駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

煙草の値段

2011年10月06日 | 医療

 

 高血圧、糖尿病に加えて生活習慣病、メタボ・・・、それに肺気腫などの医学用語が一般のメディアでも目立ち始めた。これには国民の馴染みを得ることによって、多少とも疾患を理解してもらい、予防行動や検診受診を促し、防げる病気は早期に防ごうとする医療関係者や厚生省の目論見が関与している。

 肺気腫は進行すると慢性閉塞性肺障害をきたし、在宅酸素療法などに至る厄介な病気で、その原因は大部分が喫煙である。末期の肺気腫には息切れで悲惨な最後が待っているし、医療費も嵩む。患者も医師も厚生省も減らしたい病気なのだ。

 私のような煙草なぞ製造中止にしてしまえという極論は、世の中の現実には歯が立たない。そこでせめて値上げによって、煙草を諦めさせようという折衷案が出てくるのだが、はたして幾らにすれば、それなりの効果が期待できるものだろうか。昨日の医師会の懇談会では1000円が宜しいということだった。1000円なら一番やめさせたい十代二十代前半が手が出ないだろう、税収もさほどには減らないだろう。十代二十代前半で始めさせないことが一番効果があるわけで、なるほどと思った。

 マスコミは小宮山大臣発言を直ぐに思いつきのように批判するが、たとえ思いつきにしても瓢箪から駒ということもあるのだ。この値段は医療的に妥当なので後押しして欲しい。いくつか文献を読んで禁煙外来の医師を取材してみることだ。

コメント
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