駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

看護師の間接力

2011年09月21日 | 医療

 

 本当は看護婦と書きたいのだが、看護師の方に医師とは独立した看護業務の専門家といった響きが生まれつつあるので、それを尊重したい。仲間として働いてきた実感は看護婦の呼称の方にある。

 私は内科医なので処置の経験は少なかったのだが、街中で往診をしていると、どうしてもいくつかの処置をしなければならない。鼻から胃に管を通す、気管カニューレの交換、胃ろうチューブの交換、膀胱バルーンカテーテル挿入などであるが、遠い昔研修医の時やったことは意外に忘れないもので、胃ろうチューブ交換以外は問題なくでき、今では熟達している。胃ろうチューブの交換も一度研修に行き覚えたので問題なく出来る。

 と書いたのだが、実は患者さんの中には体型体位に異常があったり、動いてしまったりでやりにくい人が時々居るのだ。病院であれば、失敗したり、急変があっても人手と機器が揃っているので問題ないのだが、患者の家では人手もないし機器はなにもない。少し緊張することもある。特に気管カニューレの交換と胃ろうチューブの交換は僅かであるが生命の危険を伴う事故があり得るので慎重になる。こうした時、傍にベテランの看護師が居ると緊張がほぐれ、大きな力となる。ベテランの看護師は慌てない。指示する前に手が出て必要な処置や手助けをしてくれる。落着きというのは、危険を回避させる大きな力で、ベテランの看護師は何もしなくても傍らにいるだけで大きな力となる。

 勿論、処置といった直接的な診療行為だけでなく、診察に於いても傍らの信頼できる看護師の力は大きい。

コメント
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