生の前菜やデザート扱いであるが、実は影の主采主役なのではないか、少なくとも脇役ではない気がする。尤も、明らかに主役を張れば、周りの顰蹙を買うことも多く、奥方の目の敵にされ命から何番目と思っていた＊＊が、新聞紙に包んであったので要らないかと思ったというような目から火が出る痛い思いをする。
私は多趣味であれこれ手を出しているから（どれも物にならない？）、仕事を辞めた後もやることには困らないと思っているのだが、果たしてどうだろうか。ご近所のＡ先生は、開業する時ご挨拶に伺ったら、「もう少しやったらあとは悠々自適でのんびりしますわ」。と笑っておられたのだが、思いのほか頑張られ後期高齢者の声を聞くまで働かれたのだが、結局病を得られて閉院し、悠々自適されることもなく亡くなってしまった。
そうしたことのないようにと考えながら痛む肘をさすっているのだが。
