駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

共犯のようで主犯は

2015年09月10日 | 医療

 台風一過の秋晴れの下を歩いてきた。すっかり秋の気配に覆われている。この数年この時期はまだ残暑が厳しかったような記憶がある。身体が憶えている季節感と言うものがあるが、今の子供達の季節感はどのように形成されてゆくのだろう。

 Mさんはすらりとした奥様然とした小綺麗な人だ。特定健診の結果を聞きに来られた。

 「LDLコレステロールがまだ少し高いですね、動物性の油を控えてください。去年、コレステロールの多い食品のリストをお渡ししたでしょ」。

 「あら、大丈夫、気をつけてます。脂身の所は取って主人に食べさせてますから。喜んで食べますよ」。

 「えー。ご主人糖尿病じゃないですか。駄目ですよ、そんなことしちゃ」。

 看護師と顔を見合わせてしまう。

 だからMr.Mはちっとも痩せないんだ。

 「勿体ないと思っても、それは捨てて下さい」。

 折角、医者に言われて甘い物や脂っこい物を控えていても、元々大好きなので妻に勧められれば食べてしまう。何だか責任は妻にあるような気がしてしまうのだ。気持ちは分かるが、傷むのは自分の身体なのだ。

コメント (2)
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