駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

忘れてはならないものに向き合う

2019年06月29日 | 町医者診言

              


 ものを忘れる ものを落とす 同じものをまた買って来てしまう。これは脳の老化の始まりですが、ああ俺もかああ私もかと愕然とする内は未だ認知症まで進行していないでしょう。一人で医院まで来れ、会計を済まして、お薬が持って帰れる人は大丈夫ですね。僅か1cmに躓く、何かに掴まらないと立てない、杖を勧められるようになった。これは要注意ですね。身体の老化が進んでいます。

 百年安心などというのは日本の政治家が得意な言葉によるまやかしですね。老化と病死が後ろにずれただけで軽くなったわけでも無くなった訳でもありません。日本語にはモータルに当たる言葉がないようですが、分かっていることはわざわざ言わないのか、言葉が無いと不安も減ると言う理屈なのかどちらでしょう。忌み嫌い遠ざければ気にならなくなるという大和流忍術でしょうか。

 私のように一つの場所で何十年も内科臨床をやっていると、人間には抗えないものがあると感じますね。勿論、現代版不老長寿を目指すアンチエイジングという若さを保とうという研究もされており、某かの成果もあるようですが、保険適応になるようなものは出てきていません。もっぱら商業ベースの商品が売り込まれているようです。しかし、何だか皺を増やさないために生きるのが目的のような人生は言葉はきついのですが倒錯しているように感じます。年を取って徐々に衰えるのは多少の個体差はあっても自然の摂理でこれには逆らえません。欲が無いと生きられませんが程々が良いようです。年金、憲法改定、格差・・など不都合な問題にも言葉でごまかさず正面から向き合わないと碌なことにはならんと、老化を自覚する者から携帯人間にお伝えしたい。大阪入りしたG20の各国首脳、誰もにやにやとは笑っていません、当然わかっておられるようです。

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