駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

不安定な陽気と風邪

2019年06月26日 | 診療

         

 

 今朝は雨かと思ったら日が差していた。昼過ぎまで天気は持ちそうだ。今年の降水量はどうなんだろう。天気が不安定で身体がついて行かないという患者さんが多い。データ的にも裏付けがあるだろうか、明日明後日の天気も知りたいが中長期的な気候変動も知りたい。勿論、天気を変えることは出来ないがある程度備えることは出来る。

 気温が不安定だと風邪を引きやすく、咳や痰が長引くことも多い。未だに抗生剤信奉者が居て、細菌感染があるとは思えない風邪症状に抗生剤をくれと怖い顔をする男やヒラメのような目つきをする女性がいる。九割は断っているが、中には根負けというか患者さんの言い分も分かることがあって十人に一人くらい出すことはある。未だに反射的に風邪に抗生剤を出す医者が結構居る。ご近所にもよくこんなにたくさん薬を出すなあと鼻風邪に抗生剤から抗アレルギー剤消炎鎮痛剤鎮咳剤去痰剤と一揃い出す医者が居る。確かに全部出せば安心簡単かもしれないが無くても済むものは止めたい。抗生剤をやたらに使うと耐性が出来て効かなくなる。それにお金もかかる。

 そうこうして不要な抗生剤使用を控える運動?指導?は浸透し、抗生剤が売れなくなったと抗生剤メーカーのMRは嘆いている。過ぎたるは及ばざるがごとしとはよく言ったものだが、身についた反射的な習慣を変えるのには時間が掛かるようだ。

 こう書いている私も二十五年前は一冬に一万錠抗生剤を使っていた。今は二千錠程度と思う。風邪薬に変遷はあるが、今も命取りの肺炎などの病気のきっかけになるのでありふれた病気で口ではああ風邪ですねと言いながら実は慎重に診ている。それでも見極めは難しいこともあるので二日でよくならなかったら又来てくださいと申し上げている。こう言えるのが掛かりつけ医の強みで、万一のリスクをとっている者の心得でもある。

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